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懐しさをこめて
かけようとした
電話

ふるえる指先が
最後の番号を
押せないまま
受話機を置いた

沈黙

ここにいる私と
あなたとの距離
それぞれに過した
時間の重さが
二人を
こんなにも遠く
隔てている

越えられない谷
奈落の底を
のぞくような
目まいに襲われ

手にした
受話機の重さ

残した番号
一つの先に
あなたがいる

秋の夜長に
また一つ
ため息を重ねた


2005.10.11.椎葉