強い日差しで
乾いた庭に
ザァザァと
水をやりながら
真っ赤に色づいた
小さな実に
指をあてる
熟した実は
触れた指先に
ぼとりと落ち
あおい匂いが
微かに残る
黄金に焼けた
夕方の町並
祭を告げる花火が
ドーンとあがる
強さを増した
夕方の風に
隣の軒先の風鈴が
ガチャガチャと
忙しなく鳴り響く
この風に乗って
町を出たあの人が
帰って来ないかと
夕闇の中に
見慣れた人影を
探している
空になった
ジョウロを片手に
カエッテオイデ