「USBasp」 AVRライターをBASCOM-AVRから使用 ■


 安価なUSB接続のAVRライター「USBasp」を、BASCOM-AVRから使用する方法です。
 
 ・ケースのない基板だけの製品ですが、数百円で購入できてしまうAVRマイコン書込機です。
 ・BASCOM-AVRが正式対応しているので、コンパイル後に直接書き込みウィンドウを
  開いて書き込み操作ができます。
 ・ヒューズビットも$PROG命令により自動的に書き込む事ができます。


 ・単純な構成で、回路図とファームウェアが公開されているため、多種の派生品が販売
  されています。
 ・製品によっては、5V回路専用であったり、ISP端子のピンにシリアル信号が勝手に
  割り当てられたりしているので、良く吟味して購入する必要があります。
 ・多くの製品に搭載されている制御用のAVRのファームウェアが古いため、同じ書込機を
  2台購入して、USBasp書込機自体のファームウェアを書き換えて(更新して)から使用する
  必要も出てきますのでご承知下さい。
  (安価なので、2台購入して予備機として持っておくと良いでしょう)






「EvUSBasp」 中国通販(AliExpress)で購入。 約180円
 (10ピンのフラットケーブル付き)

・基板上に5Vと3.3Vのスライドスイッチが付いていて、
 それを切り替えるとUSBasp上の制御用AVRの電源
 電圧が変わります。
・よって、ISP端子に出てくる書き込み制御電圧も、
 5Vと3.3Vに切り替わります。
・ファームウェア : 古いバージョンでした。
・ISPコネクタ : 10ピンタイプ。(6ピンへの変換が必要)
・ISPのVCCピンへ行く経路にジャンパーピンがないので、
 強制的にVCCピンに5Vまたは3.3Vの電圧が出力されて
 しまいます。
・3.3Vのセンサー回路などにスライドスイッチを5Vにした
 ままつないでしまうと、センサー類が故障する危険性が
 あります。


・従って、10ピンケーブルと6ピンISPコネクターを
 変換する基板上で、VCCとVCC間のパターンを
 カッター等で切断してから使用します。

 (変換基板は別途購入)


中国通販(AliExpress)で購入。 約240円
 (10ピンのフラットケーブルと6ピンのISPアダプタ付き)

・ハンダや部品取り付けの仕上がりが悪く、ピンヘッダ
 も傾いて付いていました。
・5Vと3.3Vの切り替えジャンパーはありますが、ISPの
 電源ピンへの出力電圧が切り替わるだけで、書き込み
 信号の電圧は5Vのままです。 (設計ミスです)
・したがって、この機種はターゲット回路が5V専用です。
・通常は、[JP1], [JP2], [JP3]のジャンパーを、いっさい
 差し込まないで使用するのが原則です。

・ファームウェア : 古いバージョンでした。
・ISPコネクタ : 10ピンタイプ。(6ピンへの変換が必要)
Amazon(HiLetgo)で購入。 220円
 (10ピンのフラットケーブル付き)

・ハンダや部品取り付けは比較的きれい。
・5Vと3.3Vの切り替えジャンパーはありますが、ISPの
 電源ピンへの出力電圧が切り替わるだけで、書き込み
 信号の電圧は5Vのままです。 (設計ミスです)
・したがって、この機種はターゲット回路が5V専用です。
・通常は、[JP1], [JP2], [JP3]のジャンパーを、いっさい
 差し込まないで使用するのが原則です。

・ファームウェア : 古いバージョンでした。
・ISPコネクタ : 10ピンタイプ。(6ピンへの変換が必要)



● 「USBasp」 の使用準備 ●


 ◎下記ソフトウェアのインストールによる、いかなる障害・損害等も、責任を負いませんので
  了承の上ご利用下さい。

 
 ◎「Windows10」上での操作を示します。
 ◎BASCOM-AVR(試用版または製品版)がインストールされていることを前提としています。



1.「LIBUSB」をセットアップします。 (BASCOM-AVRが使用するUSBドライバー)
 
  「AVRISPmkII」等の使用で、すでに「LIBUSB」がインストールされている場合は、
  この項目の操作は不要です。
 
   インストールの前に、USB機器を使うすべてのアプリケーションを閉じてください。
   USB記憶装置から、インストーラを実行しないでください。

   libusb-win32をダウンロードして、[libusb-win32-devel-filter-1.2.6.0.exe]を
   実行して下さい。
 
   ※ 「USBasp」(USBケーブル)は、まだ接続しないで下さい。
 



2.USBケーブルを接続して、ドライバーをインストールします。
 
   ※ 「USBasp」を、USBケーブルで接続して下さい。

・ドライバーのインストールが自動的に始まり
 ます。
 (インストール中の画面は省略)
 (Windowsの状態により、始まらない場合も
  あります)
・この時点では、まだドライバーが正常に
 インストールされていません。


