作品一覧へ
表紙へ

振り仰いだ空に
遠く輝く星々
憶えているよりも
なお遠く
その輝きは暗い

こうして星々を
見上げたのは
いつだったろうか
伸ばした指先に
触れそうな程近く
輝いていたのに

町の高台から
見上げる空は
薄明るくて
星々の輝きは
遠く
そして儚くて
私はこの場所に
隔てられている

失なわれた
星々の輝きを求め
あたりを見渡せば
また一つ
地上に点る
町の明かり

その明かりの下で
帰りを待つ
人がいる
その明かりの下へ
帰りを急ぐ
人がいる

幸せや悲しみの
地上の星々が
海となって広がる

天上の星々の
失われた輝きを
悲しみながら
私も一つの
星となるために
町の中へ
帰っていく


2005.01.17.椎葉
2005.01.20.修正