2008年1月 ドレスデン・ベルリン巡るグループツァーの記録です。メインイベントは1月23日のベルリン フィルハーモニーホールでのカラヤン生誕100年記念演奏会(小沢征爾指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 アンネ・ゾフィー・ムター ヴァイオリン)でした。ただし、行ったのは家内と娘です。
ドレスデン(人口 約50万)は北東ドイツ(旧東ドイツ)エルベ河畔に広がるザクセン州の州都である。中世には神聖ローマ帝国の有力メンバーであったザクセン*選帝侯**の宮廷所在地で近くのベルリンなどより古くから開けた都市である。近世になり、アウグスト強王(1670-1733)時代に隣国ポーランドの国王を兼ねるなど国力が強勢となり最盛期を迎えた。王は芸術の保護にも熱心で、現在見られる多くのバロック様式の宮殿やルネッサンス時代の絵画を中心とする収蔵物はこの時代のものである。(ただし、建物は第2次世界大戦中に空襲によりほとんど灰燼に帰し、戦後元通りに修復されものである。) 上の写真はエルベ河畔に広がる旧市街の宮殿や教会群で、その美しさからエルベのフィレンツェとよばれており、2004年に世界遺産に登録された。
*ザクセン ゲルマンの1支族ザクセン族に由来する。ブリテン島(イギリス)に渡ったサクソン人と同祖
**選帝侯 神聖ローマ帝国皇帝選定の選挙権を持つドイツの有力諸侯
ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)
音楽も盛んで、左の建物は1878年にゴットフリート・ゼンパーによって建立された歌劇場でゼンパーオーパーとよばれるヨーロッパ有数の歌劇場である。
またこの歌劇場専属のオーケストラであるドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ)は1548年に創立された宮廷楽団から続く世界最古のオーケストラといわれており、ウエーバー、ワーグナー、リヒアルト・シュトラウスなどが初演の指揮をするなどこのオーケストラと共に活躍した。
1998年に常任指揮者であったジュセッペ・シノーポリ(故人)の指揮により創立450周年記念コンサートが行われている。(これはそのときの録画から作ったDVDのラベル)
今回のツァーではプッチーニのラ・ボエームが上演された。
歌劇場点描 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
ドレスデン絵画館(アルテ マイスター)
アウグスト1世(「強王」 ポーランド王としてはアウグスト2世と名乗る)が自らの居城として建てたツヴィンガー宮殿の一角にある美術館。主としてアウグスト強王とその息子フリードリッヒ・アウグスト2世が収集した絵画が展示されている。
ラファエロ、ボッティチェリなどイタリアルネッサンスの名画、レンブランドやフェルメールなどのフランドル派の画家の超一級の名画が収蔵されている。
絵画館展示品 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
フラウエン(聖母)教会
市の中心部に立つプロテスタントの教会
宗教改革の立役者マルティン・ルターはここザクセン州の片田舎アイスレーベンの炭坑夫の子として生まれた。というわけで、この地方はルター派プロテスタントの牙城だが、アウグスト強王はカトリックの国ポーランドの王位を継承するためカトリックに改宗し、カトリック教会を建立した。しかし、市民はそれに従わず、それに対抗してプロテスタントの教会を建てた。それがこのフラウエン教会であるという。
この建物も空襲で壊滅したが、戦後、残った瓦礫を集め技術の粋をあつめ以前どうりに修復し、2005年に工事が完了した。
建物の一部に残る黒い部分は瓦礫から集めた石材の破片である。多孔質の砂岩で出来ているため微生物による汚れが取れない。
フラウエン教会点描 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
ドレスデン王宮の外壁を飾る壁画「君主の行列」
歴代のザクセン王の業績を表わす。元はフレスコ画。現在のものは1906年にマイセン磁器のタイルに描かれている。爆撃は免れているのでその当時のものが残っている
20cm四方のタイル24,000枚を使い全長102mある。
ドレスデンの見所はほとんど旧市街の中心地の比較的狭い範囲に集中している。
旧市街点描 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
ベルリンはいうまでもなくドイツ連邦共和国の首都であるが歴史的には比較的新しい町である。起源はこの地方を支配していた選帝侯国の一つブランデンブルク辺境伯*が宮廷をベルリンの西方にあるブランデンブルクからこの地に移したことに始まる。その後、北方の強国プロイセンがこの地方を併合しプロシアの首都となり、プロシアが強勢となり、やがてドイツを統一してから近代にかけて大きく成長し現在は人口約350万とドイツではずば抜けた大都市である。上の写真はベルリンの象徴ともいえるブランデンブルク門で、旧都ブランデンブルク方面へ向かう街道の入り口に立てられた建造物である。ここから市の中心部へはウンターデンリンデン通りが続く。市内には数多くの博物館などドイツ帝国の偉容を示す多くの建物が点在する。
* バッハのブランデンブルク協奏曲全6曲は1719年ブランデンブルク辺境伯クリスチァン・ルードリッヒに献呈された
ベルリン点描 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
![]() ブランデンブルク門 |
![]() 市庁舎 |
![]() コンチェルトハウス |
![]() フンボルト大学 |
![]() 国会議事堂 |
![]() 大統領官邸 |
![]() オペラハウス |
![]() ウンターデン リンデン通り |
![]() ベルリン(熊という意味)の象徴熊 |
![]() ユダヤ博物館 |
![]() ユダヤモニュメント |
![]() 世界最古の 交通信号 ポツダム広場 |
![]() チャーリー検問所 |
![]() ベルリンの壁 一部残っている所 |
![]() 壁跡 |
イエスキリスト教会
新しい教会
ベルリンフィルハーモニホールが出来るまではベルリンフィルの録音などが行われていた。
教会など 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
ペルガモン博物館
ベルリンには大小無数の博物館がある。左の写真はその中でも有名なペルガモン博物館の入り口
展示品は小アジア(現在のトルコ西部)アドリア海に面したギリシャ都市ペルガモン遺跡から持ち出した遺物が中心で、すばらしい収集品であるがトルコ政府から返還を求められているという。
その他、バビロン遺跡の出土品なども修復復元して展示してある。
博物館展示品 下のサムネイル(小さい絵)をクリックすると大きくなります
フィルハーモニーホール(左)
新しく立てられた音楽専用ホール。ベルリンフィルの定期演奏会もここで行われる。
今回のメインイベント ベルリンフィルハーモニー管弦楽団によるカラヤン生誕100周年記念コンサートもここで行われた。
指揮はカラヤンの弟子である小澤征爾、ヴァイオリンソロはカラヤンのお気に入り アンネ・ゾフィー・ムター コンサートマスターは安永徹
演目は、ベートーベンのバイオリン協奏曲、チャイコフスキー作曲 交響曲第6番「悲愴」
下の写真はヴァイオリン協奏曲終了時。ドイツでは演奏終了時などでは写真撮影は特にとがめられないようである。