作品一覧へ
表紙へ

遠い国の神話に
両肩に世界を担ぐ
巨人の話があった
彼はその重さに
耐えかねたりは
しないのだろうか

長く伸びた
私の影が
黒く大地を
切り取っている

私の肩幅は
それだけのもの
背負うのは
ちっぽけな
私の人生
風にとぶような
ささやかな毎日

なのに
肩にくいこむ
その重さに
思わずよろめき
くじけそうになる
何もかもを
投げ出したくなる

青い空に
果てがないのが
無性に憎くて
拾った小石を
投げつけた

晴れ上がった空を
傷つけることなど
できる筈もなく
自分の人生を
投げ捨てるなど
できる筈もなく

足下に落ちた小石


2005.04.02.椎葉