過去の日記 インデックス
はまなす （生後３４２日）
2003,7,31
♪知床の岬に ハマナスの咲く頃 思い出してごらん♪・・・・・
加藤登紀子の『知床旅情』の一節だ。
この歌は私の両親も好きで（全学連世代である。かろうじけんたろう、らが同世代）私も小さい頃から聞かされていた。そのせいか、一度はハマナスの花を見てみたいと思っていたし、知床という場所にも憧憬の念を持っていた。
それが今回の旅行で実現したことは本当に嬉しい。
ハマナス（画像）は海辺の植物で、バラの仲間である。だから今回も触ってみて実感したのだが、かなり棘が出っ張っている。網走のそばの「小清水原生花園」というところでも、野付半島でも、野生のハマナスが見れた。
我が家のバラ４本のうち１本がかなり衰弱してきている。日当たりと通気があまり良くないところに植えたことと、今年の日照不足のためかもしれない。何とか元気を取り戻して欲しい。
ヒグマにツキノワグマ （生後３４１日）
2003,7,30
北海道旅行から昨晩１２時頃帰宅した。さすがに今日は少し疲れ気味で朝仕事に出かけた。妻は今日まで休みを取っていたので、朝カンを引き取りに行ってくれて、私は夕方に久々の対面をした。ところがカンはあまり大喜びをしない。少し眠そうだった。いくら「はな」がいる親戚の家だといっても、普段からの住処ではないのでやはり疲れたのだろう。夜もバタバタと窓を叩くこともせず、静かに横になっていた。
ただ散歩だけは元気で、久しぶりに湿度のある暑い１日であるにもかかわらず、５ｋｍの行程を半分以上走った。私は汗だくになってしまい、Ｔシャツは、胸のあたりがびっしょり、まるで「ツキノワグマ」の胸のマークみたいにになってしまった。
そういえば北海道ではついにヒグマを見ることができなかった。最も接近したと思われるのは、「知床五湖」とよばれる、知床半島にある原生林に囲まれた５つの沼をめぐる散策の時だったかもしれない。・・・知床は日本で最も熊の密度の高い地域だそうだ・・・
５つの沼のうち３，４，５湖は、熊が頻繁に出没するため、本来の散策コースが立ち入り禁止にされていた。それでも知床半島全体のヒグマの数は１００〜２００頭だそうだ。
さて、この北海道紀行は今日より前とこれから数日かけて日記に記したいと思うので、もし良かったらのぞいて欲しい。
画像は知床五湖散策ルートの入り口に立っている看板。
遙か国後 （生後３４０日）
2003,7,29
今回の旅行で最も感動したのは、国後島を見たことだった。
２８日に屈斜路湖から摩周湖（予想通り霧で何も見えず）から、硫黄山を経由して中標津（なかしべつ）、そして海岸沿いの街、標津（しべつ）に出ると、海の向こうに島が見える。あれは何の島だろうね、などと妻と話していて地図を見ると、まさにそれは国後島だった。
こんなに近いのならやはり日本の領土なのは自然だ。他の３島とともに早く日本に復帰して欲しい。今後の政府の外交努力に期待したい。
目を左に転ずると、知床半島が見える。山並みはまだ残雪が所々白く見える。ここへ来て、いよいよ最果ての地に来たのだなあと痛感した。海岸沿いには「はまなす」の花も咲いていた。
野付半島をしばらく進むとナラワラ、トドワラという、立ち枯れた木々による奇観の地がある。この半島は標津川による砂州でできた奇妙な半島だ。
野付半島をあとに、加藤登紀子の『知床旅情』にも出てくる、羅臼（らうす）という漁港に到達した。港には多くのカモメがカウ〜、カウ〜と鳴き、ちょうど夕方が迫り日が傾いてきたこともあって、もの悲しい雰囲気があたりに漂っていた。ここは本当に日本の東の果てなのだ。
羅臼からも国後島が手が届くようによく見えたのである。
画像は羅臼の港から見たかすむ国後島。カモメも右側に飛んでいます。
やがて哀しきキタキツネ （生後３３９日）
2003,7,28
下の画像はカンではない。「キタキツネ」である。それにしてもこんなところでカンに会うとはと、一瞬思ってしまうほど、よく似ている。
２８日、阿寒湖畔のホテルから、一路オンネトー（自然の沼、水の色が刻々と変化するという。そこから見える雌阿寒岳、阿寒富士も美しい）に向かう道すがら、道路の脇に人が集まっている。キタキツネが愛想を振りまいていたのだ。
全く人を怖がる様子もない。それどころか森へ帰ろうとするキタキツネをある人が呼ぶと、スタスタと戻って来るではないか。（カンより呼び戻しができる）
つまりこのキタキツネはある程度人によって餌付けがされていて、顔見せすればえさがもらえると知っている、営業ギツネなのだ。
実は知床峠でももう１匹キタキツネを見た。これも人間を怖がる様子はなかった。
最近テレビで見たヒグマは、缶ジュースの味を覚えて、民家にジュースを飲みに来るという。人間にとっては、これは恐ろしい話だ。いつ襲われるか分からない。
キツネにしろ、熊にしろ人間と隣り合って生活している以上、こういった現象が起こるのはやむを得ないのかもしれない。ただ、本当の野生であって欲しいというのが私たちの願いだ。むやみにえさをやってはいけないと思う。（カンは飼い犬だから話は別）
アイヌの人々の姿も各地で見た。私はアイヌ文化をリスペクトしている。また、アイヌ文化を永続的に保護して欲しいと願う。しかし、アイヌ文化がある部分で商業化され、彼らが生活のために文化を切り売りしているように思えて、なんだか哀しかった。そう言いつつも、アイヌ模様のＴシャツを買ってしまったのだが。
