『アルツ君』とコミュニケーションをとることは、私にとって必要以上の忍耐力が要求されるので、なるべく仕事では絡まないように神様にお願いしているほどです。ところが、このドヨドヨ環境には、『アルツ君』と、上手くコミュニケーションをとっている奇特な生態系がいくつか存在しているんですね。その奇特な生態系の第一は『アルツ君』と同じパラサイト系に属している『シーラカンス君』です。
『シーラカンス君』というのは、カイシャ族としての成長を自発的に止めてしまっていて、外界からの刺激に対して身体を固い鱗で覆い、一切反応しない、何があろうと自分の考え以外では動かない人です。早い場合は、入社直後から既に、『シーラカンス化』を決め込んでいる場合もあります。
『シーラカンス君』に初めて遭遇したカイシャ族は、最初のうちは、「彼の性格が単に頑固なのかな?、それとも物分かりが悪いのかな?、要領が悪い性格なのかな?」と思って接しています。そのうちに、実は、『シーラカンス君』は、カイシャ族として生産的なビジネス活動だけでなく、カイシャ族として進化していくことすら拒否しているらしいこと、一切の外界との接触を停止していることが判明するのです。つまり、『シーラカンス君』は、仕事を覚えたり、ビジネスする意思がないのです。ただただ、じっと机の前に座って時が過ぎる中に身をおいている存在であることがわかってくるのです。
絶対に一緒に仕事をしたくないタイプですね。周りからいくら何をいっても、おどしても、なだめても、おだてても、木に登らないんです。ちょっとやっかいですねえ。
もし、アナタがラッキーにも、『シーラカンス君』が、言葉を発する場に遭遇したら(ちっともラッキーじゃないですね)、それは必ず、「ほっといてくれ、このままでいいんだ。現状維持」というフレーズです。
いくら周りが、根気強く『シーラカンス君』に接していても、人間、限度があります。『シーラカンス君』クラスの強情さになると、誰ももう、彼に期待することは諦めて、配転させるか、無視するかになります。カイシャとしては、『シーラカンス君』の扱いに困ってリストラしたくても彼には通じないし、また彼は絶対に同意しないので、諦めるしかないのです。そのプロセスを経て、『シーラカンス君』はカイシャふぁみりーの扶養家族として養われるパラサイト系のメンバーに加わった訳なんですよ。
『アルツ君』とは、パラサイト系というつながりでシンパシーを感じ合っているようです。ただし、まあ、パラサイト系の彼らが私たちの考えるようなレベルでのコミュニケーションを取っているのかどうかは謎です。