■ 「富くじ夢想猫」の製作 ■


 毎日、新聞の片隅に発表される「数字予想型」富くじの当選番号を見て、数字を考えてもなかなか当たらないだろうな、と思っていました。
 ちょうど部品箱に4桁の7セグメントLEDが余っていて、この数字に結びついたので、数字を予想する玩具を製作してみました。
 
 ・くじの種類は、3桁、4桁、5数字、6数字に対応。
 ・マイコンで作る単純な乱数では神秘性がないので、柏手を打つ時間とその音量により、
  基本数字を決定します。
  (自身で作り出した数字と言う部分を強調)
 ・招き猫の顔をイメージした表示で、動作におもしろみを加味。


回路の解説
 
1.電源

 
 ・乾電池(単4)を3本使用します。 (4.5V)
 ・消費電流は、動作時で最大80mA、停止時はATtiny861A-PUのマニュアルから約0.15μAです。
  (微少の電流計を持ち合わせていないので、想定値です)
 ・20秒間、動作に変化がないと回路はスリープ状態に入りますから、電源スイッチはありません。

2.AVRとクロック
 
 ・AVRマイコンは、20ピンのAVR「ATtiny861A-PU」を使用。 
 ・動作クロックは、内臓発振器8MHzで動作します。

3.LED表示回路
 
 ・マイコンからのソース電流(Hレベル)でLEDのセグメント(アノード)を駆動し、FET(2N7000)で
  コモン(カソード)を駆動します。
 ・よって、カソードコモンタイプのLEDを使用します。
 ・電池の消費を抑えるため、高輝度タイプのLEDを使用します。 (最大10mAで駆動)
 ・LEDの表示面を招き猫の絵柄と密着させるため、1.6mmの基板で高さを調整します。

4.スイッチ
 
 ・電源スイッチを省くため、起動スイッチとくじの種類を選択するスイッチを兼用します。
 ・プッシュ式の、汎用タクトスイッチを使いました。
 ・招き猫の絵柄の上から押し込む操作を作るため、スイッチの高さを調整し、絵柄の裏面に
  プラ板などをあてて補強します。 

5.スピーカーとマイク
 
 ・圧電スピーカーで、動作中に各種の効果音を鳴らします。
 ・また、圧電スピーカーに音が入ると、逆起電圧により電圧が発生しますので、この音を
  予想動作のスイッチとして使用します。
 ・実際には、招き猫にお願いする柏手をイメージしていますが、ケースを軽くたたいた音でも
  動作します。
 
 ・マイクとして動作させる前に、周囲のノイズ音レベルを測定し、ノイズレベルにしきい値を
  加算した音量でスイッチ動作します。
 ・音楽が大音量で鳴っているような環境では、動作しない場合があります。



回 路 図  GIF版 LotteryCatCir.gif (110KB)  PDF版 LotteryCatCir.pdf (194KB)
 
部品配置図  GIF版 LotteryCatPcb.gif (137KB)
 
   注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  LotteryCat101.TXT (35KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル
 (BASCOM-AVR(製品版)が必要です)
 LotteryCat101.bas (35KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。

       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)



 
ケース組み込み

ケース左側面

招き猫 絵柄

 

基板 部品面

 
基板 ハンダ面

 
ケース加工

スイッチ部

動 画


製作について
 
・基板は片面ユニバーサル基板を、部品配置図の寸法のように加工します。
・LEDの表示面を絵柄と密着させるため、ユニバーサル基板の残りで高さを調整します。
・オリジナルの絵柄に合わせて、部品の配置を調整して下さい。
・112-TSケースでは、基板とケースの間に15mmのスペーサーを入れると、高さが合います。
・電池ボックスは、両面テープでケース内部に貼り付けてあります。
・スピーカーの中心穴に合わせて、音の出る穴をあけて下さい。
・スイッチは、絵柄の上から押し込む操作を作るため、スイッチの高さを調整し、絵柄の裏面に
 プラ板などを貼って補強します。 
・絵柄は、紙に印刷してスプレー糊で貼り付けるか、薄手のフイルムラベルに印刷して、ケースに
 貼ります。
・LEDの窓部分は、糊が付かないようにマスクしたり、フイルムラベルは透明のはく離フイルムを
 残します。
 (LED表示面と、絵柄の紙またはフィルムを密着させて下さい)



AVRマイコン ATtiny861A-PUのヒューズ ビット設定
 
この製作では、ヒューズ ビットを工場出荷状態のまま使用しますので、変更の必要はありません。



操作方法
 
1.電池を入れる
 
 ・乾電池を入れると、AVRがスリープ(パワーダウン)状態に入り待機します。
 ・この状態で、消費電力はごくわずかです。
 
 
2.起動スイッチ
 
 ・スリープ状態からスイッチが押されるとAVRが起動し、動作音と共にLEDが点灯します。
 ・この時、記憶されているくじの種類を示す番号が、LEDの左桁に表示されます。
  (小数点が点灯しています)
 ・さらにスイッチを押すと、くじの種類を「3桁、4桁、5数字、6数字」に選択できます。
 
 
3.予想の開始
 
 ・拍手を2回検出すると、予想を始めます。
 ・1度目の拍手で右目が点灯し、2度目の拍手で左目も点灯した後、思考動作に移ります。
 ・最後に表示された数字が予想した番号です。
 
 ・くじが「3桁、4桁」の場合は、再度拍手をする事で、次の数字が予想できます。
 ・くじが「5数字、6数字」の場合は、拍手をするたびに、予想された2桁の数字が順に表示されます。
  (数字の番号と「−」ハイフンに続き、2桁の予想数字です)
 
 ・スイッチを押すと、くじの種類を変更する事ができます。
 ・20秒間、何も操作をしなければ、自動的にスリープ(パワーダウン)状態に入り待機します。
 
 
4.マイク感度の設定
 
 ・スイッチを押したまま、ISP端子の5ピンと6ピンを一瞬だけショートさせて、リセットをかけて下さい。
 ・「OF.」表示の右側に、感度のオフセットを表す数値が表示されます。
  (10〜90の、10ステップごと) (初期値は20)
 ・周囲の雑音から、どの程度の音量で作動するかの設定です。
 ・スイッチを押すと、オフセット値が変更できます。
  (10が高感度、90が低感度です)
 
 ・設定が終わりましたら、再度ISP端子の5ピンと6ピンを一瞬だけショートさせて、リセットをかけて
  下さい。
 ・この設定は、内蔵EEPROMに記憶されますので、電池が切れた後も残されています。
 

◎ このプログラムのHEXファイルを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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