アイヌ文化もキタキツネも熊も丹頂鶴も皆、記号化され、商品化され、マーケットメカニズムの渦に組み込まれてしまっているのが現実なのだ。
丹頂鶴 （生後３３８日）
2003,7,27
カンを預けて、羽田に向かい、釧路に着いたのは１３時半頃だった。
レンタカーを借りてまず釧路湿原に向かった。
この湿原は何千年か前までは海であったところで、低湿地帯だ。釧路川が蛇行して流れ、幻の魚「イトウ」が生息する。貴重な湿地性植物が群生し、丹頂鶴をはじめとする多くの水鳥が羽を休める自然の残された地域だ。「ラムサール条約」という、水鳥の生息地として、国際的に貴重な湿地を保護する条約に、日本で初めて昭和５５年に指定されたのだそうだ。
釧路市湿原展望台に登り、さらに湿原展望台遊歩道（２．５ｋｍ）を散策した。さすがに風は冷たく、また、湿原全体を一望することができた。
薄暗くどんよりした天気で、加賀乙彦の『湿原』・・・犯罪歴のある人、神経を病んでいる人などが出てくる暗い小説・・・を思い出した。もちろん北海道が主たる舞台である。
続いて丹頂鶴自然公園に向かった。この鶴は国の天然記念物で、現在北海道で確認されている生息数は８００羽ほどだそうだ。頭頂部が赤く、数羽で共鳴するのが特徴だ。たまたま２羽が共鳴するのを見ることができた。
アイヌ語でサルルンカムイ（神の鳥）という。（画像のものは頭の赤い部分が見ずらいです。）
明日から北海道 （生後３３７日）
2003,7,26
夏季恒例の旅行に明日から出かける。場所は北海道の道東、釧路、知床方面だ。
昨年は長崎（ハウステンボス、雲仙）、一昨年は福島の温泉、その前は山陰（玉造温泉、大山）だった。
今回は２泊３日。ただ最終日の飛行機が、２０時頃発ということでだいぶ帰りが遅くなるだろう。（羽田から２時間以上かかる）
それにしても、計画していたときは、埼玉は暑くて暑くてどうしようもないだろうと予想し、避暑をかねて私が行ったことがない道東（札幌、函館方面は行ったことがある）にしたのだ。
ところが今年はこちらも十分に涼しい。それでも釧路の明日の予想最高気温は１８℃ということで、こちらよりは６℃くらい低いのである。
今回も動物（ヒグマ、キタキツネ、タンチョウｅｔｃ）や、植物を中心に見てきたい。この地方はまだ手つかずの自然が残されているだろうからだ。また、根釧台地は鈴木宗男氏の地元である。彼のポスターを見れるかどうか・・・
カンはまた「はな」のところに３泊預ける。はなが生理中ということでちょっと飼い主さんには迷惑をかけてしまうが、お願いしたいと思う。
カン３日間たったらまた会おうね。
最高！ブギウギナイト （生後３３６日）
2003,7,25
「最高！ブギウギナイト」とは、金曜日の夜９時からテレビ東京で放映される（もしかしたら関東ローカルかも）、ダンスミュージック中心に歌われる歌番組だ。三宅祐司、小林克也、パパイア鈴木らがＭＣをつとめる。かつて日本テレビで土曜の１０時からやっていた歌番組にかなり似ているが、選曲はダンス中心だ。
ダンスミュージックが好きな私にはこの番組はたまらない。私の青春期に当たる７０年代後半から９０年代前半の曲がよくかかる。
私の学生時代にはディスコというものがあった。私も若干行ったことがある。渋谷、六本木、新宿あたりのディスコだ。私の頃はもうアース・ウインド・アンド・ファイアーや、アバなどは下火で、いわいる「ユーロビート」全盛だった。ライムの「Unexpected Lovers」が特に好きだった。他にスティービー・ワンダーの「パートタイムラバー」、「君の瞳に恋してる」なんかもよくかかっていた。チークタイムにはボズ・スキャッグスの「ウイアーオールアローン」なども懐かしい。
ディスコは、フリードリンク、フリーフードで、安っぽいピラフを夕飯代わりに食べたものだ。踊りの方はへたくそで、都立高校生らしい連中がとても上手に踊るのを見て、少しうらやましかったのを覚えている。
ディスコは今や「クラブ」と名を変え、懐かしの７０年代のものなどを流している店もあるそうだ。最近同僚と一度行ってみようか（というか連れてってもらう）と、話しているところだ。
今日の「最高！ブギウギナイト」は、私の大学の先輩であるサンプラザ・中野が出ていた。ちなみに彼は私が１年の時６年だった。
塩柴 （生後３３５日）
2003,7,24
今日でちょうど１１ヶ月をカンは迎えた。あと１ヶ月、８月２４日で満１歳になる。
昨年９月の始めにカンと出会って、１０月上旬に我が家に迎え、あっという間に大きくなった。少しずつ利口になり、一方でいうことを聞かなかった（ついこの前も大脱走）こともあった。
ところでカンの毛色だが、当初胡麻毛になるのだと思っていた。父親は黒柴だし、母親も黒の差し毛が出ているからだ。
予想に反して、カンは胡麻にならなかった。冬毛の間は薄目の赤毛だなあと思っていた。
ところが最近、カンの毛色は白っぽくなっている。赤柴と白柴の中間のようだ。胡麻柴犬は、毛の表面に黒の差し毛がパラパラと胡麻をふりかけたようなのだが、カンはあたかも塩を（砂糖でも可、甘いマスクだから砂糖の方がいいかも）振りかけたごとく白の差し毛が表面に飛び出ていて、前から見るとかなり白っぽい。
不思議なことに後ろから見ると茶色が濃く見えてくる。中の毛は茶色だということだ。
母犬あやめは夏と冬で毛色がだいぶん違って見える。おそらくその血を受けたのかもしれない。
