作品一覧へ
表紙へ

タソガレ時に
すれ違う人の影は
懐しい誰かの
面影がして

ヤァ、と
掛けた声に
驚いた顔は
見知らぬ人だった

気まずさを
暮色に隠して
そそくさと
立ち去ったけど

やっぱり今の人は
見知った人に思え
振り返れば
夕暮れの中に
おぼろになって
誰かの背中が
遠ざかっていく

記憶のように
あいまいになった
そのカタチが
消えるまで
私は見送っていた


2005.08.04b.椎葉