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新建の全国企画の集まりの第一のたのしみは、各地で素敵な実践を展開している仲間の元気な顔が見られることだ。考えてみればこれは、凄く贅沢なことではないだろうか。
「木と森の再生」という主題に少し戸惑い、一方では今一番大切な地球的課題だからなあ、と妙に納得しながら、記録的な台風に直撃されフェリーで行く予定が土壇場でキャンセル、東京経由の航空便に切り替えるというおまけ付きの参加となった。
第1講座・長谷川敬氏「近くの山の木で家をつくろう」は、私が現在求めている家づくりの課題にぴったり合っていて身を乗り出して聞き入ってしまった。
環境保全という大命題を抜きにしても、現代人が本能的に求めている住まいは自然の素材に守られたものだろう。しかし、これが実にむつかしい。求める材料が手に入らない、どこにあるのか分からない。「地域材の木の家づくりが難しい理由」と題して長谷川氏はその構造を具体的な数字で明快に示してくださった。
木という難しい素材を扱える技術者はどの町にも必ずいる。手間と工期がかかって儲からない木の家づくりで食っていける制度をつくる。木の家づくりのシステムを再構築しなければならない。まず木という素材を要求に応じて提供できる林業を取り戻さねばならない。何よりも近くの木で家をつくるネットワークを全国に広げよう。話の締めくくりに呼び掛けられた長谷川氏の熱い思いが胸に響いた。
第2講座・島崎洋路氏「人工林を蘇らせる」は、長谷川氏の訴えに繋がる山の人間の立場からのお話だった。世界の林業の実情からはじまり、日本の森林の現状がいかに深刻か、をさまざまな資料をあげて話された。
森林を維持するために欠かせない間伐を合理化するため自ら考案されたという列状間伐のお話、退職後開かれた林業専門の技術者を育てる山林塾やKOA林業塾のお話、と山を愛する島崎氏の熱意が語られた。
世界一級の森林国でありながら、放置されてきた林業政策のなかで、安価で品揃えされた外材に押されてかつて四〜五〇万人いた林業就業者が七〜八万人に激減し、林業総生産額は国内総生産額のわずかコンマ一パーセントにも満たず、産業としての存在が危機に瀕していること、それを救うためには、わずか二〇万人の山守りと年間数干億円の資金で足りるというお話は切実だった。
「わが国の木材需要の動向がどうであれ、国内の森林を維持管理してゆくことは全く別な次元の問題である。日本の森林がこれほどまでに駄目になったのは、はっきり言って関係してきた人々の考え方や行動の問題である」と断言された言葉に、島崎氏のもどかしい思いが要約されていると感じた。
しかし、このセミナーで家づくりに携わる方々と話せて少し希望が開けたという締めくくりに、重い連帯感を感じたのは私だけだろうか。
第3講座・「山林作業の体験」は、残金ながら参加できなかった。
第4講座・関原剛氏「杉間伐材を利用した家具づくり」は、協同組合ウッドワークの一〇年にわたる「泥まみれ奮戦記」で、実に面白く、躍動感溢れるお話だった。現在一五社、六〇人の職人さんが初年度一五〇万だった売上を昨年度は六〇〇〇万に伸ばした。しかし限度は一億五〇〇〇万、それ以上にしたら駄目になる。キャッチコピーはスチールより安い木製品の生涯コストと地域循環率、などの言葉が新鮮で、今の経済流通の矛盾をバッタバッタと切っていくお話が実に爽快だった。
終わりになってしまったが、新潟支部と木と遊ぶ研究所の実行委員会の濃やかな気配りと準備は見事としか言いようがなかった。宿の香嶽樓の暖かく、爽やかな対応が嬉しかった。
(北海道支部・永井和子)
建築とまちづくりセミナーin妙高に参加して
初めて新建のセミナーに参加させて頂きました。貴重な体験をさせて頂きました。とても楽しい二泊三日でした。普段から建築に携わる人も今までは、林業者や山のことを考えた人は少なかったのではないでしょうか。私は考えたことはなかったです。
建築も林業から木を育てることから始まっていることを、思い知らされました。それは六〇年〜八〇年の長い時間とそれを育てる人の努力が掛けられていることは、我々も考えておかなければならないことだと思いました。
(一般・酒瀬川博之)
