パソコンの静音化を考えてみる

パソコンの静音化を考えてみる

パソコンを静音化をするには、冷却ファンの回転数を落としたり、PCケース内に消音材を使う方法があります。しかし、ケースの鉄板が薄かったり、隙間が大きいと冷却ファンとPCケースが共振して音が小さくならないことがあります。冷却ファンの回転数を落とすと風量が足りなくなって内部に熱がこもることがあり、最悪の場合は熱でHDDなどが壊れることがあります。冷却ファンを大きなものに交換できる場合は、空き点数の低い冷却ファンに交換することができます。例えば、X-Fanの80mm角のRDL8015Sと120mm角のRDL1223SXを比較すると、RDL8015Sは最大風量23.02CFMで騒音値が21.60dB、それに対してRDL1223SXは最大風量30CFMで騒音値が17dB以下なので、120mm角の冷却ファンの方が静かになることが分かります。

前述の通りに考えると、ATX電源も80mm角の冷却ファンのものより120mm角の冷却ファンのものの方が静かとなりますが、一概にそうとも言えないところがあります。120mm角の冷却ファンを使った場合は、冷却ファンの回転数が低くできることと、ATX電源の排気口より少し離れたところに冷却ファンが取り付けられているので、通常は静かになります。しかし、ATX電源内部の発熱量等が多いとファンの回転数を高くして冷やさないといけなくなるので、120mm角の冷却ファンを使ったATX電源でもうるさいものがあります。特にパソコン内部の消費電力が大きくなるとATX電源の冷却ファンの回転数が高くなることがあります。特に容量の小さなATX電源で容量ギリギリまで使うとうるさくなるだけでなく、電源が壊れたり、電圧の変動によってどこかが壊れることがあるので、電源容量は余裕を持たせた方がいいと思います。パソコン内部の消費電力は、以下のサイトで大雑把に見積もることができます。ATX電源のファンがうるさかったり、排気口から熱い空気が出ていて気になる場合は、一度確認されるのがいいと思います。
 ASUS 電源用ワット数計算機
 電源容量 ☆ 皮算用 ☆ 計算機。

静音化は、CPUクーラーを大型のものにしたり、水冷化するという方法があります。ただし、注意しないといけないことは、大型のCPUクーラーを入れた場合、冷却ファンとケースの隙間が狭くなって空気が流れにくくなることがあります。またCPUクーラーの構造によっては、チップセットやマザーボード上の電源回路、メモリに風が当たらなくなることがあります。以前、熱でメモリが壊れたり、チップセットが熱暴走を起こして調子が悪くなったところを何度か見ているので、社外品のCPUクーラーに交換するときは注意が必要です。この点については、水冷も同様のことが言えます。一応、マザーボードのマニュアルには、どこに空気が当てないといけないかが書かれていることがあるので、冷却方法を確認してから水冷や社外品のCPUクーラーを導入したほうがいいと思います。

ケースを購入するときは、まずケース内に空気の流れを妨げるものはないかを確認します。フロントファンの前には、フロントUSB端子などで塞がっていることがたまにあります。またフロントの通気孔が小さいこともあります。後、軽いケースは、鉄板が薄いため共振しやすいことがあります。ただし重たいケースでも組みつけが悪いとケースがビビったり共鳴してうるさいことがあります。実際に電源を入れてみたら音は静かだけど、通気性が悪くてケース内に熱がこもるものもあります。PCケースは、カタログに書かれていない重要な要素が多いので、選択が難しいです。

巨大なCPUクーラー

巨大なCPUクーラーがATX電源の吸気口とケースファンを塞いでいる?

余談ですが、実際のパソコンの消費電力が気になる方は、サンワサプライのワットチェッカーなどで計測してみることをお勧めします。パソコンが待機している時と処理している時とでは、消費電力が変わることがあります。

電源を入れる前

パソコンの電源を入れる前の消費電力

OS起動中

パソコンの電源を入れて、OSが起動している時の消費電力

OS起動完了時

OSが起動して待機している時の消費電力

これを見るとパソコンをコンセントにつないだ状態でも電気が流れていることが分かります。時計を動かしたり、BIOSの設定の保存のために常に電気が流れています(コンセントを抜くと内蔵電池で稼働しますが、しばらく使わないと電池の寿命が短くなります)。OS起動時は、ハードディスクが稼働し、CPUに負荷がかかるので消費電力が大きくなり、OSが起動してしまったら消費電力が少なくなります。パソコンの構成により消費電力が変わります。最近のCPUやビデオカードは、使用していない時の待機電力を小さくするように設計されているものがあります。パソコンの構成とワットチェッカーで計測した消費電力を掲載しているサイトがあります。気になる方は探してみてください。

2010年11月27日更新