第一にゃん 『迷い猫、保護する』

もう数年前のことになる。庭に「迷い猫」がいた。いつの間にかいた。初めて見たとき、「もう死ぬんじゃないかな」と思うぐらいにボロボロに痩せこけていた。
 とにかく食うものと飲むものと思い、猫を飼ったことがない僕は、コンビニでネコ缶と牛乳と紙の器を買ってきた。
ご飯を用意して近づくと、あまりに衰弱していて、逃げたくても動けない様子だった。
  『おい、大丈夫だよ。捕って喰ったりしないから。
大体、お前みたいなガリガリなの喰っても、スジばっててマズイよ。』
 しばらく、そばに座っていると、安心したようにぶるぶると震えながらネコ缶をゆっくり
舐め始めた。弱っているとはいえあっさり他人からエサ貰うなんて、コイツ「元飼い猫」だな。
ネコ缶一つと牛乳を与えたところで、どうするか悩んだ。
  『コイツ自分で、メシ喰えないんだよな。この先どうするんだぁ。
ウチで飼ってもいいかなぁ、でも汚いし、
獣医さんトコも連れてかないといけないなぁ。
今、捕まえてもカゴも無いぞ、うちのカミさんに相談するか。』
 虫や、鳥しか飼ったことのない僕は、新しいネコ缶と牛乳を置いて、様子を見ることにした。
 翌日、仕事から帰ると庭から猫の姿が消えていた。正直チョット寂しかった。
  『メシ喰って、元気になってたんでどっか行ったかな?』
と、玄関に入ると、足下でスリッとするやつがいる?!
  『どわぁ!。なんでオマエがいるんだぁ?』
なんでも、うちのカミさんが帰ると元気に走り寄って来たのだという。
見捨てられなきゃ飼うしかない!と家の中に放り込んだそうだ。
う〜ん、いざとなると女性は強いなぁ!
 というわけで、迷いネコ(♂:白にごく薄い茶虎)は我が家の一員となったのである。