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疲れた体に
ヒタヒタと寄せる
音楽の波に
やがては洗われ
飲みこまれ
背中の痛みも
朦朧とした意識も
指の間から
こぼれたままに

明日はイラナイ
昨日もイラナイ
今は過ぎるに
まかせて

歌声
楽の音
風のざわめき

起こるがままに
寄せるがままに

音楽だけが
在ればいい

意識の縁を
滑り落ち
空白の音と
混じりあい
目眩く静寂の中
鳴り響く鐘に
心ふるわせながら

   そして無明


2007.03.02.椎葉