小さな靴を 日溜まりに残して あの子は いってしまった 帰っておいでと 叫んでも もう届かない 春の陽は傾き 夕方の風は冷たく 残された靴を 拾いあげても あの子の温もりは とうに消えていた 私の影だけが 長く伸びていく