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海外労働運動
             

               バレスチナとイスラエル労組が同席                   
                      060915
    バレスチナが苦闘訴え                      
                                    



  紛争が続くパレスラナとイスラエルのナショナルセンターが日本で同席した
 ジラフの国際シンポである。ハレスチナの労組代表はイスラエルのガサ攻撃や
壁による封鎖、通勤不能、花なと物流封鎖なとを訴え、恒久平和を訴えた。  
                                    
 イスラエルのナショナルセンターはパレスチナの報告の事実を認めながらも、
反論する場面もみられた。水面下では組合同志で接触していると聞いたが、民族
と宗教、アメリカのダブルスタンダードの矛盾をうかがわせた。       



                                    
              ACL/CIOスウィニー会長が抱負              
                                   060802 
 


アメリカのナショナルセンターACL/CIOのスウィニー会長が7月26日
に来日講演した。分裂したCTWと大統領中間選挙では共闘する意向を表明した
のが注目される。                            
 ブッシュ大統領の政策は格差拡大、労働組合敵視と批判し、対決姿勢を鮮明に
した。日本の組合にも新自由主義との戦いの強化を呼びかけた。       

                                    
             韓国の最新労働事情を取材 
                                      050926          
                                    
         労働界の共闘強まり、産別交渉に挑戦          



 韓国では政労使が激しく対立し、二つのナショナルセンターの共闘が強まって
いた。過日、ジャーナリストなどでつくる日本労働ペンクラブの訪韓団の一員と
して取材した最新の韓国労働事情である。                 
                                    
 「政府に亀裂をみせず最大級の共闘対応」と韓国労総(92万人)と民主労総
(62万)が共闘を強化。不安定雇用者を増加させる非正規職保護法案や組合弱
体化となる労使関係先進化法案の反対で一致し、ゼネストも計画と語った。  
                                    
 韓国では三年ほど前から産別労使交渉が進展しはじめ、日本との違いをみせて
いる。韓国労総、民主労総とも欧州型の産別組織を展望し、産別交渉で求心力強
化をめざしている。                           
                                    
全国一律最賃制も平均賃上げ4・7%の約2倍の9・2%(330円)を獲得
した。雇用者の半数を占める非正規労働者の雇用・賃金格差の両極化が社会問題
となり、例年以上の成果を獲得したと、非正規労働センター所長は語った。  
                                    
 日本の労使関係については、GM大宇自動車の部長は「ストなしのトヨタに学
びたい」と語る。財界も「日本の春闘が春討になり感銘している」と賞賛。日本
の悪影響を痛感した。韓国労働運動は民主化後20年で日本の戦後60年の運動
を経験しているといわれる。日韓連帯を含め今後の運動を注目したい。    


ドイツの産別パワー  
                    
                050720
                            
 ドイツのルール大学講師などを歴任し、過日帰国した人の帰国報告を聞く機会
があった。                               
                                    
改めて感じたことは、ドイツの組合の強さは産別を軸に、企業、事業所レベルま
で産別労使協約をベースとする重層的な交渉と協約が形成波及していることであ
る。                                  
                                    
私もIGメタルが強い地方とされるノルトライン・ウェストファーレンの日本企
業を取材したことがある。印象に残ったのは、経営側が企業業績や職務の多能工
化から、産別協約より高い賃金を支払いたいと思っても、組合の地方組織が賃金
ドリフト(協約上積み賃金)を規制すると聞いた。企業主義を牽制し産別協約を
守るためである。                            
                                    
 ドイツの労使関係についてはロンドン大学のロナルド・ドーア教授も産別協約
による格差拡大の防止など社会的パートナーの関係と評価している。岸田氏は「
最近の日本の労使関係はより企業内化している」と指摘。内向き組合の弱点克服
へ、ドイツ・EU(欧州連合)のような社会的横断的な労働運動の強化を提起し
ている。                                
                                    

