「新日本人/旧日本人」モデル
『「新日本人」革命』に書いた「新日本人/旧日本人」モデル と、その解説を以下に掲載します。
これは具体的に新日本人と旧日本人のビジネスに対する意識や姿勢がどのように違っているのか、行動の傾向によって意識の違いを示すものです。 項目としては、最初にその人の性格一般について「メンタリティー」としてまとめ、次に「価値」を追い求める姿勢を持つかどうかについて比較しています。その後に「社会」をどうとらえているか、自分の勤めている「組織」をどう考えているか、自分の「仕事」についての態度、そして他人についてどのように接するのがいいと考えているかといったことを比較しています。 その後に、これからのビジネスマンにとって欠かすことのできない2つの能力について比較しています。ひとつは「ネットワーク能力」。これは組織の外部の人や情報をどのように自分の中に取り込むかという姿勢についてのもので、基礎的な能力と、ネットワークをつくって運営する能力という2つの部分に分けています。もうひとつは、ビジネスマンにとって重要な能力である、「いかにして儲けるか」にフォーカスする「ビジネスマインド」を持っているかどうかについて比較しています。どちらもこれまでの日本企業の中ではたいして重視されなかったけれど、本来は最も大切な能力です。
解説は2001年頃に書いたものですので、やや古さを感じさせるところもあります。原稿をそのまま載せているので、本とは異なる部分が多々あります。 久米
新日本人/旧日本人モデル英語版
お神輿経営の病理
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【集団依存】 会社にぶら下がっている。どうせぶら下がるなら「寄らば大樹の蔭」と考えている。数を頼む 【絶対平等主義】 パフォーマンスの低い人の報酬や労働条件に、全員が「平等に」合わせるという「平等主義」 「出る杭は打つ」ものの、決定的な敗者も作らない 【他律性】 自律性がなく、周囲の意見に従って自分の態度を決定する。だから思考停止していても不便を感じない 【論理性欠如】 論理とかセオリーに従わず、感情的、感覚的判断を行う 自分にとってメリットがあるか、自分の立場にプラスかどうかという近視眼的な基準で物事を判断する 【目的意識の欠如】 明確な目的意識を持たず、集団への依存心が強いので、自己を超克する努力などしない。飲み屋で同僚とぼやき合って、マイナス方向のエネルギーを蓄積していく。 【「知」に対する無感覚】 「知」の決定的な重要性を意識していない。だから洞察力も判断力も磨けないし、自分で物事を考えようとしない 組織的な判断(稟議)を行い、責任を回避する 自分にとってメリットがあるか、自分の立場にプラスかどうかという近視眼的な基準でしか物事を判断しない
【批判精神の欠如・内向性】 「目上の者を指さしてはならない」と思っている 自分の仲間なら、反社会的なことをしていても批判しない。「身内の恥は我が身の恥」として不祥事を隠匿する。しかし、たいていはバレてひどい目にあう 【権威主義・虚礼重視】 たとえ無能で、年功で出世した者でも、あくまでもメンツにこだわる メンツの後ろ盾になっているのはカイシャ。肩書きを取ると、途端に無力になる 【親分肌の明るい笑顔】 性格は明るく、根拠なく楽観的。人に好かれる。それは資源をばらまいて、人にいい顔をするのが仕事だと思っているからである。その資源は自分のモノではないのだが…… 【即物的】 所有という概念に執着する 無形資産の価値を理解しない
【自立・自制・自然】 精神的にしっかり自立している 自分をコントロールできる 自然でいられる 作為がなく、無理な負荷もなく、常に平静な心持ちでいられる 【自由な精神】 「自分は何ものにもとらわれず、何でも思ったことができる」と考える、何物にもとらわれない自由な精神を持つ 【利他精神】 他人に対する自然な思いやりを持つ 【自己責任原則】 根拠に基づいて合理的に判断し、自己責任でリスクを取る 【自己認識】 しっかりした自己認識を持つ。自分の得意不得意を客観的に把握する。得意な部分を伸ばし、不得意を克服しようと努力する 【思慮】 知的好奇心を持ち、情報を収集する 論理的に推論して的確に判断・洞察する力を持つ 【合理主義】 目的合理的に行動する 【プライド】 自分の仕事、仲間や自分の属する組織に誇りを持っている 【内的世界の充実を志向】 心の豊かさを追求する。豊かな文化(内的世界)を持っている