カンよ、甘ったれもいいけど、少しぴりっと塩のきいた、塩柴になってくれよ！
カン！初狩り！ （生後３３４日）
2003,7,23
夜、カンを室内に入れていたところ、何かを追っかけていた。
よく見ると黒い１０円玉ほどの物体がごそごそ動いている。
ゴキブリだ！
すぐさま妻が新聞紙を丸めて撃墜作戦を敢行したが、敵もさるもの、ササッと移動して容易に捕獲されない。逃げた場所はカンが追ってくれるから我々も見つけやすい。
そしてとうとう一撃の下に見事に仕留めたのである。
カンのお手柄だ。初狩猟である。ただ、カンはゴキブリをくわえて、食べちゃいそうな感じであったので、仕留めたゴキブリはすぐに処分した。
そういえばカンが何か実利的に我々の役に立ったのはこれが初めてじゃないか。人様のお役に立った立派な犬である。
さて、話は変わって、今日は「大暑」。とは思えないほど涼しい一日だった。
画像は職場に植えたカンナの花だが、例年暑さと日差しの中で凛として咲いているのだが、今年は何か不自然な感が否めない気がする。
お寒い野球 （生後３３３日）
2003,7,22
今晩は、今年一度も行っていなかった西武ドームの西武戦（対ブルーウエーブ）を観戦した。
ファンクラブに入っているので、只券や割引券がたくさんある。さらに会員プレゼント（今年はライオンズバッグとカブレラのフィギュア、帽子とタオルも選べたのだが今年は前者にした）をまだもらっていなかったので、それを受け取りに行くのも用事の一つだ。
６時半頃に車で着いた。ブルーウエーブは先発が、メジャー帰りの吉井。西武は慶応卒の長田である。結果として、のらりくらりと５回２失点に抑えた吉井に軍配が上がった。久しぶりの勝利投手だそうだ。
それに対してライオンズは投手もぴりっとせず、打線も湿りがちでお寒い内容だった。最終回に和田、カブレラの連続ヒットで１点を返したのが唯一の見せ場だった。
また実際に気候も寒かった。７月下旬という１年で一番暑い頃にもかかわらず、長袖のシャツでも体が冷えてくるようだった。西武ドームは屋根式で、外気が入ってくるのだから外がずいぶん寒いということだ。
かぁーと暑くなればもう少しライオンズも良くなると信じたい。
８月の下旬にダイエー戦に行こうと思っているので、それまでは優勝争いにからんでいてもらいたい。
画像は、松井稼頭央に対する吉井投手。
THE OPEN （生後３３２日）
2003,7,21
昨晩ゴルフの全英オープンを最後まで見た。
最後まではらはらどきどきしたとても面白いゲームだった。
私はゴルフは全くと言っていいほどやらないし、ゴルフ番組もほとんど見ないが、この全英オープンだけは毎年見ている。学生時代からだから、かれこれ２０年近くなる。
そんな風にこれだけは見る！というのは、あとサッカーのワールドカップ、天皇杯決勝、ラグビーの大学選手権、早明戦、ウインブルドンテニス、オリンピックなどがある。
最高のレベルで、最高の舞台、スポーツの醍醐味である。全英オープンは「ＴＨＥ ＯＰＥＮ」とよばれ、大会の中の大会ということを自他共に認めている。
さて今回の概要は、第１３２回目で、英国南東部のロイヤル・セントジョージズＧＣ・・・サンドイッチ（例の食べ物の語源になった街）の近く・・・で行われ、２打差の３位で出たベン・カーティス（米国）が、通算１アンダーでメジャー初出場で初優勝を飾った。トーマス・ビヨン（デンマーク）がバンカーから出すのに３打かかるホールがあり、ずるずると崩れ、勝利が転がり込んだ。優勝賞金は７０万ポンド（約１億３６００万円）だという。逆転優勝を狙ったタイガー・ウッズ（米国）はスコアを伸ばせず、２打差の４位に終わった。
国際色豊かな選手たちが活躍を見せる。韓国のホ選手。フィジーのシン、スペインのガルシア、ジンバブエのアーニー・エルスなどだ。日本の丸山は昨年１打差の４位だった。
優勝が見えてくると、名うての選手たちもフォームを乱し、精神的な部分の大きさが手に取るように見える。その心理戦がスリリングなのだ。ただ、今回は負けたが、タイガー・ウッズはやはり花のある選手である（画像・・・テレビより撮影）。
明日はプロ野球の観戦に行く。そんなスリリングなプレーを見たい。
草食犬 （生後３３１日）
2003,7,20
今日は土用の入りだ。このあとの丑の日に（２７日のようだ）人間様はウナギを食す。
最近のカンは草を食す。散歩に連れ出すため家の前の草原につないでおくと、むしゃむしゃ草をほおばる。昨日職場の庭で遊ばせたときは特にひどく、しばらく食べていた。
どうして草を食べるのか分からない。そういえば黒柴ボンもかなり草を食べる方だった。
胃腸の働きを活発にするためか、便通をよくするためか、体温を下げるためか、栄養補給（ビタミンなど）のためか。
それでも最近の草は危険もある。除草剤、殺虫剤、他の犬など動物の糞尿、酸性雨ｅｔｃ・・
これだけ草を食べたカンの末路は哀れだった。
今日、うんこをすると、当然草がいっぱい出てきたのだが、それが肛門に引っかかって、宙ぶらりんになったのだ。
カンは当然不快で、取ろうといろいろ試していたがとれず、私が取ろうとすると嫌がる。しかしここはなんとかせねばと思い、カンがウンチングスタイルをしたときにずるっと引っ張って取ってやった。すると、違和感があったのか、「キャイン！」と一声鳴いた。大袈裟な犬である。