       ロンドン大学・ロナルド・ドーア教授が警鐘        
                                   050526
         市場個人主義?                   
                     


「市場個人主義」という聞きなれない言葉が登場した。来日したロンド ン大
学のロナルド・ドーア教授が過日、その内容と問題について講演した。日本労
働運動への警鐘でもある。                       
                                   
ドーア氏は、その思想の背景にアメリカの新自由主義と覇権体制、グローバル
化が世界経済と労働にも波及していると指摘する。労働組合の法的権利も縮小
され、「組合の交渉力低下が所得格差の拡大に結びつき、組合の政治的影響力
の喪失、選挙の結果を左右する力の喪失をもたらした」と厳しく突いた。  
 市場個人主義は世界の労働運動の宝を奪い、憲法の社会権の否定となる。改
めて働く権利の擁護へ憲法闘争が求められる。              



           平和国際共同集会に6000人          
                                   050320
           イラク撤兵、憲法改悪阻止へ           

 
 
イラク戦争開始2年目にあたる05年3月20日、国際連帯を込めた平和国
共同集会が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、6000人が参加し会場を埋め
くした。                               
                                   
 主催は陸海空港湾の20労組などでつくる実行委員会。全労連系、連合加盟
組、全労協系も参加した。連帯あいさつした全労連の熊谷議長は、憲法違反の
ラク派兵反対と撤兵闘争が憲法改悪阻止にもつながると述べ、「平和の闘いで
統のある労働組合の役割発揮が求められている」と決意を表明した。    
                                   
 世界ではロンドンで10万人、イタリアで1万人、アメリカでもベトナム反
集会以来最大のでもも行われた。                    



        ドイツ雇用政策の攻防  「ハルツ法」の問題        
                                     050223
 ドイツでは「ハルツ法」と呼ばれる労働市場改革法が成立し、05年1月から雇
用給付の変更がすすんでいる。                       
                                     
 ハツル法の最大の特徴は、ヌ失業給付期間の短縮ネ「失業扶助」と「社会扶助」
(生活保護に相当)との統合である。失業者の就労促進とはいえ、これまでの雇用
政策の大転換。ドイツのローマン教授は「給付期間の短縮と所得保障の縮減で以前
より早いテンポで生活保護ラインとなる」「低賃金セクターの形成」と語る。労働
組合は「社会的政策の大きな後退だ」と厳しく批判し、社会民主党も割れていると
いう。                                  
                                     
 皮肉なことに、ハツル法は失業者400万人を3年間で半減させるとしているが
、逆に今年一月には500人へと増加。労働界は厳しく批判しており、今後の動向
が注目される。                              


       チェコ・ハンガリーなど東欧EUの不安と期待        
                                    041019
                                    
 東欧が欧州連合(EU。25カ国)に加盟してから5カ月。新たに加盟した10
カ国のうちチェコ、ハンガリーなど4カ国の労働団体が国際労働財団の招きで来
日し、最新情報を語った。社会主義経済から市場経済に移行し、失業増、所得格
差の拡大に苦闘しつつも、EU基本権憲章への期待などを明らかにした。   
                                    
 多国籍企業の問題も指摘された。ハンガリーの日系企業では自動車、電機など
には「組合がない。日本の連合に(日系企業に)組合をつくらしてくださいと願
いたい」と発言。スロバキアでも日本の電機などは「労働組合づくりに反対」と
いう。チェコの日系企業は130社で東欧最大。2万8千人の雇用を創出し、組
合結成も容認している。                         
                                    
EU加盟で「解雇規制、時短、男女平等などEU基本権憲章の実行を期待」と語
る。政労使の社会的対話(ソーシャル・ダイアログ)を基本するEUモデルを志
向し、産別労使協約の拡大にも期待を表明した。              



