シンジ、最強のタイプR使いとして知られている男だ。

もちろん最初で紹介したとおり、ブライアンとは友達で、

ミカとは彼女、といってもそれほどアツアツではないけど、

一応付き合っているのは事実、冷静な男で、余り争いを

好まないタイプだ。そのため、周りからはモテていて、もう

走り屋になってから3回は告られているのもこれまた事実。

そんなシンジ、争いを好まないタイプとはいっても、バトルは

別。本気で熱くなるのが彼の特徴だ。この時だけはいつも

のシンジではなくなってしまう。そんなシンジがパッシングを

受けた。90型のマークU、ツアラーVだ。よくある典型的な

走り屋チューンが施されていた。あとはちょっとエアロが付け

られている程度。

「マークUか、まあよくある典型的なやつだな」

シンジはバトルの準備をしていた。と、そのときであった、

「ん?もう一台パッシングしてきてるぞ」

もう一台、どうやら車種はVWビートルのようだ。一体誰?

「あのマークUのドライバーの名前、最速Dさんっていうんか

…」

マークUに乗っている人、それはあの最速Dさんであった。

だが、ビートルに乗っている人は誰なのか?ターボの音、横

にかぶと虫のグラフィックスが貼ってあり、そしてドライバーは

フードをしている。

「この辺のやつじゃないな…。何でフードなんかしてるんだ?

訳が分からないままバトルスタート。いつものカウントが始まっ

た。

「3,2,1、GO!」

バトル開始!とともにまず最速Dさんの車が前にでた。圧倒的

な加速で、離していってしまった。間にはシンジ、そして一番後

ろには例のやつがいた。最初のコーナー、いきなりの出来事

だった。ビートルのやつが、シンジと最速Dさんをごぼう抜きして

いったのだ!

「なんてやつだ!あのニュービートルであんな走りを…」

あんまり見事だったので思わす唖然となるシンジ。最速Dさんも

動揺を隠せない様子みたいだ。

そして、シンジは誰だか感づいた。それは、

「そうだ、あいつか、トオルか。サーキットから飛び出してきた

のか?」

そう、現役のレーサー、トオルだったのだ。シンジとトオルはか

つてライバル同士で、現在トオルはレーサーをしている。はずな

のに何故ここに?

バトルは進行しており、現在トオルが一番前を行っていた。そして

最速Dさん、最後にシンジが付けていた。

「シンジ…。帰ってきたぞ…」

トオルがそういうと、今度はビートルを横に向け、そして一気にコー

ナーをクリアしていった。シンジはまず最速Dさんを抜く準備をしてい

た。そして、インからスパッとぬいていった。もちろんまだ最速Dさん

にだって抜くチャンスはあるので、シンジの後ろをつけスリップストリ

ームして、再び抜くチャンスを見計らっていた。次に抜くのはトオル。

かつてバトルしたあの感じが戻ってきたトオル。レーサーで学んだこ

とを捨て、いままたかつての走り屋時代のあの走りを取り戻しつつあ

った。そう、あの頃の…。

「トオルのやつ、走りが前と全然変わってない。レーサーなら独特の

クセってのがあるんだが、あいつは全く出ていない…。不思議なやつ

だ…」

シンジはトオルのビートルのスリップに入った。再び抜くチャンスを狙っ

ていたのだ。それは一番後ろの最速Dさんも同じ。そして、

「ようし、いけるぞ!」

シンジは覚悟を決めた。そして、インを取った彼は、そのままグリップを

保ちながらスパっと抜き去っていった。と思ったが、そこはシケイン、ま

たトオルがインを取り、結局抜き返されることとなってしまった。後ろの

最速Dさんはとりあえずタイミングを待っていた。そして、タイミングが見

つかったのか、一気にアウトからドリフトで抜き去ろうとした。それを見た

シンジはふと思いついた。

(そうだ、トオルは圧迫感に弱い。アウトから攻められるのは抜かれるより

嫌とかいってたな)

最速Dさんはそのままトオルの前をうまく出て、直線エリア、つまり銀座スト

レートをそのまま快走していった。シンジはコーナーがまたあったら、その

方法を使う事にした。あとはコーナーを待つのみ。そして、なだらかではあ

ったが、例のシケインが待っていた。ここで一気にアウトから攻めまくった。

「ちきしょう…、やられた…。俺はアウトからは苦手なんだ…」

最速Dさんはそのまま抜いていった。そして、それに続きシンジも次のコー

ナーで、抜き去った。だが、ここでトオルが引き下がる訳がない。またチャ

ンスを伺っていたが、前に事故車が!

「なんてこった!これはマズいぞ!」

最速Dさんは上手く避け、シンジもそれに続いて避け、問題はトオル、離れ

ているため、この状況を知らない。そして、トオルは気づいて、なんとか避け

たことは避けたが、これによりバトルも中止せざる負えなかった。怪我人が

いるのにそのまま走り去っていけないという走り屋独特の性格が現れている

からだ。そのままその中の人を3人が救出、そしてトオルが病院に運んでい

った。バトルはまた違う時に延期になった。違う時、一体いつ?それは誰にも

分からない・・・。とにかくやることには変わりないのだから…。



ううん、なんだかパッとしない終わり方でしたね…。一体再戦はいつなのでしょう?

一体いつ…?