作品一覧へ
表紙へ

黒い水は流れる

古城の傍ら

雨は降っている
みぞれ混じりに

私は傘をさし
黒い川のほとりに
立っている
無表情に

何も映さない
黒い水の流れは
まるで
悠久の時の流れを
集めたように
透きとおりもせず
水音もさせず

春の花びらも
夏草の香りも
秋の紅葉さえも

すべての思いを
飲みこんでいる
私の心のように


2006.11.27.椎葉