 EU25カ国の拡大と平和・労働運動への期待              
                                   040501 
                                    
 欧州連合(EU)は5月1日、新たに10カ国が加盟し25カ国に拡大した。  
                                    
 欧州の統合が始まってから52年。当初の6カ国は拡大して、ついに東西に分
断されていた「鉄のカーテン」(チャーチル元英首相)が名実ともに消えた。新
たに中・東欧など旧社会主義国などが参加した。人口で4億5千万人、国内総生
産で世界の四分の一を占め、アメリカに匹敵する連合国家が誕生した歴史的な新
たな一ページとなる。                          
                                    
 チェコとポーラドを三年前に訪問し、EU加盟をめざす両国のナショナルセン
ター幹部に「労組としてEU加盟で有利になることは何か」を聞いたことがある
。当時、両国とも社会主義経済から市場主義に移行し、国営企業の民営化と失業
増、所得格差の拡大などで苦闘していた。市場主義の徹底と基本的権利擁護など
EU加盟条件のハードルのクリアへ向け、EU加盟効果は「新たな雇用創出と所
得水準の向上、格差の縮小」「多国籍企業に対して労組の役割発揮」と期待を表
明した。                                
                                    
 拡大EUで注目されるのが、欧州憲法草案である。現行の多くの条約を簡素・
再編するもので、法的拘束力のなかった欧州基本権憲章なとも欧州憲法に組み込
まれることになる。基本権の内容は「雇用、労働や賃金を含むあらゆる分野での
男女平等」をはじめ、社会保障権、不当解雇からの保護、EWC(欧州労使協議
会)でい労働者と労働者代表との協議・情報提供、労組の交渉権・ストライキ権
を含む団体行動権、EUレベルでのソーシャル・パートナー(政労使社会的協議
)などを承認している。                         
 平和についても安全保障戦略として「国際関係の基本的枠組みは国連憲章」「
効果的な多国間主義の推進」を明記し、イラク戦争に象徴されるアメリカの単独
行動主義を強く警告し続けている。対米追随の日本の立ち遅れがにじみでる。 
                                    
 来日した欧州労連の幹部は、拡大EUの賃金格差はチェコ、ポーランドなどは
EU平均の5分の1の格差で格差是正には十年かかると指摘。日経企業の870
社、新たに中・東欧に137社を含め、さらに賃金の低いウクライナなど「東方
拡大」も指摘され、将来のEU・ロシアとの共通経済圏構想へと拡大。ユーロ通
貨とドルを含め、大欧州構想はさらに拡大する方向だ。           
                                    
 ETUCは「多国籍企業に対する権利拡大も要求する」と規制強化を語る。E
Uも不安定雇用の防止と完全雇用・時短・均等待遇など基本的権利憲章の「完全
統合」を重視。「より多く、より良い雇用と高い賃金の上に築かれた福祉社会を
推進する」と語っている。働くルールと平和へ拡大EUの貢献が期待される。 



          イラク反戦3・20国際共同行動           
                                    
            日本でも草の根運動うねる            
                                   040320      
  
        

 インドの世界フォーラムで打ち上げられたイラク反戦3・20国際共同行動が
日本でも全国で展開され、草の根運動の盛り上がりをみせた。        
                                    
 東京では芝公園、日比谷野外音楽堂で開かれ、3万人が参加。全労連や交通2
0労組、WORLD  PEACE NOW JPなどが春雨、ボタン雪のなか
集会・デモを行った。東京駅前でも市民にアピールし注目された。      
                                    
 埼玉では北浦和公園に1000人が参加し、小さい女の子も「憲法9条をまも
りましよう 自衛隊のイラク派兵反対 NO WAR」のゼンケン。     
                                    
 イラク戦争1周年・自衛隊の撤退を。アメリカはイラクから手を引きたがりは
じめている。隷属小泉のアホさに泣けてくる。               


  欧米のテレワーク実情                  
                        040315                
        インターネットで情報インフラ        
                              
