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  音楽番組の音質   2015.2

 「オーディオの科学」のデジタルテレビの項や、別のページ「BSエアチェックの薦め」にも書いたように私が家で音楽を聴く手段はTVで放映される音楽番組を録画して再生するのがメインとなっている。このときの音声部分の規格については「デジタルBSテレビ音声部の規格」に書いているが、ここでは「iPadで気軽にオーディオを楽しむ」のページに書いた手法で、地上波デジタルテレビやFM放送、インターネット経由のNHKの「らじるらじる」の音も含め録音して解析した結果を紹介する。

 ただし、放送番組ではホワイトノイズや正弦波の音源は使えないので、実際の番組から高音成分を多く含むと思われる、バイオリン曲や管弦楽曲を選び、約1分程度の間の周波数スペクトルのピーク値を測定し、高域のカットオフ周波数(fc)を求めた。以下にその結果を示す。テレビについては 1kHz 以上、FM 放送は 100 Hz 以上を表示している。カットオフ周波数は適当に決めたが下の数値は白点線で表示されているカーソル線の位置から求めた値である。全周波数範囲でのスペクトルはこちらのブログにアップしてあるので参考にして下さい

BSデジタルテレビ

 BSデジタル 2チャンネル    BSデジタル 5.1チャンネル(サラウンド) 
   
fc: 20.1 kHz  fc: 15.1 kHz 

地上波デジタルテレビ

 地上波デジタル 2チャンネル     地上波デジタル 5.1チャンネル(サラウンド)
   
fc: 20.2 kHz fc: 15.5 kHz

FM放送

 AVレシーバー(アナログ放送)    らじるらじる(インターネットラジオ) 
fc:〜14 kHz (カーソル位置)
アナログ放送なので明確なカットオフは存在しない
fc: 15.7kHz 
以前掲載していたデータは誤り

まとめ

 テレビ放送ではBS放送と地上波放送の高音カットオフ周波数は誤差の範囲で一致することが分かった。圧縮音声だが同じ規格のフォーマットを使っていると思われる。2ch放送のカットオフ周波数は20kHz 以上でiTuenes のAAC plus とほぼ同じ音質と思われる。どちらもビットレートは256 kbps のようなので当然の結果だろう。5.1 ch 放送のカットオフ周波数は少し低いがこの程度だと普通に人には音質差は感じないはずである。5.1ch 放送の音声部のビットレートはトータル320 kbps だそうだが、アンプのヘッドホン出力の音声なので恐らくフロントスピーカーの出力に相当する音声だと推定される。やはり、サラウンド放送を聞くにはリアスピーカーを付けるべきであろう。 私の主観だが、特にオーケストラ曲ではリアスピーカーを付けることにより臨場感が大きく向上する。、

 ただし、当然のことながら高域のカットオフ周波数が高いほど高音質というわけではない。番組によって音質差は感じるが、高音質と感じるのは、2chか5.1ch かに関わらず、録音技術の高さとホールの音響特性が優れていることが条件だろう。具体的には、NHKがサンサントリーホールなどの音響効果の優れたホールで録画したものが信頼出来、海外で収録したものは音質にかなりばらつきがあるようだ。

 FM 放送については散歩のときにらじるらじるを iPod touch を使いイヤホンで聴くくらいだが、カットオフ周波数は16kHz 付近でこれまでのブラインドテストの結果と比べると必要にして十分の音質である。(なお、以前掲載していたカットオフ8kHzのデータはカットオフ周波数が低すぎるので再測定した結果、誤りであった。原因は不明である)