AST(アクティブ・サーボ・テクノロジー)の原理?    戻る

YAMAHAのスーパー(サブ)ウーファーに使われているアクティブ・サーボ・テクノロジーは負性インピーダンス駆動回路とヘルムホルツ共鳴器により比較的制動力のある超低音再生に成功していると謳っているが、具体的にどんな回路方式なのかは一般には公表していないのでよくわからない。ただ、電流正帰還によるMFB(モーショナル・フィードバック)方式ということなので、回路原理をオペアンプ回路を使って想像してみた。

本文(ヘルムホルツ共鳴のページ)に書いたように、入力0のときスピーカーの振動板を外力で動かそうとすると(力 F を加える)、ヴォイスコイルを含む閉回路にその動きを阻止する方向に起電力が生じ電流(i)が流れる。閉回路の抵抗値が0オームならその電流は無限大となり、振動板の変位は完全に阻止されるが、実際には有限のインピーダンスなので、有限のダンピング・ファクターとなる。しかし、左図に示すようにその阻止電流を 3で検出し入力に正帰還すると電流値が増幅され大きな制動力を得ることが出来る。(逆にステップ入力で立ち上がる場合は大きな駆動力となる。) つまり、見かけの負荷インピーダンスが小さくなることと等価である。 ただし、実際の入力があった場合、負荷の抵抗成分に対しては電圧正帰還となるので発振する。それを阻止するため 45 で電圧負帰還をかけておく必要がある。

といった所であるが、YAMAHAに確認したわけでないので真偽のほどは保証の限りでない。

実際の回路

後で分かったことだが、YAMAHAが実際に採用している回路は左図のような回路になっており、主増幅器は反転増幅でスピーカーを駆動し、電流帰還用の電圧をもう一度反転し正帰還にしているようである。恐らくこの方が適正なパラメータが選びやすいのではないかと思われる。

MJ誌 1989年第4月号 p.81に掲載された ヤマハ(株)窪田登司 氏 による記事からの引用