 パソコン、インターネットの広範な普及で在宅形態の「テレワー
ク」(在宅ワーク)が日本でも広がっている。         
                              
 アメリカ、ドイツ、イギリスのテレワーク実態を報告する国際シ
ンポが開催された。                     
                              
 イギリスでは労働者の4分の1が仕事の一部を自宅で行っててい
ることが報告された。                    
                              
 ドイツでは「自宅でコンピューターを使う仕事があったらやりた
い」と答えた労働者が26%を占めている。しかし、組合は労使協
議の影響力の低下や組織化の困難性、法的不安定などのデメリット
を指摘している。                      
                              
 インターネットの情報インフラでアメリカの医療検査処理がイン
ドで行われ、翌日には検査結果をアメリカに送ることも行われてお
り、国内外の雇用問題ともなっいる。             



 雇用柔軟化へ欧州労組のフレキシキュリティ            
                                   040201    
                                 
 
パート、派遣などヨーロッパでも労働の柔軟化が進んでいる。    
 EU(欧州連合)は労働の柔軟化に対し「フレクシキュリティ」を重視
している。フレキシビリティ(柔軟性)とスタビリティ(安定性)を重ね
た概念だ。97年のEU労使関係文書や雇用ガイドラインで「政労使にと
って基本的な問題は柔軟性と安定性の正しい均衡を図ること」とされてい
る。骨子は「職の安定」「雇用の安定」「所得の安定」「組み合わせの安
定」となる。オランダの時短・パート増・減税・所得保障を組み合わせた
政労使合意などである。                      
 解雇に対するEWC(欧州労使協議会)の改正も求め、「多国籍企業に
対する権利拡大も要求する」と規制強化を語っている。        
                                 
 EUは5月1日から、現在の15カ国から25カ国に拡大する。ETU
Cは、拡大EUも不安定雇用の防止と完全雇用・時短・均等待遇など「基
本的権利憲章」の完全統合を重視。「より多く、より良い雇用と高い賃金
の上に築かれた福祉社会を推進する」と奮闘ぶりを語っている。    



      世界的な雇用流動化へ国境越えた連携アピール       
                                  031201
                         
                                 
 アメリカなど国際的な雇用流動化の現状と闘いの国際フォーラムが開かれ
た。主催は労働政策研究・研修機構である。              
                                  
 アメリカではパート、臨時、不安定雇用労働者が増大するなかで、組織化
も進んでいる。SEIU(サービス従業員組合)では、在宅介護労働者十万
人に拡大している。                         
                                  
 世界大手のスーパーで、組合のないウォルマートとの競争による労働条件
切下げ阻止闘争で、カリフォルニアのスーパーで働く七万人が「労働条件の
最下位争い反対」を掲げてこのほどストに突入した。          
                                  
 「グローバル化した経営側の雇用流動化と低賃金競争に対して、労働者も
地球規模で連帯しグローバルに闘わなければならない」とアピールされた。


        アメリカの非典型労働者の現状と組織拡大  
                                  031117      
                                                                      
 カリフォルニア大学教授で、国際サービス労組の顧問弁護士をしているケン
ト・ウォン氏が来日して、アメリカの非典型労働者の運動を講演した。JIL
PTの国際フォーラムである。                     
                                   
 非典型労働者は、日本と異なり、パート、派遣労働者は入らず、不安定雇用
(コンティンジェント=雇用継続の契約を結ばない労働者など)をこという。
 ウォン氏は、アメリカでパート、不安定雇用労働者の増加と労働市場の二極
化を指摘しつつ、ソーシャル・ユニオニズムに基づくAFL・CIOの組織拡
大実績を紹介した。                          
                                   
「グローバル化で資本が悪い条件で人を使いこなせる競争をしていることに対
して、労働側も地球規模の運動を」と強調。アメリカでは新保守主義を強め、
イラク戦争を始めたブッシュ大統領を倒す運動を強めるとアピールした。  
                                   