【価値軽視】 モノの「価値」をあまり深く考えようとしない だからさし迫った危機意識を持たないし、価値観の違いを根拠にして他人に「NO」を言わない 「現状のままでいれば、常に明日という日は来るはずだ。何が問題で騒いでいるのか」と他人事に受け流している 【保守主義・前例主義・教条主義・拝外主義】 「現状を改変してはならない」という信念を持ち、革新的なことは認めようとしない 自分たちと異なる立場は絶対に許容しない。新日本人を敵視する 【ご都合主義・相対主義】 何事にも「白黒」をはっきりさせず、自分の態度を表明しない 付和雷同的に「他人がよいと言っているものはいいんだ」と思い込み、物事を実質本意に判断しようとしない 【中庸・無為無策を尊ぶ】 決して「物事の大元を変更してはならない」と思っている。 前任者の責任を問うような方針変更は「過激」として排除され、「改革」は単なる弥縫策に矮小化される
【価値を追求する】 「価値」って何? 人はなぜ、何のために生きているのか=死生観 本物と偽物の違いが理解できるか=一流とは何か 世の中全体にプラスになるものは何か=公益に立った価値体系 【変革志向性 危機意識】 現状認識力があるので、「常に進化しなければ競争に負ける」という健全な危機感を持つ。だから変革を望み、価値を尊ぶ 【強い自我】 克己心=向上心+信念+規律 向上心 常に現状を批判する強い問題意識を持つ 信念 必ず解決できると信じて問題と正面から対決する。 規律 常に客観的に自分の仕事をシビアに見つめる。自画自賛せずに普遍的価値に従う
社会観
【カイシャ中心的社会観=閉鎖系社会観】 自分の縄張りである所属組織の中だけで生きている 発展性に乏しく、変化への適応力も、ダイナミズムにも欠けた集団主義、封建制、中央集権システムが健在 【自己目的化・曖昧なリーダーシップ】 会社は利益追求を目的としていない。ただ存在すること、生活が続くことが目的である リーダーに実権はない、主権者も存在しない、曖昧な統治システム 基本的に会社と自分の、一対一の関係だけを考えていれば生きていける 【社会全体より所属組織が上位】 所属組織への忠誠心だけは旺盛だが、社会の全体利益への関心はない 社会的なルールや「市場」という普遍概念を理解しない 「部分最適化」がなぜ問題なのか理解できない 【組織の現状肯定】 組織の現状に全く疑問を感じない、批判しない 現行システムの中で無難にやっていこうと考える 敵をつくらない 秩序を乱さない 【受苦の美徳】 封建制度下での理不尽な苦しみに、尋常ならざる忍耐力で耐える 【社会参加意識の欠如】 社会に働きかける「社会参加意識」がない。 ボランティアをやっている人間の精神的な正常性を内心疑っている
【開放系社会観】 オープンな社会や組織の中を自由に移動する しがらみにとらわれない 積極的に情報発信する 【社会参加意識】 「誰かに食べさせてもらうのではなく、自分の能力を生かして自分で稼ぐべきだ」と考える 個人個人がちゃんと働けば、十分生活できるはずだと認識している 自立しているからこそ「社会は、一人ひとりが支えるものだ」と意識している。「自分はどう社会参加するか」を考える 【社会性認識】 自分が属している組織の中だけではなく、「社会全体の中でどう生きるか」を考えて行動する 「自分が帰属する社会からどれだけ望まれ評価されるか」「売り上げ以外の何を世の中に残せるか」と考える 【社会的役割意識】 事業は世の中である役割を果たしていなければならないと理解している 社会には、いくつかの機能が必要であり、「引き受け手のない機能を私が果たそう」と自発的に考える高い志を持った人は、NPO活動に身を投じる
組織観
【現状肯定・無目的】 「組織秩序の維持が何より優先」と考えている。 組織内では、イレギュラーなことは起きてはならない。創意工夫や、問題提起、現状否定があってはならない よもやこの世に利益追求を目的とする組織があるなどとは想像すらできない 【リーダーシップの欠如】 「役割認識」ができないので、リーダーシップもなければ、リーダーを支えるフォロワーにもなれない。だから自律的組織行動ができない 【地位固執・権威主義】 集団依存と地位固執は連関している 「地位は能力を超える」と思っている。無能にもかかわらず指導的地位につき、部下を疲弊させ資源を空費しても、まったく平気である。成功の確信なく業務を指示し、失敗しても「自分が責任をとる必要がある」とは想像すらしない 【なりふり構わぬ出世主義】 出世主義者は、"恥"を知らないので、人事権者に取り入ってたいがいうまく出世してしまう 「会社に養ってもらっている」という負い目を感じているので、「逆らわず、静かにさえしていよう」と思っている 【ルール無視、規範無視】 社会全体のルールに反していても、「われわれの組織だけは特殊だから」と受け流せる 【徒党を組み、敵味方を分けたがる】 部下の成長の芽を摘み取ってスポイルする 身内を集めて人垣をつくり自分の地位を保全しようとする 組織に寄生して顧みるところがない
