運営者 この前テレビに出て新日本人話を40分ばかりしたんですけどね。あれって難しくって、「天皇制と神輿と日本の企業組織の無責任体制は似ている」という話をしたんですが、「天皇には実権がない」という話をしていたときに受け手のキャスターの人が、「それは究極の無責任体制ですねえ」と言ったんですよ。
日本の企業組織についてであれば、それは究極の無責任体制と言ってもいいんですが、天皇を対象にした場合には、昭和天皇の戦争責任についてはなかなかやかましい議論があるので、「そこはまあいろいろと議論があるんですけどね」という言い方をして逃げるしかなかったんです。
飯坂 それはまずいでしょう。そこははっきり言うべきだったと思うんです。じゃないとひっかかりますよ。
明治時代の哲学館事件なんかもそうですが、自分が意図したことではないのに、ちょっとひっかかっただけで、あたかも天皇を非難しているようなイメージが持たれて糾弾されるとか、ぬれぎぬを着せられて退場に追い込まれるというのは、よくあったことです。
今の企業の中だって、例えば部長について批判がましいことを報告書の中に書いたりすると、それが独り歩きをして大きな問題になるとかありがちですよね。
何か小さなことが、正当な論議を経ないでフレームアップして、まともな議論もないところからつぶれてしまうというのが、日本の組織の現状ですよ。
運営者 まったくそうですよ。事大主義ってやつです。声の大きなほうに味方して、ヤクザや総会屋の言いがかりに近いですよ。
ありますねそういうこと。ちょっと前にも、太田誠一が田原さんに載せられてつい、学生の集団レイプを「まだ元気があるからいい」と発言して引っかかっていたと思うんです。「またやってるなー」と。
言葉を、その本来の意味を取らずに、瑣末な部分だけを拡大して「自分たちの論理に当てはまらない」と大騒ぎして、せっかく値打ちのあるコンセプトでも引きずり降ろして、引きずり回して足蹴にして、自分たちのやり方を変えない、というのが旧日本人の常套手段ですよ。べつに太田誠一を弁護するわけじゃないですけどね。
それを逆手にとる方法もあって、自治体改革を推進する文句として、誰かが「三位一体」と言い出したんですよ。これは、みんなの頭に入りやすいので、スローガンとして一人歩きして、あれほど「不可能だろう」と思われていた自治体への財源移譲が少しは進みそうな気配がみえてきましたからね。
飯坂 三位一体というのは、キリスト教でしょう。日本と関係ないじゃないですか。
運営者 アタナシウス派ですよね。だけど、日本では昔から「三位一体経営」というスローガンがあるんです。
飯坂 なんですかそれは?
この話は2003年の話で古くなっているかも知れないし、そもそも酒飲み話だし・・・