長期にわたり精神的苦痛を受け続けてきた子どもは、主人格の代わり
に孤独な主人格を守る友人役や、 相手をやっけるための攻撃性の
持ち主である助っ人役、  かわいがられていた赤ちゃん時代に戻ろう
とする幼児願望役など、さまざまな人格を自己の内に形成していきます。
主格を守るために、断片化したいくつもの人格を築きあげていくのです。
早ければ早いほど、こうした心のアンバランスな状態は正常回復へと
むかうのですが、ほとんどの場合はおとなになるまで、自分自身ですら
気づかずに成長していってしまいます。  
おとなになって、社会にうまく適応できない、人間関係がうまく築けない、
不安になる、人が信じられない、、、 こうした症状がでてから幼少期に
までさかのぼり、気づきを得ていきます。
心身症、自立神経失調症、解離性同一性障害、パニック症、、、などと
診断されるこうした精神の病は、ほとんどが幼少期からくる心の傷が
基盤になって発生している場合が多いのです。

子どもはどんな環境に生まれ育っても、懸命に生きぬこうとします。
つらい環境であればあるほど、 精神の自己離脱を無意識に成し遂げ
ます。
母性のある親が少なくなった昨今、こうした子どものSOSにすこしでも早く
気づいてあげられる周囲からの協力が必要になります。
周囲にいるおとなたちが察知し見守っていってあげたいものです。
こどもは、まっさらな、純粋な気持ちで生を授かり生まれてきます。
その純粋な心に深い傷をあたえないように、親達にもエールを送ります。

子どもに精神的苦痛を与えてしまう親達は、ほとんどが自分達が子ども
のときに、親にも、また、されて育ってきています。
そのいたみが、くるしみ、悲しみがどれだけ残酷なことか、わかっている
分絶対に同じことを我が子にはしない。今日してしまったら、明日は絶対
にしない。  
そう誓って日々がんばってほしいと思います。
 
                 
                     
                       2003年  2月15日           
  
                              記: 内田 多美子