 学者、弁護士と同時に、パワフルなオルガナイザーであり、日本とは違うと
の思いを強くした。                          


          スウエーデンなど北欧と日本比較          
                                   03.8.7            
     

 「雇用流動化時代の組合運動を国際的に展望する」と題して、スウエーデン
・ルント大学のラインホルト・ルァールベンク教授が03年8月4日、東京で
講演を行った。                            
                                   
 スウエーデンなど北欧の組織率は80〜85%と高率を占めている。日本は
20%と低下。同氏は、ヒウーアデンでは女性、パートの組織率が高いと指摘
し、日本の正規従業員を組合員資格とする企業別組合の限界を指摘した。  
                                   
 労使関係については、ヨーロッパのネオ・コーポラティズムを反映して、政
労使の協調体制を説いた。組合の力のないコーポラティズムとの違いといえよ
うか。                                

            ドイツの雇用同盟の苦闘            
                                    03.7.17            
                                   
 ドイツDGBと連合の定期協議が行われた。ドイツからはゾンマー会長ほか
4人が参加した。その中に私がかってドイツでIGメタルを取材した時に会っ
たシャベドート博士(DGB戦略計画局長)も来日した。         
                                   
 会談では、政労使の「雇用のための同盟」の苦闘をドイツが報告。EU条項
の国家予算の1・3%赤字条項や景気後退、市場主義の強まりのなかで、福祉
削減などに迫られ、ドイツ社民党とナショナルセンターとの関係できしみをみ
せていた。                              
                                   
 長い歴史をもつヨーロッパの社民主義。ながい目でみる必要があると思う。



              不評な日系中国企業                  
                                   
 日系中国企業に働く若いホワイトカラーの69%が欧米系企業への転職を志
向し、日系企業への希望はわずか7%という。03年11月6日の日本労働研
究機構のセミナーで中国労働事情の調査報告が行われた。         
 調査は今年9月、上海、北京、大連などの日系企業14社と中国の職安など
政府機関4カ所である。日系企業の問題は、「忠誠心・上下関係・年功序列」
「賃金が低い」などである。欧米系との人事管理比較でも、賃金、福祉水準、
労使関係など、いずれも欧米系が優位を占めている。「能力を生かしてくれる
欧米系へ一流人材が行き、二流が日本」と報告された。北京のWTO研究院の
張院長も「日系企業は安い労働力を求めて進出し、成功したが、今後、投資・
人材戦略の転換を」と語っている。欧米系は先端技術で先端製品製造を行って
 いるが、日本は製品製造のみと問題を指摘。人材投資でも日本は遅れている
という。                                
 日本では、コスト・技術の両面から「中国脅威論」が労使から聞かれ、その
対応として、低コストへ賃金・雇用・福祉破壊が歯止めなく進む。さらに低コ
ストを求めて中国に進出し、国内の産業・雇用の空洞化へと悪循環に陥っている。

中国で嫌われ始めた日系企業は、日本への警鐘でもある。日本の経済と労
働環境、労使関係転換も問われている。                 
                            02.11.18

                        
 解雇規制の欧米ルール、厳しい法的規制       
                                  
                                  
 欧米の労働契約法制をテーマとしたJILの国際研究会が02年10月に
開かれ、解雇規制など示唆に富む各国学者の報告を聞いた。ドイツ、イギリス、
フランス、ロシアなどの報告である。               
 アメリカでは「解雇は原則自由」である。ところが、事実上、解雇は
厳しく制限されている。<個別解雇>の規制はヌ差別禁止法による規制ネ労働協
約の「正当事由」に反する解雇ノ各州の解雇制限法理などである。
<整理解雇>ではヌ先任権制度ネ組合や行政機関に書面で60日前に
届出 などである。
紛争処理の雇用機会均等委員会には01年で8万件の申立てがある。
                                  
