■ 鉄道模型用 速度計の製作 ■


パノラマカー タイプ ニキシー管 速度計 + デジタル時計 ●

  「デジタル時計」の製作ページで、ニキシー管時計を作っているとき、昔乗った名鉄電車のパノラマカーに、ニキシー管の速度計があったのを思い出しました。
 
 鉄道模型が趣味の息子に訪ねてみると、数枚の写真が残っているだけで、実物を見ることは不可能に近いと言うことでした。
 
 そこで、写真と記憶を頼りに、鉄道模型用の速度計を作ってみようと思います。 また、模型の運転をしないときは、時刻を表示させる機能も搭載しました。


回路の概要
 
1.ニキシー管 表示回路

 
 ・表示回路の回路構成は、「プリント基板によるデジタル時計の製作」とほぼ同じなので、詳細は
  下記のページを参照してください。
 
   https://www.ne.jp/asahi/shared/o-family/ElecRoom/DigClock/ATM88Nix/ATM88Nix.html


2.速度(電圧)検出回路
 
 ・模型列車の実際の速度を計測することは難しいので、パワーユニットの出力電圧を、電圧計と
  して計測し表示します。
 
 ・パワーユニットの出力電圧は、直流(脈流)の0〜12Vで、列車の進行方向により極性が+−
  反転するので、ダイオードブリッジにより極性を統一し、最大電圧を何Kmで表示するかを設定
  するための半固定抵抗器を通して、AVRマイコンのA/Dコンバータに接続しています。
 
 ・表示は入力電圧に合わせて、0Km〜255Kmまで表示できますが、常点灯はオフにしておか
  ないと誤表示します。
 
           
 
3.速度計、時計 切換回路
 
 ・パワーユニットには、ポイント切換や踏切等に使用するアクセサリー用電源(TCS電源)端子が
  搭載されているので、この電圧を検出して速度計と時計の表示を切り換えます。
 
 ・TOMIX製の旧タイプ パワーユニットではAC17V、新しいタイプでは「TCS電源」という名称で
  DC12Vが出力されているので、両方の規格に対応するため、ダイオードブリッジで整流と
  平滑を行います。
 
 ・そして、車両電源回路と絶縁するため、フォトカプラに接続します。
 
 ・入力電圧にも違いがあるため、定電流ダイオード(CRD)を通して5mAの電流を確保し、フォト
  カプラのLEDを点灯させています。
          
 
 
 
製作のポイント
 
1.プリント基板

・プリント基板は、主基板と、ニキシー管基板、AM/PM LED
 基板の3枚です。
 
・ニキシー管の取付は、管の種類により端子の配置がまった
 く違うため、アノード端子を中央に配置し、残りの端子を楕
 円形に取り付けて行き、各カソードに対応するように配線を
 変えることで12φクラスの管での汎用性を持たせています。
 
・AM/PM LED基板は、ニキシー管の高さに合わせて切断し、
 取り付けます。

 
2.「Km」表示部
 
 ・実際のパノラマカーでは、4つあるニキシー管の一番右側に、「Km」文字の管が使われて
  いますが、入手ができないことと、時計表示に4桁目も必要なことから、数字表示管の前に、
  点で文字を構成した透明のアクリル板を置き、オレンジ色のチップLEDで点灯させています。
 
 ・アクリル板は透明の2mm、文字の穴は0.8mmです。
 

 
ユニバーサル基板を加工し、チップLEDを
4方向から内向きに点灯させる。

「Km」表示 製作図面 PanoNxKM.gif

 
点灯テスト


 
光の漏れを防ぐため、
回りを黒シートで覆う。

 
3.レンズの取付
 
 ・実物では表示部分が円形の大きなニキシー管が使用されていますが、もちろん入手が不可能
  なため、手持ちのCD81で何とかディテールを近づけようと思い、管の前面にレンズを置き、丸い
  感じを出すと共に、12mmしかない表示を大きく見せるようにしました。
 

 
ダイソーの100円で購入したルーペ。
直径25mmのレンズが入っている。

 
中央2つにレンズを入れて比較。

 
4.ケースの加工
 
・ケースは「TAKACHI」のPK−150Sを使用し、ケース付属の
 アルミ板部分に、「アクリサンデー」の3mm低発泡塩化ビニール
 樹脂板(白)を加工し使用しました。
 
・スイッチ及び端子類は、ケースの左側に集約し、上部にCDS用
 の穴があります。
 
・「只今の速度」文字は、プリンターで紙に印刷し、2mmの透明
 アクリル板で押さえています。

 
回 路 図  GIF版 PanNxCir.gif (260KB)  PDF版 PanNxCir.pdf (438KB)

部品配置図  GIF版 PanNxPcb.gif (277KB)
アートワーク  GIF版 PanNxAW.gif  (192KB)
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。 

