まじめに桜見と内へは云ふて ともに寝転ぶ舟のなか オヤ コリヤ コリヤ
ほかの女を持つならお持ち わしも意気地じやきれはせぬ (以下、囃詞は省略)
かなわぬ恋ならまづ捨てゝおけ かなやたがひに身を悔やむ
酒に云はするこゝろのたけを うけてこぼすはなさけけなや

定めなきとは時雨の事よ いつもひとつのわしの胸
ひとにや云はれぬわが胸ひとつ ぢれてこゝろでなみだが流る

  三千世界の烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい
  惚れて焦がれた甲斐なき今宵 逢へばくだらぬことばかり
  九尺二間に過ぎたるものは 紅の附たる火吹き竹
  手摺りに凭れて化粧の水を 何処へ捨てよか虫の声
  門の鳴子が夜風に揺れて もしや主かと胸さわぎ
  井戸の蛙と誹らば誹れ 花も散りこむ月もさす




 *「都々逸」は、様々な詞章があります。ここでは、ほんの一例。それよりも、三味線の伴奏ですが、こんなに堅いものではありません。いずれ工夫してみます。