新建東京支部・日本住宅会議関東会議共催  連続講演会第3回

「住まいづくりは街づくり」

講演会の報告:桜井郁子

 去る10月2日(土)、日本住宅会議関東会議との共催で開かれてきた連続講演会「住まいの原点を問う」の第3回目「住まいづくりは街づくり」が、池袋の芸術劇場中ホールにて開かれた。参加者数は77名。当日は住宅会議関東会議の総会が開かれ、続いて講演会。講師は大沢匠氏ほか。

 まずはワークショップの話をするにあたり、大沢氏が夜を徹して作り上げた○×札を使って参加者の職業を回答してもらった。もういきなり参加型。そんなところから始まったが、新建のメンバーの中には昨年の実践報告会などで、江戸川区一之江の「住まいづくりワークショップ」の話を聞いたことのある方もいたようで、かといって全く初めて聞く方もいるので単語の解説もちりばめながら、そして少し専門的に進められていった。今回の講演会では、住まいづくりワークショップの報告だけではなく、さらにそのワークショップの内容を反映させた仮入居住宅が建設されたという話、江戸川区篠崎のまちづくり計画に関するワークショップなど内容は盛りだくさんであった。

 

 江戸川区一之江。昭和30年代にミニ開発が起こり、今では住宅更新が進んでいる地域である。今回の講師の一人舟山光雄氏は、江戸川区の土木部区画整理推進課でお仕事をされている。一方、大沢匠氏ともう一人の講師伊ヶ谷明彦氏をはじめ、区内で建築に携わる人が集まって20年ぐらい前に地域設計懇話会を結成されていた。この地域設計懇話会と江戸川区が協力して今回の話の元となった住まいづくりワークショップが開かれた。このワークショップに参加したのは住宅の設計なんてしたこともないような一般の住民たちであったが、6回にわたり開かれたワークショップを、一つ一つのステップのように回を重ねるごとに動線や日照についても十分考慮し、なにより協調の精神というものを理解していったという。また、江戸川区の方でも毎回のワークショップにあたり、前回に出されたプランを模型にして住民に示すという大変な努力をされたとのことだった。やはり模型は、空間を理解するのに大変役に立ったようだ。こういったことがOHP、模型やワークショップで実際に計画した模造紙上のプランなどとともに大変分かり易く説明されていった。またこのワークショップで得られたモデルケースを参考に、実際の建物に反映したのが仮入居住宅で、これもOHPで紹介された。

 


 

ワークショップをもとに模型を作成


周りのことを考えず自分の家の間取りだけ考えて作ると・・・・

 

この一連のワークショップについてはもうすでにまちづくり計画があり、その中で住宅を作るにあたり「如何に協調し合うか」がテーマとなっていたが、続いての舟山氏からの報告では、まずはなによりそのまちづくりの計画案から始めよう、ワークショップで決めていこうというものであった。住民参加という言葉が叫ばれて久しいが、もうすでにある計画に参加するのではなく、この計画のように計画を作るところから参加するのが本来の住民参加であって、それをちゃんと実現してしまう区、またそれに答えられるだけの勉強会を重ねていた住民たちもすごいものだと感心した。
 大沢氏は「人は聞いたことは忘れる、見たことは思い出す、やったことは忘れない」というデンマークのことわざをワークショップの場ではよく取り上げるとのことだが、そこでも表れているようにこのワークショップは実際に住民自身の参加によって成り立つものだから、「やったことは忘れない」にまさに当てはまるものだろう。また住民一人一人が、行政の側も、「良い街とは何だろう」という根本的な疑問に立ち返って、ワークショップを進めたこともまた、良い結果を生んだのではないか、私はそう感じたのだった。最後に、もう一つ気に入った言葉。「行政は反省はしないけれど、進化はする」(舟山氏)。こういった講演会にできるだけ多くの方が参加して、そして実際の業務に反映していってもらえたら本当に素晴らしいことだと思う。


お互いに意見を出し合って協調してできた間取り

 

 

講演会に寄せられた感想より

ワークショップでの内容を反映させた江戸川区の仮入居住宅

 

〜住まいづくりワークショップの成果とこれから〜を聞いて
 ワークショップはどこまで有効か?私が一番抱いている疑問です。私は主に面整備を中心とした区画整理の仕事をしていますが、面整備からみても住宅問題からみても今都心で一番問題になっているのは、木造密集問題だと思います。面整備と住宅問題をリンクさせて考えるという話は、ここ数年やっと中心になってきた話題だと思います。そしてW.S(ワークショップ)も同じだと思います。主に住民参加型として建築物や施設を造るまちづくりの一つとして取り入れられてはいたとは思いますが、これが、木造密集などの面と住宅整備両方からみて、更に権利がからんできた時どこまで住民に納得を得られるのだろうか?『自分達で考えるまちづくり』といってもどこまでまちづくりを理解してもらえているのか?私の中では、まちといのは空間の集合です。狭い路地の住宅密集地でも広い公園でも様々な空間の集まりだと考えています。そして、その空間利用が都市やまちを形成いると思います。一之江では住まいという空間づくりとして仮住まい住宅が完成したわけですが、これから住民が、住まいづくりW.Sを参考にどんな住宅という空間の密集問題を解消していくのかは気になるところです。そして計画図さえもままならない篠崎は?実際W.Sに係っているものとしては、どれだけの成果があげられるのか心配な今日このごろです。      (東京・YSさん)
 私がはじめて新建に顔をださせて頂いたのは、6月のキャンプの時でした。それから早いもので4ヶ月が過ぎ、その間に全3回の連続講演会、寺子屋、山谷プロジェクト、など様々なものに参加させて頂き非常に勉強になる日々を過ごしています。今までは単独の講演会には参加していましたが、このように色々なことを経験したことがなかったのでとても面白く感じ、また勉強になっています。
 特に、私はライトやレーモンドが好きだったので三沢(浩)先生のお話はとても勉強になります。雑誌などに載っていない様なことや自分では勉強できない様なことをお聞きすることが出来るので、今度はどんな話が聞けるのかと毎回とても楽しみにしています。
 それから講演会についての感想ですが、第2回目の講演会については、以前から学校の方で増田(一眞)先生のことを色々聞いており、参加させていただく前から楽しみで実際に話を聞いてみて、改めて構造デザイナーの素晴らしさを感じました。意匠の人と構造の人の間ではしばしば意見がぶつかり合うことがありますが、その2つを併せ持つ構造デザイナーといわれる人々は非常に重要な存在だと感じました。
 第3回目の講演会に関しては、今まで私が聞いたものとは違いワークショップ形式の講演会という初めての形だったので、一方的なものではなく参加していると実感できるのでとても身になると思い、こうゆうやり方も面白いなと感じました。大沢先生は建築の事だけではなく、様々なことで素晴らしい方だと思い、将来私もこの様な人になっていきたいと感じるほどです。
 非常に勉強になる日々を過ごすことが出来るのでこれからも色々参加させて頂きたいと思っておりますので何卒よろしくお願いいたします。(東京・NHさん、学生)

協調してつくった仮入居住宅の中庭

 



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