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  Am88C901.txt (28KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  Am88C901.bas (28KB)
 インテルHEX形式 オブジェクトファイル  AM88C901.HEX (11KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。


 

 
速度表示

 
時刻表示

 
左側面

 
上面

 
後面
 

 
主基板 上面

 
ニキシー管基板 上面

 
ケース内部

 
主基板 ハンダ面

 
ニキシー管基板 ハンダ面
↑ 画像をクリックすると、拡大します。 ↑
 動 画  


AVRマイコン ATmega88の、ヒューズ ビット書き換え
 
AVR ATmega88のシステム クロックは、工場出荷時に内蔵RC発振器の8MHzで、1/8前置分周器がONに設定されているので、外部のクリスタル オシレータを使用するには、AVRのヒューズ ビットを書き換える必要があります。

下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。

    ヒューズ ビット書き換え

 6.[ FusebitC ] の右欄 [ 0:Divide Clock by 8 Enabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide Clock by 8 Disabled ] を選択します。
 
   [ FusebitKLA987 ] の右欄 [ 100010: --- [CKSEL=0010 SUT=10];default value ] を
   クリックすると、右側にプルダウンメニューが現れますから、
   [ 100000: --- [CKSEL=0000 SUT=10] ] を選択します。
 


操作方法
1.電源投入
 
  ・電源が入ると、現在のプログラムバージョンが、0.2秒周期で点滅表示されます。
  ・「Time Set A」ボタンを押すと、「2000年1月1日 AM12:00:00」からカウントが始まります。
  ・表示モードは「通常」になります。

2.表示切換
 
 
 ・「Time Set A」と「Time Set B」ボタンを押すことにより、下記の様に表示が切り替わります。
 
通  常  時 時.分  表示
Time Set A ボタン 月 日  表示
Time Set B ボタン 分.秒  表示

3.時刻設定
 
  ・「Time Set A」と「Time Set B」ボタンを同時に3秒以上押すと、時刻設定モードに入ります。
    (年は、西暦2000年から2099年までの範囲で対応しています)
  ・設定モードに入ると、下記の順に設定できる項目が点滅表示されます。
     ( 表示モード → 年 → 月 → 日 → 時 → 分 → 終了 )
  ・「Time Set B」ボタンで、設定値が増加し、1秒以上押し続けると早送りになります。
  ・「Time Set A」ボタンを押すと、次の項目に移ります。
 
  ・「表示モード」時は、左側に「8.2.」が表示され、「Time Set B」ボタンを押すと右側の表示が
   「00」と「82」で交互に変わります。
    「00」→ 通常表示。
    「82」→ 秒の下1桁が、0〜7の8秒間は時間を表示し、8〜9の2秒間は、月日を表示します。
   ・この設定値は、AVR内部のEEPROMに記憶されますので、電源を落としても前回の設定が表示
   されます。
 
  ・分の設定が終わると、秒を00にして通常の時刻表示に戻りますので、秒の単位まで合わせる
   場合には、00秒になったと同時に「Time Set A」ボタンを押します。

4.12時間/24時間表示の切換
 
  ・スライドスイッチを切り換えることにより、いつでも選択が可能です。

5.日差の微調整
 

  ・内部基板上にある、水晶発振子(Xtal)上面の穴の中に、微調整用のボリュームがあり、回転
   させると180度を境に、進むまたは遅れる(位置は不確定)ので、1日の誤差を見ながら、左右
   どちらかに少しずつ回転を繰り返して日差を修正します。

6.スキャンスピード
 
  ・「Time Set A」ボタンを押しながら電源を投入すると、スキャンスピード設定モードに入ります。
  ・初期状態では、「0.075.」が表示され、下位2桁が点滅します。
   (この状態で、スキャンスピードは75Hzです)
 
  ・「Time Set B」ボタンを押すと、「0.050.〜1.234.」の範囲で数値が変化しますが、増加する値は
   AVR内部タイマーの設定値から計算しているため、整数の一定値ではありません。
  ・表示と共に実際のスキャンスピードも変化するので、表示のちらつきが無く、隣接桁にゴーストが
   出ないように設定値を決めます。
 
  ・設定値が決まったら、「Time Set A」ボタンを押すと、プログラムバージョンの表示に戻ります。
  ・設定値は、AVR内部のEEPROMに記憶されますので、電源を落としても再設定は不要です。

7.MAX Speedの設定
 
 ・パワーユニットを最大電圧にしたときに表示する、最高速度値を調整できます。
 ・電圧を最大にし、本体左側面にある半固定ボリュームを回すと設定できます。


○パーツの参考資料
 ・基準信号 水晶発振器  「秋月電子通商」 超高精度クリスタルモジュール(12.8MHz±1ppm)
 ・基板  「サンハヤト」 感光基板 43K ガラスコンポジット 片面 1.0x100x150mm


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