【他者との共働の場】 「自分に足りないものは誰かに加えてもらえばいい」と考える 全体に対してプラスの結果になるのなら、自分の手柄にならなくても結果に満足できる 【パートナーシップ】 「損して得取れ」。利得の独占をあきらめてパートナーの積極的な参加姿勢を引き出す 【合目的的組織観】 「組織は目的追求のためにある。目的に則したより高い価値を生むためには、上下関係や、その組織の中だけでしか通用しないルールは無視してもよい」と、合理的に考えている 【法令遵守】 社会的なルール、規範は名誉にかけて守る 【組織相対主義・組織より社会が上位】 普遍的に通用している規範を所属組織に持ち込む努力をする。デファクト・スタンダードに対応するように、組織内部の文化や現行ルールを変えようと試みる 【市場主義、競争主義の是認】 「組織は、常にオープンな市場において他の組織と激しく競争している」という意識を持つ
仕事観
【仕事軽視、会社重視】 会社のため、死ぬほど働くこと自体に意味があると思っている。成果は全然気にしない 自分の点数にならない仕事はしない 自分では価値は創らないが、「人の手柄は横取りしてもよいもの」と考えている 【市場軽視】 株式会社、資本主義、市場での競争という概念を敢えて理解しようとしない 【向上心欠如】 「今の仕事をずっと続けていれば問題がない」と、根拠なく信じている 環境の変化を認識しないので、仕事に対する向上心を持ちにくい 【価値軽視・「知」への欲求なし・自発性なし】 「組織に属している」という現実に十分満足していて、「もっと稼ごう」とか、「より新しい価値を創ろう」とか、「スキルを磨こう」という意欲がない。「クビにならない程度にやってればいい」と漠然と考えている 【組織重視=責任感欠如】 顧客を見ず、会社の内部や利害関係者の利害に偏った仕事をする。結果として失敗しても「会社のため」を言い訳にして問題を感じない 【強制的労働観。顧客軽視】 労働は「強制されるもの」と受動的に捉えている 顧客や社会に思いが及ばないので、仕事がつまらない。やりがいがない
【プロフェッショナリズム=知への欲求】 プロフェッショナルになろうと努力し、プロであり続けようとする 【自分が自分を養うために働く】 「自分の長所を発揮すれば、生きていけるはずだ」と認識している。だから会社に頼ろうとは考えない 【当事者意識】 「自分がやらない限りは、おまんまの食い上げだ」と考えて、仕事に積極的にコミットする 【価値志向性】 仕事とは、新たな価値の創造活動であって、価値を生まない仕事は真の仕事ではない。 「仕事は自分で作るもの」と思っている。どんな仕事でも自分でおもしろくすることができる 価値のクリエイターとしての苦しさに耐えられる 【収益感覚・利益追求感覚】 「仕事は儲からなかったら無意味である」と考える 「カネ=資本」と上手につき合う 【社会の一員として働く】 「自分は仕事を通して顧客につながり、そから社会全体につながっている」という世界観を持つ 【役割認識】 組織のビジョンや目標を同僚と共有し、協力して職務を達成する 「全体の中の自分の役割」を認識して、組織の全体利益を第一目標に考える
【排外主義】 身内はどんな悪人でも味方、他人は徹底的に敵 身内だけが信用できる、他人には興味を持たない 【仲間主義=結果平等】 とにかく建前上は、仲間は同じ報酬待遇(結果平等)じゃなきゃいけない。格差をつけては和が乱れるので、できる社員から搾取し、落ちこぼれ社員を救済する 【下司根性】 「みんな自分と同じだ」=「みんな自分の利益のためだけに働いている」と短絡思考している 【鬼上司・平目部下】 「人を動かすには、上から指図しなければならない」と考える。業務目標は「与えるもの」「与えられるもの」と認識している 上司にはへつらう、同僚はライバル視、部下は好き嫌いで扱いを変える
【人間探求】 「人間とは何か」を追求し続ける 自分と他人には違い(性格・能力・資源)があることを前向きに捉える 他人を評価し、協力して成果を追求する=パートナーシップを組む 【哲学や理念で動く】 「人はルールや価値に基づいて動くし、動かなければならない」と思っている