これですっきりしたのかあとは大丈夫だった。私もビニールをひっくり返して取ったので、手が汚れずに済み、一件落着であった。
画像は草をはむカン。
庭仕事 （生後３３０日）
2003,7,19
朝から１日中庭仕事をした。積極的にというよりも、しなければならないといった義務的に行った感がある。
というのは、まず雑草がどんどん伸び、宿根草が増殖して狭い庭を覆い、通路が通りづらくなってしまったこと、見栄えも暑苦しくなってしまったことからの作業であった。
妻も協力してくれて、思ったより順調に進んだ。つるバラやそのほかの大きくなる植物を剪定し、ギボウシやあやめ、花菖蒲などのふくれてしまったものを株分けした（本当はこの時期はあまりやってはいけないようだ）。種から作ってあったジニア・リネアリスやペチュニアを利用してハンギングバスケットをいくつか作った。紫陽花やつわぶきを抜いてスペースを作った。
こうして抜いたり株分けしたものを職場の庭園に植え替える。
午後それらを持って、カンを連れて職場へ向かった。
カンはだいぶ復調し、元のお調子者に戻ってきた。我々も、カンが行方不明になってしまったら、こんなに抱きしめることはできない、などといとおしさが以前より増した気がする。
車は相変わらず苦手だが、職場の庭ではしゃいでいた。（画像はその様子）
カン！大脱走！ （生後３２９日）
2003,7,18
今朝、妻が散歩に行こうと扉を開けて首輪をつけようとすると、するりと脇を抜けて前の空き地に向かった。妻はそこで捕らえようとするとさらに道路の方へ出ていつもの散歩コースへどんどん向かっていく。車通りの多い道を悠々と渡り（妻は車が来ないで！と祈ったそうだ）どんどん逃げていく。全速力で追いかけたそうだが、ついに見失ってしまった。
妻は半分泣きながら私を呼びに戻り、一緒に探しに出かけた。
私は自転車に乗ってカンをいつも連れて行く道の方へと向かった。
道すがら頭の中では半分あきらめはじめていた。カンが自分で戻ってくるか、近所の人や知り合いの犬仲間が見つけてくれるかしか方法がないように思った。保健所や警察に連絡し、妻の実家にも連絡して一緒に探してもらおう、できることをできるだけやろう、そう切り替えていた。 帰ってくる確率は５０％くらいかなあと思った。
もし、カンが行方不明になったら、ＨＰはどうしようとか、妻が責任を感じてショックを受けてしまうのではとか、いろいろなことが去来した。
かつて黒柴ボンが３回位脱走したときも、朝脱走して夕方とぼとぼ帰ってきたことがあった。そのときもあきらめ半分の気持ちだったのを覚えている。
「カン！」、「カン！」と呼びながらあらかたのところを見て回ったあと、カンが家に戻っているのではと、一度帰って見ると、カンがいた。妻がよく行く公園でぶらぶらしているのを見つけたのだそうだ。連れて戻るときにさらに首輪が抜けて、またびっくりしたそうだ。
ハアハア言っているカンに少しお説教をしたら、カンは申し訳ないことをしたと、すまなそうな顔をして、我々から最も離れたところで上目遣いでじっと見ていた。また、しっぽがちゃんと立たない。腰が抜けたようになっていた。えさも水も全く口にしなかった。
そして我々が仕事に行くまでの間ぶるぶると震えていた。脱走して怖かったのか、我々が怖かったのかは分からない。
私は仕事があるのでその後出かけたし、妻もすぐ仕事に行ったので昼間どうしていたかはわからない。夕方の散歩には私が出かけたが、いつものカンとは全く違った。ちらちらと私の方を見ながら、あちらこちらへ行こうともせず、ただ私の歩くスピードに合わせ、なすがままにされるようだった。ただ、夜はえさを口にし始めた。
とにかく本当に見つかってよかった。それだけであった。
画像はしょぼくれて、いじけモードのカン。
ブランド （生後３２８日）
2003,7,17
自分ではあまり良い心ではないと思っているのだが、カンが血統書付きの柴犬であることが自慢なのである。
家庭犬として育てるのならば、取り立てて血統書もいらないだろうし、純血種である必要もない。私の知人は、犬を飼う際雑種でも全然困らない、といって雑種を含めて犬を飼おうか検討している。
それでも散歩の時に他の人から、いい柴犬だね、なんて言われると誇らしいのだ。少しだけカンをブランド犬として認識している自分に気づく。
ブランド志向は犬に限ったことではない。ファッション、陶器、など様々な分野においてついブランドものに目がいってしまうし、買ったあと自己満足してしまう。
先日、バーゲンで近所の丸井に行った際、私が学生の頃流行っていた（私の学生時代はＤＣブランドブーム花盛りで、私もそんな気分に乗せられていた。田中康夫の『なんとなくクリスタル』の頃である）ブランドが安売りをしていて、つい何点か購入してしまった（それらが画像にある）。
メンズ・ビギやらアトリエ・サブやらニコルなどがそうである。そして購入した品物を見てにやにやしてしまう。私はこういう心はあまり良いものではないと思っているのだが、この自己満足の心から逃れられないのだ。
多くの人も私と同様な傾向があると思う（妻はあまりない）。わずかな差異に目くじらたてて、他者との差別化を図り、そこへ欲望と資金を流し込んでいく。まさにこれが大量消費社会の特徴である。
私も渦に巻き込まれている一人である。
クロベ （生後３２７日）
2003,7,16
クロベとはカンの末弟の黒柴である（画像）。そのクロベが６月頃からブリーダーさんの元を離れ、Ｕさんのところに引き取られた。
