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	天　明映画「惑星ソラリス」（アンドレイ・タルコフスキー監督）の1シーンに＜混沌の海＞がひろがる風景がある。時間や空間、色彩や形態、といったこの世のあらゆるものが未分化な状態で霞みの中に溶け込みうずまくイメージが、私の記憶に焼きついている。曖昧で不確かなつかみ所のない現実が、つねに私を引きつけ、はなさない。仏教の言葉の中に衆生が生死を繰り返し、迷いの世界をめぐるといった＜輪廻＞という概念がある。まさにこの　＜輪廻＞も＜混沌の海＞からの転生を意味する。私たちは一体どこからやってきてどこに向かうのかといったつきない疑問も、この混沌から生成し混沌に帰結するように思えるのだ。幾万と繰り返される日々のうつろいの中に、今一条の光りがさしこむかの如く、私達の網膜に一瞬刻み込まれた風景を《　天明　》と名づけた。輪廻という尽きない繰り返しの中で、私は　＜夜明け＞ともつかない朦朧とした漂泊の彼方に、記憶された風景の断片をとどめようとしているのかもしれない。
		東八代広域火葬場施設＜東八聖苑＞山梨県東八代郡／1999年制作