冬の旅人が 戸口を訪う ガタガタと 扉をゆらし 真白な国へ 私をさそう 雪白の中へ 色を失って 村の家々は 眠っている 息を潜めて 寒さに耐え 無人の野を 私は駆ける 積った雪を 蹴ちらして 無色の国を 私に染める 林の梢の先 小さな芽が ふくらんで 冬の旅人は 直に去ると 告げている