実はＵさんは４月生まれの、桜子（赤柴）の子のゲン（オス・赤柴）ちゃんを同時に引き取ったという。２頭飼いだ。本来はゲンちゃんをもらう予定だったのだが、ブリーダーさんのところに行くたびに、クロベがＵさんになついて一緒にもらうことにしたのだそうだ。Ｕさんの英断を賞賛したい。クロベはこれからも幸せな犬生が送れることと確信する。
われわれにとってもクロベのもらわれ先が決まりとても安心した。我々はもしかしたらクロベを飼っていたかもしれなかったからだ。昨年９月にブリーダーさんのところを訪れた際、４頭の子が生まれたうち、長男の「やまと」と雌柴ちゃんはすでに行き先が決まっていた。クロベとカンがまだ決まっていなかった。クロベは、ブリーダーさんがただ１頭の黒柴なので置いておきたいと考えていたので、残ったカンがうちにくることになったのだ。
今年の２月頃クロベはけがをした。我々はそれを知りお見舞いに出かけた。Ｕさんはそのことをブリーダーさんから聞いたようで、クロベのことを心配する人がこの世にいることを知って感激してくれた。また、このＨＰにはクロベの幼少期の画像が多くある。飼い主にとって自分が知らない頃の愛犬の様子が知れることほど幸せなことはない。我々のように生後１０日目から知っているなんてとても恵まれているのだ。
これからもクロベのことを気にかけていきたい。なにせカンの同胎犬だもの。
異人の来訪 （生後３２６日）
2003,7,15
柳田国男の『遠野物語・山の人生』を読んでいると、「異人」ともいうべき人たちのことが頻出する。たとえば山姥、仙人、巨人、天狗、狸和尚（狸が化けたという坊さん）、常陸坊八百比丘尼（８００歳まで生きたという女性）、鬼っ子（生まれたときから巨体で歯が生えている）、 山女、山人、ｅｔｃである。これらは人間のようであり、または別世界の存在のようでもあるものたちだ。異人たちはそのすべてが人間、平地人に害を及ぼすわけではなく、時には里人に利をもたらすことも多いという。
私は異人に憧憬と畏怖を持つ。私のとっての異人は、私の持っている文化とは違うものを持っている人々だ。かつて少年の頃は「転校生」に興味を持った。彼らが来るといち早く友人になりたいと思った。これは彼ら個人の魅力というよりも、彼らの背後にある異なった文化性に対するあこがれからだったと今にして思う。そういう私も１度だけ転校したことがあった。このときは私が異人であったわけだが、慣れない文化にとまどい、半年くらいしくしくめそめそしていたのを覚えている。
実は静岡そのものが私にとって異文化だった。その後の関東、特に就職してからの埼玉は、全く異文化の地であった。知らない土地に住むときはまず言葉の壁に突き当たる。国内なら方言だ。静岡に行って覚えた言葉が、「ばっといて……とっといて」「おぞい……製品が不良だ」などだ。「ぶっしょったい……むさくるしい、きたない」は全くわからなかった。埼玉でも方言があり、今は完璧にマスターしたけれども、最初は拒否反応があった。
最近我々の住まいの近くに空き巣が現れているという。私の同僚にもやられた人がいる。自宅で異人に会いたくはない。ここはカンに期待しよう。カンは幸いに異人には強烈に吠えるのだ。
冷夏 （生後３２５日）
2003,7,14
今日はここのところでは一番寒い一日だった。小雨まじりで一日中薄暗く、週の初めにして気分の上がらない日だった。
このまま行くと「冷夏」になりそうだ。私は暑さに弱いので涼しいのは歓迎であるが、こう涼しいと米の作柄に気をもんでしまう。平成５年だったか、大変な冷夏で米がとれず、タイ米やカルフォルニア米を輸入してしのいだことが思い出される。日本米の価格はずいぶん高騰した。
「日照りに不作なし」というらしい。これから真夏の太陽がさんさんと輝くようであれば心配ないのだが。
世界各地で異常気象らしい。イタリアやフランス南部、アメリカの一部、紅海沿岸やイスラエルの方は酷暑だそうだ。平年より３〜４℃高いらしい。専門家によると地球温暖化の影響という。
今日カンをを獣医さんに連れて行った。９．５ｋｇ。安定している。フィラリアの薬をもらってきた。それから右首筋のできものについて（２日前に出血していた）聞いてみると、ダニではないかという。草むらなどに入るとくっついてきてしまうという。ひどくなるようならまた来てくれといわれた。逆に良くなってきているので、心配なさそうだ。
小径（こみち） （生後３２４日）
2003,7,13
昨日の夕方の散歩の時、いつも通る道をよく見ると「ふれあいの小径」という看板が立っていたのに気付いた。畑の脇で赤土の細い道だ。雨が降るとぬかるんで、私の靴とカンの足が泥だらけになってしまうので、雨天時はここは避けて通るのだが。
今朝散歩に行ったコースは全然方角は違うが、やはり土の小径を通る。梨畑や小麦畑の間を縫って行く。
私もカンもこのような小径が好きだ。欲をいえばもう少しアップダウンがあってもいい。関東平野はたいらなので、この辺りに丘はないのでしょうがないが。こういった道は季節の変化をよく見て取れる。草花や畑の作物、空気、空の色など。ちょっとした旅愁を感じる。
実家の静岡には谷津山という丘があり、ボンを連れてよく上った。特に晩秋のたたずまいは絶品だった。
日本庭園にも小径が使われる。松尾芭蕉も『奥の細道』という紀行文を書いた。日本人は昔から、季節の移り変わりを楽しめるこんな細道を好んだ。