 イギリスでも90年代から雇用権法などで解雇が規制されている。<個別
解雇>の規制はヌ組合活動など解雇禁止事由を列挙ネ雇用期間の長さにより
最大12週間の解雇予告期間 などである。<整理解雇>では解雇理由、
解雇回避方法などで組合と事前協議などが必要となる。個別紛争処理は01
年で16万7000件にのぼっている。                  
 フランスは<個別解雇>規制で、「現実かつ重大な理由」の法的要件を満
たすこと。<集団的解雇>の規制は、解雇回避努力などの計画提示 などが
必要である。                            
 ドイツは強行法規の「解雇制限法」を制定。解雇には「正当な理由」
が求められる。紛争処理では労使参審制の労働裁判所に
年間57万件が提訴されている。                              
 日本も解雇ルールの立法化が来春の焦点となっている。年間100 万件の労
働相談や個別紛争に対して、提訴は3000件にすぎない。欧米並みの解雇
ルールを実現させたい。                 02.10.10
        
                   
        オランダ選挙とワークシェアリングの行方        
                                   
                                   
 オランダ総選挙で与党の労働党政権が敗北し、野党のキリスト教民主勢力
(CDA)と右翼新党が勝利した。ワークシェアリングとオランダ政府の関係を
調べて、安心したことが一つある。オランダモデルの起点は1982年の政労
使ワッセナー合意だが、時の政府は今回、8年ぶりに政権に返り咲いたCDA
だった。労働党政権の8年も、「パート均等待遇法」(96年)、「労働時間
選択権法」(2000年)など、重要な制度を実現させた。オランダモデルは
公労使の社会経済協議会や産業労働協議会の政策提言を機軸に、産別協約の拡
大と政府の協約法律化でワークシェアリングを推進してきた。今後、CDAと
右派新党の政策展開が試されることになる。               
 今回のオランダ選挙結果をもって、日本がオランダモデルから目をそらすの
は筋違いだ。ワークシェアリングを実施してから論ずべきことである。   
                                   
                         02・5・23  
 
   ドイツ金属労組、ベアで前進獲得・リレースト実る         
                                   
 IGメタルの春闘は、今年4%、来年3・1%の賃上げで5月15日に決着
した。これまでの警告ストに加え、拠点ストを次々に移転させるリレースト戦
術を編み出し、経営側の壁を突破した。                 
 IGメタルの労働協約は9〜10賃金グルーブで自動車では65業務の協定
賃金があり、職種別熟練度別横断賃金。日本も個別労使交渉でトヨタのように
過去最高のもけうけでも、ベアゼロのような交渉から脱して、ならたな賃金論
と交渉システムに挑戦する時ではないかと思う。             
                                   
                      02・5・20      
 
                                      
  ドイツIGの春闘盛ん                     
                                 
 日本ではベアゼロ、賃下げ攻防の苦闘春闘が続いているが、ドイツのI
Gメタルの春闘は元気である。                   
 要求6・5 %を掲げ、経営側の4%回答を拒否して、警告ストに入ってい
る。IGメタルのペータース副委員長は「賃金は抑制されたのに、雇用は
あまり生まれなかった。高賃金で購買力をあげた方が経済にプラスだ」と
、攻めの春闘を語っている。                    
                                    02・4・4              
                                 