・画面左下のWindowsマークを「右クリック」
 します。
・開いたメニューから「デバイス マネージャー」
 を選択します。
・「ほかのデバイス」に「USBasp」が表示され
 て、ドライバーが正常にインストールできな
 かったことを示します。
・デジタル署名の無いドライバーをインストール
 するために、以下の操作を行います。

 
・「Zadig」を使用して署名無しドライバーを
 インストールします。
 
Zadig 2.6をダウンロードして、
 [zadig-2.6.exe]を実行して下さい。


 
(画像をクリックすると拡大表示します)
@のメニューから[libusb-win32 (v1.2.6.0)]
 を選択します。

Aのメニューから[Install Driver]を選択して
 クリックします。


・ドライバーのインストールが始まります。

・[Close]をクリックして終了します。

・「Zadig」画面右上の[×]をクリックして、
 「Zadig」のウィンドウを閉じます。
・「デバイス マネージャー」のウィンドウに
 切り替えて、「libusb-win32 devices」の下に
 「USBasp」が表示されていればインストール
 が完了です。


・「デバイス マネージャー」ウィンドウ右上の
 [×]をクリックして、ウィンドウを閉じます。



3.BASCOM-AVRで、プログラマーを選択します。

・「BASCOM-AVR」を起動します。

・メニューバーから、
 [ Options ]→[ Programmer ]
 と進みます。

 
(画像をクリックすると拡大表示します)
・「Options」ウィンドウが開きます。
 
・Programmerのプルダウンメニューから、
 [USBASP]を選択します。
 
・Clock frequencyのプルダウンメニューから、
 [187.5KHz」を選択します。
 ※AVRの動作クロックにより選択が可能。
   1.0MHz以上の場合 → [187.5KHz]
   1.5MHz以上の場合 → [AUTO]
   [AUTO]で書き込み時間が早くなります。

 
 ※ 新品チップの場合はクロックの初期値が
    1MHzの場合が多いので187.5KHzです。

 
・[ Ok ] をクリックします。

◎ これで、BASCOM-AVRから「USBasp」が
  使用できる状態になります。


 
(画像をクリックすると拡大表示します)
・参考のプログラムやオリジナルのプログラム
 ソースを開きます。

・ツールバーの 「Program chip」 アイコン
 をクリック、または、[F4] キーを押すと、
 プログラムの書き込み画面が表示されます。

・コンパイルしたプログラムは、自動的に
 書き込み画面に呼び出されます。
・任意のHEXファイルは、[File]→[New]で
 新規のソース画面を開き、書き込み画面で
 [Buffer]→[Load from file] でファイルの選択
 ウィンドウを開き、拡張子を[.hex]にして
 ファイルを開きます。
 
 
(画像をクリックすると拡大表示します)
・ボードのISP端子に「USBasp」が接続されて
 おり、ボードの電源が正常に通電されて
 動作している状態にします。

・[ Chip ]→[ Identify ] または をクリック
 して、ステータス欄にデバイスのIDが表示
 されればOKです。


◎ 「Chip ID」や「ボード上のAVRチップ名」が
  正常に表示されない場合は、絶対に
  書き込み操作を行わないで下さい。

 
 この作業は、書き込みを行う前に必ず
 実行する事を推奨します。




※ BASCOM-AVR ステータス欄のエラー表示について。

 

(画像をクリックすると拡大表示します)
×: Error: could not find USB device
\"USBasp\" with vid=0xXXXX pid=0xXXX


・「USBasp」が接続されていない。
・「USBasp」のドライバーが正常に動作して
 いない。

・「USBasp」のUSBケーブルを抜き差ししてみて
 下さい。
・「libusb-win32」と「USBasp」のドライバーを
 アンインストールしてから、再インストールして
 みて下さい。


 

(画像をクリックすると拡大表示します)
Chip Device ID : 000000
×: Error: program enable: no answer. 1


・書き込みを行うAVRマイコンの回路に異常が
 あります。

・[Chip ID:] が[000000]や[FFFFFF]になる場合。
・ISP端子の接続を確認して下さい。
・AVRマイコン回路の電源を確認して下さい。
 (特にAVRチップのVCCとGNDピン、およびISP端子の2ピンと6ピンに電源が来ているかを
  電圧計で確認して下さい)
・ISPケーブル(6ピンのフラットケーブル)に折り曲げのストレスを繰り返し加えると、ケーブル
 内部で断線することがありますので、導通を確認して交換して下さい。
 (コネクターを持たずにケーブルを引っ張ってISPを抜き差しすると断線しやすい)
・接続間違いの状態で不用意に書き込みボタンを押してしまった場合は、AVRのヒューズ
 ビットが書き換わってしまった恐れがありますので、AVRチップを新品に交換してみて下さい。