ところでこの細道はどこまで続いているのだろうか。
芥川龍之介の『トロッコ』の最後にこう書かれている。
塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細々と一すじ断続している。・・・・・・・・・・・
夏祭り （生後３２３日）
2003,7,12
先祖の霊や、山川草木に宿る神々とともに歌舞音曲を楽しむことは、日本人が昔から行ってきたことである。
実は今日、私の住む街の夏祭りなのである。商店街などとのタイアップもあり、商業化していることは否めないが、それでもかつての素朴な信仰心が見られるのだ。御神輿が繰り出し、出店が軒を連ね、夏の夜に提灯の明かりが煌々ときらめく。普段の街の様子が一変し、祝祭空間に生まれ変わる。浴衣やはっぴを着た人たちが含まれる人波は酔うほどである。
そういえば盆踊りも、戻ってきた先祖の霊とともに楽しいひとときを送る行事である。
『遠野物語』にも霊や山の神、川の神に関わる記述はすこぶる多い。
カンとの散歩道にも、素朴な信仰の足跡がそこかしこに残されている。画像は馬頭観音をまつった石碑だ。江戸時代の農民たちに広く信仰されたそうだ。この辺りにはこの観音の石碑が多い。
ところで今日、カンの首のまわりに湿疹らしきところから出た膿が出ていた。最近の湿気の多い気候のせいだろうか。少し心配なので、来週フィラリアの薬をもらってくるついでに、獣医さんに見てもらうことにしたい。
のら犬 （生後３２２日）
2003,7,11
今朝車で通勤する途上、ラブラドールより少し小さめの白い、といっても毛は泥などで汚れた、みすぼらしい（そのように見えた）犬が歩道をとぼとぼ歩いているのを見た。ノーリードで、誰かに飼われているのかもしれないが、のら犬にも見えた。確か前にもこの犬を見たことがあるような気がする。
もしのら犬だとすればこの犬は日々生活のためにあちこちを歩き回っているのだろう。ゴミ置き場をあさったり、小動物をとらえたりしながら、夜は雨が吹き込まない橋の下あたりに丸くなって、ひとときの安らぎを手に入れて、何とか日々を生き抜いているのだろう。
ひるがえってカンを見ると、なんと幸せな犬であることか。確かに平日の日中は飼い主は不在だけれども、舶来のドッグフードに、広いスペース、長距離長時間の散歩。飼い主の愛情。それでも不満はあるのだろうか、時々ふて寝していることがあるけれども。
さて、自らのことだが、のら犬のようになりたくない一方で、のら犬でありたい気持ちもどこかにあるのだ。それは、都市化されたこの街で、ひそかに、したたかに生き抜いていく。孤独に耐え、不条理な世の中に不満を持ちつつも適当にやり過ごし、力を振り絞って目指すべきものを目指す。そして時折、のら犬のようにふらふらと町へ出て、あてどもなく放浪するのだ。
今日もこれから夜の町を徘徊するつもりだ。
ここ掘れわんわん （生後３２１日）
2003,7,10
昨日、昼休みに何人かと職場の敷地内の花壇の整備をした。なかなか手が入らず、放っておくとあっという間に雑草だらけになってしまうし、私が転勤してくるまでは何本かの木が植えてあるだけで、そのほかのスペースは荒れ放題だった。そこで、うちで育てた草花を株分けしたり、タネから育てたりして、植え付けていっているのだ。少しずつ良くなってきていると自負している。
ところで、そのうちの１人がスコップで荒れ地を掘り返していると、５００円玉が出てきて、えらく喜んだ。私も正直うらやましかった。大盛りラーメン１杯食べられる額だ。
その人の日頃の行いが良かったからか、はたまた偶然かは分からない。ただ、昔話の『花咲爺さん』の中では、正直で勤勉な爺さんが、裏の畑でポチが鳴いていたところに大判小判がザックザク出てきたわけで、日頃まじめに生きていると良いことがあるという説話になっている。
私はあまり正直でもなく勤勉でもないので、カンが鳴いているところを掘ってもきっと何も出てこないだろう。だから、金脈は自分で探し当てるほかない。でも、少しだけカンに期待しても、罰は当たらないだろう。頼むよカン！
画像は先日の土曜日の「はな」。彼女が鳴いたところなら、大判小判がありあまるほど出てきたりして。
夾竹桃…キョウチクトウ （生後３２０日）
2003,7,9
夾竹桃の花はもう盛りを過ぎている。大気汚染に強い丈夫な花で、赤や白などの花色がある。
私はこの花はきれいに咲くとは思うのだけれど、少し寂しい思い出がある。
私は小学校の低学年から中学年にかけて、父母が共働きであったため、小学校から帰ると近所の父の同僚の家に母が帰るまで預けられていた。この家に夾竹桃の花があったと記憶している。とても優しく、思いやり深い奥さんで、ここに預けられていて嫌な想いをしたことは一度もない。しかも、手作りのクッキーなどを焼いて食べさせてくれた。特に印象に残っているのは葡萄入りのクッキーである。これは母も作ってくれたのだが、甘くてとてもおいしかった。今でも葡萄入りのパン、クッキーが好きなのはこのころの思い出によるだろう。
しかし、まだ幼い私は、親切なおばさんが面倒を見てくれていたとはいえ、他人である。どこかかしこまっていなければいけなかっただろうし、肉親と離れている寂しさは当然あった。だから、今思えば６月や７月にこの花を見て、母さん早く帰ってきてくれないかなあ、などと思っていたに違いないのだ。