オランダ・モデルの現地                         
                                    
 ○…「わたしの職場でもパートタイマーの正規職員は多い」と、オランダの社
会・労働省幹部。働く人の四割がパートであり、均等待遇を法律で保障している
国柄を反映して、違和感なく語った。九月上旬、注目されるオランダと東欧革命
十年を迎えたチェコ、ポーラインドの労働事情を駆け足で取材した。「転機のオ
ランダ」「東欧革命は模索」に揺れていた。                
 ○…世界から注目されるオランダ・モデル。景気停滞と失業増の“オランダ病
”克服へ、八二年に政労使がワッセナー合意を行った。労組の賃金自粛と、企業
の時短・雇用増、政府の減税・可処分所得増を組み合わせるモデルである。それ
から十八年。新規雇用は百二十万人増加し、うち八十万人がパート増によるワー
クシェアリング。高い成長率を誇り、“オランダの奇跡”といわれている。  
 ○…オランダでは、パートも正規労働者であり、労働時間が短いだけである。
しかし、フルタイム労働者との均等待遇は徹底している。ワッセナー合意後の九
六年には、パートと正規雇用者との均等待遇を法律で保障した。解雇規制、社会
保障なども均等待遇が徹底しており、時間賃金では運輸、金融などでパートが高
い産業もあった。                            
 ○…さらに今年七月、均等待遇法に加えて、「労働者に労働時間の増減を付与
する法律」が制定された。労働者は四カ月前に申し出れば、フルタイムからパー
トへ、逆にパートからフルタイムへの選択が可能となる。経営者は企業への重大
な影響を証明をしない限り、所定労働時間の五〇%勤務、六〇%、八〇%勤務な
どを認めなけばならない。経営者側は「コスト増につながる。法律でなく、労使
自主決定を」と反発した。しかし、産別協約(組織率三〇%)が労働者の八〇%
に波及しており、カバーされない二〇%の労働者のために法律として可決。「パ
ート労働で世界のチャンピオン」をみせつけた。              
 ○…しかし、いまオランダ・モデルは転機を迎えていた。かつての失業問題は
、景気回復で人手不足となり、賃上げも四?五%アップと、かつての自粛から反
転へ、労働事情は大きく変化している。現在、政労使は二〇〇四年までの社会経
済政策を検討中だ。骨子は、人手不足の解消へ五十五歳からの早期退職や九十万
人の“隠れた失業”といわれる障害手当の見直しなどである。さらに、賃上げの
見直しでは、産別一律の引き上げを見直し、セクターによる格差も検討していた
。八三年のワッセナー合意と九三年の「新コース」現在の第三の合意へ、労働党
政権下のオランダ政労使協調モデルの今後が注目される。          
 ○…一方、東欧革命十年を迎えたチェコ、ポーランドは市場経済と苦闘してい
た。EU加盟を至上命題にしつつも、かつて経験したことのない失業問題の深刻
さに驚き、さらに所得格差の拡大、社会保障の削減などが社会問題化。チェコで
はクーポンによる国営企業の民営化が逆に格差を拡大させ、革命前の十年まえよ
り国民一人当たりの所得は低下。「EU加盟を最重視」する市場主義の加速が社
会的矛盾を深め、「労働組合はステータスを模索」との声も聞いた。     
 ○…ポーランドもEU加盟へ市場経済と法整備の“ブラッセル・ノルマ”を突
きつけられていた。ポーランドから旧ロシア市場への進出が多国籍企業の狙いと
いわれている。「なんでもEU法令に押し込め」と労働組合幹部。同時に、民営
化が半分しか進んでいない中で、今後、鉄鋼、炭鉱などの民営化とリストラに顔
をくもらせた。外資導入の民営化に対する国民の反発も高まっている。両国とも
政権は左右に揺れ、チェコでは保守から左派となり、ポーランドでも来春の選挙
では連帯系から左派政権の誕生も予測されていた。             
 ○…駆け足の旅では、オランダでアンネ・フランクの隠れ家を、ワルシャワで
はヒトラーに破壊された街の復興を、チェコでは“プラハの春”の記念碑を探訪
した。平和の大切さをかみしめる旅でもあった。(2000・9 月)       
                                    
 
 
 ドイモイ15年  ベトナムの現地                         
 
 ○…「ベトナムはいま忙しい」と、ベトナムで通訳・ガイドをしているホー・
シュン・フンさん(31歳)は額の汗を拭った。ベトナムはいま外国企業投資三倍
増、ベトナム旅行三倍増など急成長ぶりである。ベトナム独立から五十六年、サ
イゴン解放から二十六年、ドイモイ(刷新=社会主義市場経済)から十五年。節
目を迎えたベトナムには活気があった。                  
                                    