 

(画像をクリックすると拡大表示します)

Can not set clock frequency. Please
  check for usbasp firmware update


・「USBasp」のファームウェアを更新する
 必要があります。
・下記の「ファームウェアの更新」を行って
 下さい。








● 「USBasp」のファームウェアを更新する。

・BASCOM-AVRの書き込みウィンドウに下記のメッセージが出る場合は、動作している書込機
 または「USBasp」を2台使用して、ファームウェアを更新します。
Can not set clock frequency. Please check for usbasp firmware update

・以下は、「USBasp」を2台使用して更新する場合の説明です。
・2台は同じ物でも、メーカー違いでもOKです。 (基板上のAVRがATmega8Aであること)
「EvUSBasp」 中国通販(AliExpress)の基板

・基板上のATmega8Aの裏面にあるジャンパー用
 のランドをショートさせます。
 
・ハンダでブリッジさせても良いですが、ショート
 した2ピンのピンヘッダを差し込むだけでもOK
 です。
 (2ピンのピンヘッダの間隔を調整して、ランド
  から抜けにくいようにテンションをかけます)

中国通販(AliExpress)の基板

・JP1に、2ピンのピンヘッダを取り付けておき
 ます。
・ジャンパーピンを3個用意します。
Amazon(HiLetgo)の基板

・JP2に、2ピンのピンヘッダを取り付けておき
 ます。
・ジャンパーピンを3個用意します。
「EvUSBasp」の基板を更新する場合。

・書込機として使用する基板の5V/3.3V切り替え
 ジャンパーの5V側に、ジャンパーピンを差し
 込む。
・「EvUSBasp」を2台使用する場合は、両基板の
 スライドスイッチを5V側に切り替える。
 
・先記の通り、ファームウェアを更新する基板の
 裏面ジャンパーに、ショートした2ピンのピン
 ヘッダを差し込む。
 (必ず更新する側に差し込むこと)
(AliExpress)の基板を更新する場合。

・書込機として使用する基板の5V/3.3V切り替え
 ジャンパーの5V側に、ジャンパーピンを差し
 込む。
 
・ファームウェアを更新する基板の5V/3.3V切り
 替えジャンパーの5V側にジャンパーピンを
 差し込む。
・ファームウェアを更新する基板の追加した
 2ピンのピンヘッダにジャンパーピンを差し
 込む。 (必ず更新する側に差し込むこと)
 
※「JP1]と[JP2]の名称や位置は、基板によって
 異なるので注意して下さい。

Amazon(HiLetgo)の基板を更新する場合。

・書込機として使用する基板の5V/3.3V切り
 替えジャンパーの5V側にジャンパーピンを
 差し込む。
 
・ファームウェアを更新する基板の5V/3.3V
 切り替えジャンパーの5V側にジャンパーピン
 を差し込む。
・ファームウェアを更新する基板の追加した
 2ピンのピンヘッダにジャンパーピンを差し
 込む。 (必ず更新する側に差し込むこと)
 
※「JP1]と[JP2]の名称や位置は、基板によって
 異なるので注意して下さい。

・書込機として使用する基板をUSBケーブルで
 パソコンと接続します。
 (上記のlibusbやドライバーのインストールは
 完了しておいて下さい)
 
・下記ファームウェアの更新プログラムを、
 任意のフォルダーにダウンロードします。
 (個別とZIP圧縮ファイルを用意してあります)
USBasp.basUSBasp.BINは、同じフォルダー
 内に置くこと。
 
 BASCOM-AVR
 プログラム ファイル 
 USBasp.bas 
 USBasp.BIN 
 ZIP圧縮ファイル  USBasp.zip 

・BASCOM-AVRを起動して、ダウンロードした
 USBasp.basを開きます。

(ファームウェアの原本は下記サイトにあります)
 (https://www.fischl.de/usbasp/)
 (usbasp.2011-05-28.tar.gz)

・ツールバーの 「Program chip」 アイコン
 をクリック、または、[F4] キーを押すと、
 プログラムの書き込み画面が表示されます。

・[ Chip ]→[ Identify ] または をクリック
 して、デバイスが[ATmega8A]であることを
 確認して下さい。

・[ Chip ]→[ Autoprogram ] またはをクリックすると、書き込みが行われます。

・これで、ファームウェアを更新する基板側の
 更新が終わりました。
・書込機側と更新する側の基板を交換して、
 同じ操作を行います。
 (2ピンのピンヘッダのジャンパー設定も
  変更すること)





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