今日１２歳の少年が補導された。この子の心の闇は誰にも知るよしがない。でも、まだ自我も確立していない年代である。殺された子や父母とともに、加害者の少年にも哀れな感情を抱かざろう得ない。
寂しい事件であった。
画像は私のお古のズボンに横たわるカン。いつ見てもズボンの上に座っています。私と一緒にいる気がするのでしょうか。
もうっと犬クイーンと一緒 （生後３１９日）
2003,7,8
最近自我が芽生えてきたのか、はたまた散歩道を覚えたのか、散歩の途中でこっちに行きたいと、だだをこねて座り込んでしまったり、踏ん張って拒否反応を示したりすることが増えてきた。私は、リードをぐいっと引っ張って私の行きたい方に行かせるが、妻は結構カンの行きたい方に行かせてあげるそうだ。
夜は相変わらず、中へ入れてよ、おやつくれよとしばしばクイーンと鳴く。
８月２４日でもうすぐ１歳。人間の年齢だと１６，７歳に当たるという。人格ならぬ犬格も完成に近づいてきているのだろう。
盲導犬は１歳まで一般の家庭で育ててもらい、人間の愛情をいっぱいもらったところで訓練を開始するという。昨日テレビで見た「盲導犬クイールの一生」に出ていた。犬格が完成しないと訓練も始められないのだろう。
しかしこのドラマに私は涙してしまう。昨日はクイールが脱走して訓練所に戻ってきた場面、１歳まで育てた沢口靖子が、会いたい気持ちを押し殺して影からクイールの様子を見守るシーン（かつての飼い主は犬と接触を禁じられているのだそうだ）でウルウル来てしまった。それにしてもラブラドールは賢いと感心した。
今日も早朝よりもうっと（えさくれ、散歩しろ）犬クイーン（と鳴いてえさをねだる）と一緒に散歩に行って１日が始まった。
七夕に読む『遠野物語』 （生後３１８日）
2003,7,7
残念ながら雨天の七夕になってしまったが、こうした聖なる夜に読む本として、柳田国男の『遠野物語 山の人生』は大変面白い。
柳田国男は大正から昭和の前半にかけて活躍した民俗学者の巨人である。この本の中身はまさに水木しげるの世界である。河童、神隠し、お犬（狼）、霊魂、山姥、シャーマニズム、山人、など、現代人が忘れつつある不思議の世界について、岩手県の遠野地方に伝わる伝説や、現実にあった話などを聞き取り調査してまとめたものである。
先日寝る前にこれを読んだら、寝付きが悪くなるほど怖い話が書かれていた。これから夏にかけて、日本の民は怪談や霊の世界に半分身を移す。夏祭り、盆踊りはその名残だ。
それでは一節だけ載せてみる。
小鳥瀬川（こがらせがわ）の姥子淵（おばこふち）の辺りに、新屋の家という家あり。ある日淵へ馬を冷やしに行き、馬引きの子は外へ遊びに行きし間に、川童（かっぱ）出でてその馬を引き込まんとし、かえりて馬に引きずられて厩（うまや）の前に来たり、馬槽（うまふね）に覆われてありき。家のもの馬槽の伏せてあるを怪しみて少しあけてみれば川童の手出でたり。村中のもの集まりて殺さんか宥（ゆる）さんかと評議せしが、結局今後は村中の馬に悪戯（いたずら）をせぬという堅き約束をさせてこれを放したり。その川童今は村を去りて相沢の滝の淵に住めりという。
万事こんな感じで、もっと怖いのや、あまり面白くないものもある。
もう起きちゃいかがとカッコウが鳴く （生後３１７日）
2003,7,6
早朝の散歩に、妻とカンと出かけると、どこからかカッコウの声がする。
「カッコウ・・カッコウ・・」
風もなく本当に静かな日曜日の朝に、鳴き声がこだまする。皆さん朝ですよ、と歌いかけているようだった。
カッコウは夏鳥で、南からやってくる。林などの周辺に住み、卵を他の鳥に預けて育ててもらうのだそうだ。例えば、モズ、ホオジロ、オナガなどに。目が黄色で、お腹に細かい縞模様がある。他の鳥が嫌う毛虫も食べてしまうのだそうだ。ホトトギスの仲間だ。
このあたりは意外と野鳥が多い。様々な鳴き声が聞こえてくる。我が家の庭にもちょくちょく訪れる。ブルーベリーの実をほとんど食べ尽くしたこともある。先日も黒っぽい、２０�僂�らいの鳥が、軒にちょこんと腰掛けていた。
ただ残念ながら何という鳥かは分からない。私が分かるのは、雀、ツバメ、カッコウ、ウグイス、ヒバリ（後者３つは鳴き声で）、位だ。ここに転居してきてから鳥の名を覚えようと、野鳥のガイドブックを購入したのだが（上記の解説はそれによる）、やはり覚えられない。詳しい人に教えてもらうほかないのかもしれない。
蛇足だが、夕方カンの散歩に行ったとき、田舎道を横切る野鳥をカンが追いかけようと飛び出した。さすが猟犬の血を引く、と思った。
ひやむぎ （生後３１６日）
2003,7,5
昼食にひやむぎを食べた。近くのスーパーで買った、１個４０円のカレーコロッケをおかずにだ。食欲がなくても、これなら何とかお腹に入る。
そういえばカンがここ２〜３日、朝出したご飯を夕方まで食べない日が続いている。夕方の散歩から帰ってきて、体の火照りがとれた頃食べ始める。そして朝の分にプラスしてドッグフードを与えてやる。
やっぱりこの暑さで、犬も人間も食欲が落ちるのだなあと思った。特に犬は、あれだけの毛皮を着ているんだから暑くて、日中は食べる気は起きないのだろう。もちろん囲いの中は陽が当たらないようにしてあるのだが。
夏の初めは、暑さになれなくて、ばて気味になるのだが、ちょうどいい頃に夏土用があり、人はウナギを食す。
私はちょっと早いが、今夕、ウナギをご馳走になった。