  山岳民族もドイモイ                         
 ○…ドイモイは山岳小数民族にまで浸透していた。ハノイから南西へ約百キロ
。山を幾つか越えたマイチャウのラック村。ベトナムには五十四の民族が共存し
ているが、その一つターイ族(盆地農耕民)の約四百人が高床式住居で暮らして
いる。床下には鶏、牛も住まうのどかな山村風景が鮮やかだ。        
 ○…ところが、緑の小道はフランス、アメリカ、日本などの観光客を相手にし
た民族刺しゅうの露店がずらりと並ぶ。村人の所得は、農業を含め高くて月二十
一万ドン(十六ドル=約二千円)だが、小さな刺しゅうを一ドルから十ドルで高
値販売。当然、値切り交渉となる。十六歳の少女は、当初一ドルだった小物入れ
を四割下げて、別に手飾り刺しゅうをサービスするという商魂のたくましさ。日
常品の民族刺しゅうが高く売れることを知った市場経済。帽子を差し出し、金を
乞う山岳民族の子供もみえた。                      
                                    
  日本の投資額急増                          
 ○…「ホーチミン市にある日本の電機工場はいま忙しい」とフンさん。日本で
は一万人以上の人減らしを強行しながら、ベトナムで携帯電話などの部品製造を
増やしている。「ベトナムの低コスト、技能、品質のメリットを日本の経営者は
感じている」。失業率は七%だが、熟練技能者、IT関係は人員不足。輸送など
のインフラ整備や許認可手続も課題という。三十七の工業団地を造成し、進出日
系企業は百七十二社で、雇用労働者は三万四千人。政情不安なインドネシアなど
から、内政の安定したベトナムが評価され、投資額は急増。今年半年間で日本は
三位となり、ODA(政府開発援助)でメコン川やサイゴン川への橋梁建設も計
画していた。労使関係では、組合結成の義務やスト権、危険作業の就労拒否権、
政策計画への参画権なども労働法で保障されている。            
 ○…ハノイもオートバイの洪水だった。バックミラーがなく、「前のみ見て走
っている」。交通信号が無い方が、渋滞にならず合理的とか。ベトナムでオート
バイはまだ高値。日本製で二千ドル(二十四万円)、中国製で約七百ドル(八万
円)。平均月収は九九年で国有企業が約百ドル(一万二千円)、非国有企業が六
十ドル(最賃十四ドル=千七百円)であり、年収の数倍に匹敵する。ちなみに、
自動車は二万五千ドル(三百万円で家一戸分)の値段であり、街には少なかった
。北爆跡のロンビエン橋や独立宣言広場もいまは観光客。早朝からの子どもの土
産売りはフエを含めて実にしつこい。喧騒のハノイはエネルギーに満ちていた。 
                                    
 柔軟に“経済”と戦う                         
 ○…「戦争に作戦勝ちした勇者が、いま経済という大敵と戦っている」といわ
れるベトナム。人口七千六百万人のうち、農業人口が八割、都市人口は二割。ド
イモイによる国有企業のスリム化や資本主義経営、外資など多セクターと、年齢
では戦争世代、戦後世代など五階層が重なりあい、貧富の格差と失業、汚職など
の問題も生じている。「ドイモイで経済成長し生活も向上したが、将来の心配も
ある。行き過ぎはよくない」とフンさん。戦争の半世紀から、いま平和の市場再
建へ、アメリカとの国交正常化やASEANにも加盟した。「ベトナムは民族独
立のもとに戦争も柔軟に対応して勝利した。ドイモイも柔軟に対応してうまくい
くと思う」と語る言葉に、幾多の戦争に勝ち抜いてきた民族の自信がうかがえた。 
                                (2001年9月)   
                                    
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