僕の朝
  by 岸


富山の朝は静かです。
あらゆる音が雪に吸い込まれているから。

前日の天気予報をチェックしているので静かな朝に油断することなく、
いつもより30分早くセットした時計の音で目を覚ます。
まだ薄暗い外を見て、何pぐらいつもっているかを確認する。
ちょっと窓から身を乗り出して路面の状況を確かめる。

車の上に30pもつもっているようならあわてて食事をとらなければならない。
素早くメシを食いぱっぱっと着替えて帽子とコートで身を固め、
足元は長靴を履き、手には雪落とし棒を握りしめ、意を決して外にでる。

車のエンジンをかけ、積もった雪を屋根から順次落としていく。
どうしても長靴の中に雪が入ってしまい足が冷たい。
10分位の作業なのだがこれが寒いのであった。

渋滞を予想して、皆いつもより1時間ぐらい早く家を出る。
私の場合会社まで近く、いつもなら5分もかからないのだが今日は20分位かかった。

それでも会社に着くと、ほとんどの人まだは来ていなかった。

待っていたのは1年ぶりに倉庫から出てきたスコップだけでした。
富山の朝は雪かきから始まる。

正月8日の出来事でした。



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