画像は、暑さにげんなりしているカン。
夏が来れば思い出す （生後３１５日）
2003,7,4
夜来の雨も上がり、日中は久しぶりに太陽が顔を覗かせるとともに、気温も上昇した。
隣家に風鈴が吊してある。風がそよぐと、かすかな音色が聞こえてくる。夏である。
夏といえば、先日妻と話したのだが、夏休みが待ち遠しかったことが思い起こされる。絵日記、自由研究、読書感想文、ラジオ体操、登校日、プール、朝顔、ひまわり・・・
そのほかにも、スイカ、高校野球、思い出のメロディー、夕立、終戦記念日の戦没者祈念式、お盆で混んだ東京駅、おばあちゃんの家、夏祭り、花火、蚊取り線香の匂い、かき氷、アイスキャンディー、蚊帳、半ズボン、打ち水、冷たい井戸水、蝉の声・・・
花では、ムクゲ、サルスベリ、酷暑の中凛として立つカンナの花、サルビア・・・
また夏が来る。
画像はギボウシの花です。
『風の又三郎』を観て （生後３１４日）
2003,7,3
昨晩、「新宿梁山泊」という劇団の『風の又三郎〜唐版』を観た。
７時から始まり、芝居が終わったのが夜１０：４０位で、長時間の力作だった。場所は新宿の花園神社境内にテントを張って、その中の劇場である。
つかこうへいや柳美里らしき人もいた。朝日新聞にも取り上げられたそうだ。平日に、このアングラ劇団の芝居に満員の観客にはちょっと驚いた。昨年９月の同劇団の『吸血姫』は、それほど混んでいなかったが。テントの中は熱気と興奮、そして狂気に満ちあふれていた。
唐十郎の作を金守珍（キムスジン）が演出した作品だ。劇団による紹介文によると
「東京の下町で二人の男女が出会う。精神病院から逃げてきた青年「織部」と宇都宮から流れてきたホステスの「エリカ」。二人はこの物語の中では恋人同士ですらなく、ただ、『風の又三郎』のイメージを介して結びつくもろい関係。
汚濁した世間で生きていくことができずに病院に収容され、それでも、自分を連れ去る風の少年に憧れる織部は、その面影をエリカの中に見い出す。エリカは自衛隊の練習機を乗り逃げした恋人を探す道連れとして、この純真な青年を利用する。探し当てた恋人はすでにこの世の人ではなく・・・・。
ガラスのような精神を抱え、傷つきながらもひたすらに、自らの「風」である女を守ろうとする青年と、いまわしい血の記憶に翻弄させる女との、恋よりも切ないものがたり。」
ということになる。中身は血や暴力、狂気、夢、人生の意味、歌、踊り、ギャグが、ちりばめられた断片の集成で、一緒に行った友人は、１幕を観ただけでは何がなんだか分からなかったといっていた。２，３幕になるに従いこの劇が焦点を当てているものがほのかに見えてくる。ただ、それはあくまで薄ぼんやりと匂う程度である。『吸血姫』は妻と行ったのだが、こんなおどろおどろしい芝居はもう２度と行かない、と言っていた。それくらいくどく、血や暴力、自虐のシーンが繰り返される。
芝居の中で、女医が病院内で喫煙しているところを看護婦にとがめられたとき、「いいのよ、みんな病んでいるのだから」と答えたシーンが印象に残った。みんな正常を装って、誰かを生け贄に捧げ、フッサールのいう「妥当性」なるものにしがみついて、自己弁護をしながら生きていくのである。フーコーの狂気についての論考を思い出した。もしかしたら一見正常に見えるものがおかしくて、狂っているように見えるものが正常なのかもしれないのだ。
「新宿梁山泊」の芝居はいつも啓発される。この劇団は、在日の人々が多く関わっている。そのせいか、アイデンティティーの不在、さまよえる人々、といったテーマが底流にある。
ただ、私は１０年前の同劇団の方が好きだった。初めて観たのは、１９９１年夏、松本市のあがたの森公園での『チネチッタ』だ。たまたま通りがかって偶然観たのだ。心が躍った。そして迷った。その後『ジャップドール』…ＮＨＫでも放映…や、『人魚伝説』、『少女都市からの呼び声』などを観た。このうち多くは鄭義信（チョンウイシン）の作による。私は氏の作品の方が唐十郎氏のものより好きだ。唐氏のものはやや暗い。
初めて観た頃から１２年がたっている。昨晩の主役近藤結宥花（ゆうか）さんはあのころと変わらなく、胸がどきどきするほどの美人だ。皆、歳をとっている。歳月を感じさせる。これからも観ていきたい劇団だ。
ラーメンを食べて帰宅したら、深夜０時半だった。カンは眠い目をこすりながら歓迎してくれた。おかげで私は今日眠たい。
梅雨寒 （生後３１２日）
2003,7,1
１年で最も日が長い時期だというのに、一日中どんよりとした曇り空で、時折パラパラと雨の落ちてくる陽気だった。多くの植物の中でも、ガクアジサイは（画像）雨に打たれて、光をましていた。
気温も平年に比べてずいぶん低かった。１８：００の段階で２０℃少し。まさに梅雨寒である。これは、オホーツクの高気圧の勢力が強まり、関東地方を覆っているためだ。
私は幼い頃から気象にとても興味があった。できたら、気象庁に入りたかったくらいだ。
なぜ、と考えてみると、今でも私の健康が気象状態に左右されやすい。幼い頃も無意識に天気予報が気になっていたのではないかと思う。特に天気予報が気になるのは、晩夏と早春である。季節の変わり目、暑かったり寒かったりの変動が大きいこの時期が、私の体調に一番響く季節だからだと思う。
今日は、こんな天気で一日中頭が冴えなかった。日記を書いている今でさえ、今ひとつ筆が進まない。
明日はどんな天気なのだろうか。
