Q3−1 裁判所ってどこにあるんですか?
A 熊本の場合、熊本市に地方裁判所本庁/家庭裁判所本庁が、玉名市、山鹿市、阿蘇市、本渡市、八代市、人吉市に地家裁支部があります。そのほかに、簡易裁判所が荒尾市、高森町、御船町、宇城市三角町、牛深市、水俣市にあります。つまり、裁判所は意外と近くの町にあるんです。
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Q3−2 どうして裁判って時間がかかるのですか。
A 原因はいろいろありますが、裁判官の数が少なすぎることがいちばん大きい原因です。裁判官は、びっくりするくらいの激務をこなしています。民事裁判官の場合、1人あたりの平均担当事件数は200件くらいといわれています。これでは事件の処理に時間がかかるのはもちろんですし、事件に向き合う姿勢もおろそかになりがちです。また、判決を書くのが面倒だから強引に和解をさせようとしたりという弊害もあります。
時間がかかる裁判を改善するには、まずは裁判官の大幅な増員が不可欠です。
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Q3−3 刑事裁判はイメージがわくのですが、民事裁判はどういうものなのかイメージがわきません。民事裁判というのはどういうときにおこなうものですか。
A 民事裁判は、私人どうしの間で権利関係の紛争が生じたときにおこなうものです。「権利」とは、何も「表現の自由」とか「宗教の自由」のような憲法上の人権のことではなく、私法上の権利のことです。たとえば、物を売ったときに代金の支払いを求める権利、代金を支払って売ってもらった商品を引き渡してもらう権利、賃貸期間の終了後に貸していたアパートの部屋を返してもらう権利などがそうです。
これらの権利を実現する手っ取り早い方法としては、自分で力ずくで実現することが考えられますが、それは「自救行為」と言って違法であり、刑事責任を問われることもあります。いくら自分に権利があるからといって、相手が応じないときに自分で力ずくで実現してはいけないのです。
その代わりに国家が準備した「権利実現サービス機構」が民事裁判です。
AさんがBさんに貸したお金を返してもらえないときのことを考えてみましょう。もしもAさんがBさんを脅してお金を取ろうとしたり、Bさんの家の金庫から無理矢理おかねを持って行ったりすると、それぞれ恐喝罪や窃盗/強盗罪に問われてしまいますから、そういう乱暴なことはできません。それではAさんはどうすればいいかというと、民事裁判を起こすといいのです。民事裁判では、「自称権利者のAさんは、本当に権利を有しているのだろうか」ということの確認のために裁判手続きがすすめられ、裁判所が「Aさんの主張する権利は認められる」と考えた場合に、Aさん勝訴の判決が言い渡されます。勝訴判決を得たAさんはその判決を持って裁判所の窓口で強制執行(たとえば、金庫のお金の差押えや銀行口座の差押えなど)の申立てをすれば、あとは裁判所が国家の名の下に権利を実現してくれます。ただ、このケースで仮にBさんが金庫にも銀行にもお金を持っていないケースのように、相手に資力がない場合には、いくら強制執行といっても相手からお金を回収することはできません。国が税金から補填してくれるわけではありませんので、その点だけは注意しておく必要があります。
私人が自分の力で無理矢理に自分の権利を実現する世の中(原始社会)というのは物騒なので、国家が私人のために権利実現のための道具を準備したのが民事裁判なのです。
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