海外労働運動
バレスチナとイスラエル労組が同席
060915
バレスチナが苦闘訴え
紛争が続くパレスラナとイスラエルのナショナルセンターが日本で同席した
ジラフの国際シンポである。ハレスチナの労組代表はイスラエルのガサ攻撃や
壁による封鎖、通勤不能、花なと物流封鎖なとを訴え、恒久平和を訴えた。
イスラエルのナショナルセンターはパレスチナの報告の事実を認めながらも、
反論する場面もみられた。水面下では組合同志で接触していると聞いたが、民族
と宗教、アメリカのダブルスタンダードの矛盾をうかがわせた。
ACL/CIOスウィニー会長が抱負
060802
アメリカのナショナルセンターACL/CIOのスウィニー会長が7月26日
に来日講演した。分裂したCTWと大統領中間選挙では共闘する意向を表明した
のが注目される。
ブッシュ大統領の政策は格差拡大、労働組合敵視と批判し、対決姿勢を鮮明に
した。日本の組合にも新自由主義との戦いの強化を呼びかけた。
韓国の最新労働事情を取材
050926
労働界の共闘強まり、産別交渉に挑戦
韓国では政労使が激しく対立し、二つのナショナルセンターの共闘が強まって
いた。過日、ジャーナリストなどでつくる日本労働ペンクラブの訪韓団の一員と
して取材した最新の韓国労働事情である。
「政府に亀裂をみせず最大級の共闘対応」と韓国労総(92万人)と民主労総
(62万)が共闘を強化。不安定雇用者を増加させる非正規職保護法案や組合弱
体化となる労使関係先進化法案の反対で一致し、ゼネストも計画と語った。
韓国では三年ほど前から産別労使交渉が進展しはじめ、日本との違いをみせて
いる。韓国労総、民主労総とも欧州型の産別組織を展望し、産別交渉で求心力強
化をめざしている。
全国一律最賃制も平均賃上げ4・7%の約2倍の9・2%(330円)を獲得
した。雇用者の半数を占める非正規労働者の雇用・賃金格差の両極化が社会問題
となり、例年以上の成果を獲得したと、非正規労働センター所長は語った。
日本の労使関係については、GM大宇自動車の部長は「ストなしのトヨタに学
びたい」と語る。財界も「日本の春闘が春討になり感銘している」と賞賛。日本
の悪影響を痛感した。韓国労働運動は民主化後20年で日本の戦後60年の運動
を経験しているといわれる。日韓連帯を含め今後の運動を注目したい。
ドイツの産別パワー
050720
ドイツのルール大学講師などを歴任し、過日帰国した人の帰国報告を聞く機会
があった。
改めて感じたことは、ドイツの組合の強さは産別を軸に、企業、事業所レベルま
で産別労使協約をベースとする重層的な交渉と協約が形成波及していることであ
る。
私もIGメタルが強い地方とされるノルトライン・ウェストファーレンの日本企
業を取材したことがある。印象に残ったのは、経営側が企業業績や職務の多能工
化から、産別協約より高い賃金を支払いたいと思っても、組合の地方組織が賃金
ドリフト(協約上積み賃金)を規制すると聞いた。企業主義を牽制し産別協約を
守るためである。
ドイツの労使関係についてはロンドン大学のロナルド・ドーア教授も産別協約
による格差拡大の防止など社会的パートナーの関係と評価している。岸田氏は「
最近の日本の労使関係はより企業内化している」と指摘。内向き組合の弱点克服
へ、ドイツ・EU(欧州連合)のような社会的横断的な労働運動の強化を提起し
ている。
ロンドン大学・ロナルド・ドーア教授が警鐘
050526
市場個人主義?
