黒い水は流れる 冬 古城の傍ら 雨は降っている みぞれ混じりに 私は傘をさし 黒い川のほとりに 立っている 無表情に 何も映さない 黒い水の流れは まるで 悠久の時の流れを 集めたように 透きとおりもせず 水音もさせず 春の花びらも 夏草の香りも 秋の紅葉さえも すべての思いを 飲みこんでいる 私の心のように