幻の中で
遊ぶように
一羽の白鷺が
小川の流れに
立ちつくしている
青く繁る
葦の陰
ささやき流れる
六月の川
柔らかに降る雨が
白い羽の上を
コロコロと
光る滴となって
散っていく
沈黙の肖像
そのすぐ傍らに
一羽の白鷺が
力無く
横たわっている
冷たい流れの中で
もう
起き上がる
こともなく
無言の葬送
その体に
宿った命の熱さは
とうに消え
無情に時は過ぎ
やがては骸も
押し流されていく
降り続ける雨の中
なおも
去りゆくものの
心は残り
その白い羽は
流れの中で
汚れることなく
輝き続け
私は
命の終わりを
雨にうたれながら
見送っている
じっと
立ちつづける
もう一羽の
白鷺とともに