1.仕事に関係のない情報を貪欲に摂取しようとしない 2.会社の外には出て行かない。ネットワーキングの持つ意味を理解しない 3.自分が持っている知識やノウハウ、人脈を仲間に伝えたり、共有する必要性をまったく感じない。またプレゼンテーション能力もない 4.「勉強しなくても、組織や地位が自分を守ってくれる」と信じているので、組織的学習を軽視している。組織的に「知」を作ろうとしていない
1.外界志向。「価値のあるもの」を、常に好奇心をもって貪欲に吸収する 「異物との出会い」をチャンスとして捉える 2.自分の意見を積極的に開示し、立場の異なった相手の考えを引き出そうとする オープンに情報を発信し、反応のあった相手の異見を受け容れる 自分の考えに固執せず、まちがっていれば柔軟に変更する 3.ビジネスを構想しプレゼンテーションする能力がある 自分でものを考える=文章を書く=相手を楽しませることができる。だから他人のアイデアを評価できる 4.組織学習の仕組みを作り、全員で「知」を共有しようと努力する
ネットワーク運営力
1.ネットワーク運営についての理解がほとんどない 会社さえ存続していれば、社外の人とネットワークを結ぶ必要は感じないし、対人関係は全て固定的な「支配=従属関係」に落とし込めば安心。「人脈とは、癒着と同義だ」と考えている 2.自分が理解できないものはすべて否定する。「異物と触れ合うことからなんらかの価値が生まれる」と思っていないから、理解力が欠けている 3.ネットワーク・コミュニティの概念が理解できないので、「場」にうまく参加できない 4.付き合い、仁義、メンツ、従来の経路に偏重する癒着体質がある
1.ネットワーク・コミュニティの特性をきちんと理解している ・オープンな組織 ・肩書きが関係ない平等な組織 ・参加者同士が助け合う相互支援組織 ・お互いが得をするWin−Winネットワーク ・面白さは参加者本人が見つけること ・個人間に自主的に価値ある関係を構築する ・参加者にコミュニティ維持のコミットを求める 2.ネットワーカーとしての能力を備え、ネットワークの結節点となることの有益性を知っている 3.ネットワークを自分で構築し、運営する能力を持っている ・参加者共通のテーマ・目標・文化をつくる ・ルールブレイカーを毅然とした態度で排除する ・根回し、気配りで場を盛り立てる 4.インターネットは、利用者の思考法をネット社会対応型に徐々に変えていく インターネットは無機的なネットワークでありながら、無から有をつくることができる存在である
ビジネス・マインド
1.本心から、「自分の使命は儲けることだ」とは思ってない 組織を存続させることが前提なので、「儲からない組織は無駄だ」とは考えない 2.生産性、効率性、コスト意識……辞書にない 3.自分の頭で考えない、文章を書かないし自己表現しない 他人と同じであることを好む。所属集団に埋没することを好む 4.社外に目を配らないので、危機意識を持たない 変わりたくないので、変化から目をそらし続ける 大局観がない。周囲5メートルに視野を限定し、あえて現実を見つめようとしない 5.とにかく偉い人、力のある人が言うことが正しい。会議では発言してはならない。責任を分散させるために黙って座っているべきもの 6.顧客満足より、まず自社の利益と秩序維持 自分の立場さえ守れればいいので、「利益相反」という概念が理解できない 7.集団的思考停止、戦略性欠如 意思決定システムの中に責任者・判断者がいない 8.無謬主義=人治主義・建て前主義 「完璧を期すためなら、コストをいくらかけてもよい」と思っている 9.リスク感覚がない。リスクを取ることを嫌う。リスク対処能力がないのでリスクとつきあえない
1.「ビジネスとは、付加価値をつける仕事をして、その結果として利益を出すことだ」と理解している 2.経済合理性をセンスとして身につけている 経済センス =簡単な経済的原則を感覚的に把握している ex.需要供給曲線 リスク 限界効用 トレード・オフ 機会損益 経営センス =「資本を生かしてニーズに対応し、利益を生むこと」 ex.選択と集中 競争優位 スピード 3.顧客志向 顧客と向かい合い、相手のことを慮りつつ、どのような価値を提供していくべきかを常に意識して行動する。そしてよりよい価値を顧客に提供し続けるために、勉強して自分自身を磨き続ける
4.時間が貴重であることを知り、スピードと段取りを重視して行動する
岡本呻也