林業や森の現状に無知であることを痛感!そして森の危機的状況に驚かされ、それぞれの多様な取り組みに元気付けられもした。だが共通する問題への個々の魅力ある取り組みにも、微妙にくい違う点も見えた。個々の活動を相互に理解し、より結びつく点が増やせれば今にも森が変わる気さえするのは、無知ゆえの期待と欲からか。新建は個々の活動を繋ぐ可能性の一つだと思う。大きな視点を吸収し、小さくとも実践を始めなければ。私に何ができるだろう、そう考えさせてくれる三日間であった。
(東京支部・栗林豊)
実行委員会より
一六八名。今年の建まちセミナーに参加された方の総人数です。全国の皆さん、ご参加ありがとうございました。セミナーの面白おかしい舞台裏や、反省点も含めた話もあるのですが、まだ反省会前の原稿依頼なので、その辺は別の機会に譲るとして、どういう形にせよどこかで書き留めておきたかった今回のセミナーの特徴を、この場をお借りして準備した側から振り返ってみたいと思います。
このセミナーの特徴は大きく二つあったと考えています。この二つの特徴は、最初から狙って準備されたものではありませんでした。どちらかといえば準備が進んでいく中で、姿が明確に現れ充実していった感じです。
一つ目は、テーマを絞っていろんな角度でみつめてみたということです。当初、新建メンバーの多くはNPO法人「木と遊ぶ研究所」(以下「研究所」)会員でもあるため「木造」というキーワードが浮上しました。しかし、「研究所」と一緒になって進めるうちに「森林」「環境」へと根本的なものを見つめなければ意味がないと解釈が広がっていきました。また、一方的な視点は事態を見誤る可能性があるので、できれば林業家や流通、建築以外の利用・工夫しているユーザー・消費者の意見も取り入れた総合的なセミナーを目指すこととなりました。「木と森林の再生」というテーマの中には「木」は使う側からのアプローチを、「森林」には供給する側からの思いを、「再生」には現状把握のみならず、方向性の模索の意味を込めてあります。
講座の内容も実践にこだわり、第3講座に体験講座を備えたことも新しい試みだったと思います。実践を学ぶには「体感」することが一番であるとの思いからです。この体験講座は、テーマが見えてきた早い段階から取り入れようと、しかも実にスムーズにすんなりと決定し、最初から最後まで今回のセミナーの中核となる存在でした。この第3講座を取り入れた事は次の二つ目の特徴と大きく関わります。
二つ目の特徴は、言うまでもなく新建会員外の多くの方々に支えられて開催されたということです。これほど大規模に他団体との協同・協力を仰いだセミナーは、多分なかったのではないかと思います。
新潟支部は一〇名にも満たない小さな支部です。必然的に会員外、協力団体との協同が不可欠になります。事実、実行委員の約半数は、会員ではありませんでした。また、第3講座を中心に「研究所」の協力なしには今回のテーマによるセミナーの開催はできなかったといっても過言ではありません。テーマ・方向の一致する協同は、大きな力を発揮するということを実感できたことは、何にも換え難い貴重な経験でした。「新建」という名で活動することの少ない、どちらかといえば精神的バックボーンとしての「新建」である少人数の地方支部の今後の活動形態のヒントになったセミナーでもあったように思います。
講師の方々も、今回は新建外から、そして実践されている方々を招くことになりました。他団体との協同という側面を持つ今回のセミナーには、新建側からも、また新建外からも同じ視点を持つ人々がこんなにいるのだということを認識し合うのに、それがふさわしいということになりました。新建のみならず、様々な交流が深まる可能性を実感できたのではないかと思います。
反省点もありました。特に、協力してくれた人々全員がセミナー全体の運営という実行委員ではない変則的な形態であったため、さらには新建の力が特に小さいために、所々にどちらのセミナーかわからないくらいに新建の姿が見えない状況があり、周囲の方々には多大な迷惑をかける場面もありました。
