泣きそうな顔の
子どもの手を引き
若い母親が
道を急いでいる
冬
雪の降りそうな
薄暗い昼下がり
道行く人々の足は
忙しなく
つながれた
母と子の手は
唯一つの温もりで
決して離すまい
離されまいと
結ばれた絆は
温かく絡みつき
先を急ぐ母親と
転びそうになって
ついていく子の
二つの靴音
あの角を
曲がっても
結ばれた手は
解かれないだろう
あの子が
泣かないように
母は足どりを抑え
母が困らぬよう
子は泣くのを堪え
二人はどこまで
行くのだろう
雪模様の空が
広がっている