人混みの中 何かを見失って ふと振り返ると 知らない顔達が 無表情に 通り過ぎていく 私は何を 探していたのか 先を急ぐ人々が 群衆となって 私を押し流す 立ち止まることを ゆるさずに 北へ 南へと 私を肩で 小突いていく この人の波に 逆らうことを恐れ 失ったものを 見つけないまま 私は時代に 運び去られる わずかに残した 靴跡も 雑踏の中に 消えていった