「市場個人主義」という聞きなれない言葉が登場した。来日したロンド ン大
学のロナルド・ドーア教授が過日、その内容と問題について講演した。日本労
働運動への警鐘でもある。
ドーア氏は、その思想の背景にアメリカの新自由主義と覇権体制、グローバル
化が世界経済と労働にも波及していると指摘する。労働組合の法的権利も縮小
され、「組合の交渉力低下が所得格差の拡大に結びつき、組合の政治的影響力
の喪失、選挙の結果を左右する力の喪失をもたらした」と厳しく突いた。
市場個人主義は世界の労働運動の宝を奪い、憲法の社会権の否定となる。改
めて働く権利の擁護へ憲法闘争が求められる。
平和国際共同集会に6000人
050320
イラク撤兵、憲法改悪阻止へ
イラク戦争開始2年目にあたる05年3月20日、国際連帯を込めた平和国
共同集会が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、6000人が参加し会場を埋め
くした。
主催は陸海空港湾の20労組などでつくる実行委員会。全労連系、連合加盟
組、全労協系も参加した。連帯あいさつした全労連の熊谷議長は、憲法違反の
ラク派兵反対と撤兵闘争が憲法改悪阻止にもつながると述べ、「平和の闘いで
統のある労働組合の役割発揮が求められている」と決意を表明した。
世界ではロンドンで10万人、イタリアで1万人、アメリカでもベトナム反
集会以来最大のでもも行われた。
ドイツ雇用政策の攻防 「ハルツ法」の問題
050223
ドイツでは「ハルツ法」と呼ばれる労働市場改革法が成立し、05年1月から雇
用給付の変更がすすんでいる。
ハツル法の最大の特徴は、ヌ失業給付期間の短縮ネ「失業扶助」と「社会扶助」
(生活保護に相当)との統合である。失業者の就労促進とはいえ、これまでの雇用
政策の大転換。ドイツのローマン教授は「給付期間の短縮と所得保障の縮減で以前
より早いテンポで生活保護ラインとなる」「低賃金セクターの形成」と語る。労働
組合は「社会的政策の大きな後退だ」と厳しく批判し、社会民主党も割れていると
いう。
皮肉なことに、ハツル法は失業者400万人を3年間で半減させるとしているが
、逆に今年一月には500人へと増加。労働界は厳しく批判しており、今後の動向
が注目される。
チェコ・ハンガリーなど東欧EUの不安と期待
041019
東欧が欧州連合(EU。25カ国)に加盟してから5カ月。新たに加盟した10
カ国のうちチェコ、ハンガリーなど4カ国の労働団体が国際労働財団の招きで来
日し、最新情報を語った。社会主義経済から市場経済に移行し、失業増、所得格
差の拡大に苦闘しつつも、EU基本権憲章への期待などを明らかにした。
多国籍企業の問題も指摘された。ハンガリーの日系企業では自動車、電機など
には「組合がない。日本の連合に(日系企業に)組合をつくらしてくださいと願
いたい」と発言。スロバキアでも日本の電機などは「労働組合づくりに反対」と
いう。チェコの日系企業は130社で東欧最大。2万8千人の雇用を創出し、組
合結成も容認している。
EU加盟で「解雇規制、時短、男女平等などEU基本権憲章の実行を期待」と語
る。政労使の社会的対話(ソーシャル・ダイアログ)を基本するEUモデルを志
向し、産別労使協約の拡大にも期待を表明した。
EU25カ国の拡大と平和・労働運動への期待
040501
欧州連合(EU)は5月1日、新たに10カ国が加盟し25カ国に拡大した。
欧州の統合が始まってから52年。当初の6カ国は拡大して、ついに東西に分
断されていた「鉄のカーテン」(チャーチル元英首相)が名実ともに消えた。新
たに中・東欧など旧社会主義国などが参加した。人口で4億5千万人、国内総生
産で世界の四分の一を占め、アメリカに匹敵する連合国家が誕生した歴史的な新
たな一ページとなる。
チェコとポーラドを三年前に訪問し、EU加盟をめざす両国のナショナルセン
ター幹部に「労組としてEU加盟で有利になることは何か」を聞いたことがある
。当時、両国とも社会主義経済から市場主義に移行し、国営企業の民営化と失業
増、所得格差の拡大などで苦闘していた。市場主義の徹底と基本的権利擁護など
EU加盟条件のハードルのクリアへ向け、EU加盟効果は「新たな雇用創出と所
得水準の向上、格差の縮小」「多国籍企業に対して労組の役割発揮」と期待を表
明した。
拡大EUで注目されるのが、欧州憲法草案である。現行の多くの条約を簡素・
再編するもので、法的拘束力のなかった欧州基本権憲章なとも欧州憲法に組み込
まれることになる。基本権の内容は「雇用、労働や賃金を含むあらゆる分野での
男女平等」をはじめ、社会保障権、不当解雇からの保護、EWC(欧州労使協議
会)でい労働者と労働者代表との協議・情報提供、労組の交渉権・ストライキ権
を含む団体行動権、EUレベルでのソーシャル・パートナー(政労使社会的協議
)などを承認している。
平和についても安全保障戦略として「国際関係の基本的枠組みは国連憲章」「
効果的な多国間主義の推進」を明記し、イラク戦争に象徴されるアメリカの単独
行動主義を強く警告し続けている。対米追随の日本の立ち遅れがにじみでる。
来日した欧州労連の幹部は、拡大EUの賃金格差はチェコ、ポーランドなどは
EU平均の5分の1の格差で格差是正には十年かかると指摘。日経企業の870
社、新たに中・東欧に137社を含め、さらに賃金の低いウクライナなど「東方
拡大」も指摘され、将来のEU・ロシアとの共通経済圏構想へと拡大。ユーロ通
