ゴウゴウと 桔葉を巻き上げ 雑木林の梢を渡る 冬の風が 私の胸の内に 底知れぬ悲しみを 呼び起こす 激しい悲嘆の淵で どこにいるかも 見失ない 今がいつかも 忘れ去り すがる何かを求め 再び耳にする 風の音は 日常の戸口を 吹き抜けて 遠い記憶と重なり 私は 古里という言葉を 思い出す