第3講座に関しては参加者全員が体験できるような環境造り・整備のため約一ヶ月以上も前から毎週のように研究所や上越森林管理署の方々から山に入って頂きました。まさにおんぶに抱っこ状態でした(セミナー後の整備や完全な状態への間伐もやって頂いております)。そんな中でも研究所側の「このセミナー準備を通じて間違いなく研究所が成長している姿がわかる」との言葉には救われる思いでした。
資料を読み返してみると、第一回目の実行委員会は約一年半前二〇〇〇年2月26日となっていました。この記録には既に方向を指し示した提案がなされているため、もう少し前から漠然とした話し合いがあったものと思われます。勿論その時から全力疾走している訳でもなく、中だるみの期間も相当あった訳ですが、今回のセミナーの形態や、なかなか集まる機会を作ることの困難さ、団体間の意思疎通の時間的配慮を考えると、早すぎる準備ではありませんでした。
特に今回のセミナーを目指して広く実行委員を募るため支部独自で「新建塾」と銘打って「木造のお話」「職人さんに聞いてみようシリーズ」など約一年間にわたり計7回のセミナーを企画・開催することができました。毎回研究所の方をはじめ若手技術者など三〇名を越える参加があり(他の建築団体の講習会等の参加者数から比較してもこれは驚異的な参加者数なのです)、結果的に実行委員会への参加や「セミナー」への参加へ直接的に結びついたのかは別として、新潟支部の新建活動の歴史の中では画期的なことだったと思っています。協同は間違いなくお互いを刺激し合っていたことを痛感しています。
支えられたという点では、内側からの支援も大きな要素でした。支部内には、成功への期待と共に常に不安がつきまとっていました。今回のセミナーでも体験講座をセミナーの前後にもってくる自由参加型ではなく、講座として設定することへの不安や、「木」に関するテーマを多角的に捉えようとしても、それが「建築」や「まちづくり」とは少し離れた解釈になるのではないかという不安。支部の一人よがりになっているのではないのか…。そんな不安感を「確信」へと変えた契機は全国の山本事務局長夫妻も交えた富山支部との合同会議でした。意見交換はまさに我々の一歩足を踏み出しづらい状況を背中から後押ししてくれ、ある意味では責任の分担的な安堵感も与えてくれました。経験の浅い支部への援助は、様々な形態で可能であり、むしろ物理的なものより実行委員の方向性に自信と確信を与える意識づくりが最も大きいことだと思います。ただ一度の会議でしたが、実行委員が受けた「手応え」は大きいものだったと思います。
よく、他の建築業界のセミナー等に参加すると、けっこう補助金等で参加費を補填してもらったりすることがあります。新建の場合は、ほとんどの支部で補助などできないだろうと推察します。北海道、長崎、岡山…。参加者の顔ぶれを見て、「そんなに遠くから…。こんなに大金を出してまで…。」と、実行委員の中では驚きと共に、少しでも楽しんでもらえるように、少しでも充実したセミナーになるようにと思いを一つにしただろうと思います。実行委員は裏方と言われますが、そんな意識は全くなく参加者と共に実行委員自身が楽しむことができました。セミナーを真正面より受け止めていただいた皆様に感謝!!
また初日、雨のため「青々とした芝生の上で満天の星空を見ながらのバーベキュー」は実現しませんでしたが、セミナー最終日、皆さんが帰られた午後からは、まさに一〇m先が見えない位の霧が発生したことを考えると、二日目の体験講座の日のみが晴れていたことになります。「自然」もセミナーに協力してくれました。ヨカッタ!!
(新潟支部・岩野克行) |


森林散策へ出発!

第3講座
ぶり縄を使って木登りを実演する島崎洋路さん

第3講座
里山の生態系を説明する長谷川康雄さん

第3講座・森林散策コース
下草狩りの体験

第3講座・間伐体験コース

第3講座・間伐体験コース
第3講座・森林散策コース
第3講座・森林散策コース

第1講座
近くの山の木を使った家づくりの
とりくみを語る長谷川敬さん

第1講座
杉間伐材を使った家具づくりの
実践報告をする関原剛さん

懇親会にて
懇親会にて
懇親会にて

見学会
小国和紙の手漉きを体験
(新潟県小国町)
見学会
重要文化財の旧長谷川家住宅
(新潟県越路町)
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