貨とドルを含め、大欧州構想はさらに拡大する方向だ。
ETUCは「多国籍企業に対する権利拡大も要求する」と規制強化を語る。E
Uも不安定雇用の防止と完全雇用・時短・均等待遇など基本的権利憲章の「完全
統合」を重視。「より多く、より良い雇用と高い賃金の上に築かれた福祉社会を
推進する」と語っている。働くルールと平和へ拡大EUの貢献が期待される。
イラク反戦3・20国際共同行動
日本でも草の根運動うねる
040320
インドの世界フォーラムで打ち上げられたイラク反戦3・20国際共同行動が
日本でも全国で展開され、草の根運動の盛り上がりをみせた。
東京では芝公園、日比谷野外音楽堂で開かれ、3万人が参加。全労連や交通2
0労組、WORLD PEACE NOW JPなどが春雨、ボタン雪のなか
集会・デモを行った。東京駅前でも市民にアピールし注目された。
埼玉では北浦和公園に1000人が参加し、小さい女の子も「憲法9条をまも
りましよう 自衛隊のイラク派兵反対 NO WAR」のゼンケン。
イラク戦争1周年・自衛隊の撤退を。アメリカはイラクから手を引きたがりは
じめている。隷属小泉のアホさに泣けてくる。
欧米のテレワーク実情
040315
インターネットで情報インフラ
パソコン、インターネットの広範な普及で在宅形態の「テレワー
ク」(在宅ワーク)が日本でも広がっている。
アメリカ、ドイツ、イギリスのテレワーク実態を報告する国際シ
ンポが開催された。
イギリスでは労働者の4分の1が仕事の一部を自宅で行っててい
ることが報告された。
ドイツでは「自宅でコンピューターを使う仕事があったらやりた
い」と答えた労働者が26%を占めている。しかし、組合は労使協
議の影響力の低下や組織化の困難性、法的不安定などのデメリット
を指摘している。
インターネットの情報インフラでアメリカの医療検査処理がイン
ドで行われ、翌日には検査結果をアメリカに送ることも行われてお
り、国内外の雇用問題ともなっいる。
雇用柔軟化へ欧州労組のフレキシキュリティ
040201
パート、派遣などヨーロッパでも労働の柔軟化が進んでいる。
EU(欧州連合)は労働の柔軟化に対し「フレクシキュリティ」を重視
している。フレキシビリティ(柔軟性)とスタビリティ(安定性)を重ね
た概念だ。97年のEU労使関係文書や雇用ガイドラインで「政労使にと
って基本的な問題は柔軟性と安定性の正しい均衡を図ること」とされてい
る。骨子は「職の安定」「雇用の安定」「所得の安定」「組み合わせの安
定」となる。オランダの時短・パート増・減税・所得保障を組み合わせた
政労使合意などである。
解雇に対するEWC(欧州労使協議会)の改正も求め、「多国籍企業に
対する権利拡大も要求する」と規制強化を語っている。
EUは5月1日から、現在の15カ国から25カ国に拡大する。ETU
Cは、拡大EUも不安定雇用の防止と完全雇用・時短・均等待遇など「基
本的権利憲章」の完全統合を重視。「より多く、より良い雇用と高い賃金
の上に築かれた福祉社会を推進する」と奮闘ぶりを語っている。
世界的な雇用流動化へ国境越えた連携アピール
031201
アメリカなど国際的な雇用流動化の現状と闘いの国際フォーラムが開かれ
た。主催は労働政策研究・研修機構である。
アメリカではパート、臨時、不安定雇用労働者が増大するなかで、組織化
も進んでいる。SEIU(サービス従業員組合)では、在宅介護労働者十万
人に拡大している。
世界大手のスーパーで、組合のないウォルマートとの競争による労働条件
切下げ阻止闘争で、カリフォルニアのスーパーで働く七万人が「労働条件の
最下位争い反対」を掲げてこのほどストに突入した。
「グローバル化した経営側の雇用流動化と低賃金競争に対して、労働者も
地球規模で連帯しグローバルに闘わなければならない」とアピールされた。
アメリカの非典型労働者の現状と組織拡大
031117
カリフォルニア大学教授で、国際サービス労組の顧問弁護士をしているケン
ト・ウォン氏が来日して、アメリカの非典型労働者の運動を講演した。JIL
PTの国際フォーラムである。
非典型労働者は、日本と異なり、パート、派遣労働者は入らず、不安定雇用
(コンティンジェント=雇用継続の契約を結ばない労働者など)をこという。
ウォン氏は、アメリカでパート、不安定雇用労働者の増加と労働市場の二極
化を指摘しつつ、ソーシャル・ユニオニズムに基づくAFL・CIOの組織拡
大実績を紹介した。
「グローバル化で資本が悪い条件で人を使いこなせる競争をしていることに対
して、労働側も地球規模の運動を」と強調。アメリカでは新保守主義を強め、
イラク戦争を始めたブッシュ大統領を倒す運動を強めるとアピールした。
学者、弁護士と同時に、パワフルなオルガナイザーであり、日本とは違うと
の思いを強くした。
スウエーデンなど北欧と日本比較
03.8.7
「雇用流動化時代の組合運動を国際的に展望する」と題して、スウエーデン
・ルント大学のラインホルト・ルァールベンク教授が03年8月4日、東京で
講演を行った。
スウエーデンなど北欧の組織率は80〜85%と高率を占めている。日本は
20%と低下。同氏は、ヒウーアデンでは女性、パートの組織率が高いと指摘
し、日本の正規従業員を組合員資格とする企業別組合の限界を指摘した。
労使関係については、ヨーロッパのネオ・コーポラティズムを反映して、政
労使の協調体制を説いた。組合の力のないコーポラティズムとの違いといえよ
うか。