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ビアス アウルクリーク橋の出来事/豹の眼
   - 光文社文庫(2011)
ビアス アウルクリーク橋の出来事


豹の眼 The Eyes of the Panther / ビアス Ambrose Bierce 訳:小川高義 のあらすじ

ベンチに男と女が座っていた。男はジェナー。細身で、表情は詩人、肌の色は海賊だった。
女はアイリーン。まだ若く、髪はブロンド、美人だった。目が印象的だ。

男が女に話をする。それに女は答える。
「私も愛しているわ。でも、結婚は出来ないの」
「何故なんだ?今日は、その理由を聞かせてくれ!」

「どうしても、聞きたいの?」
「ああ」
「本当に、どうしても?」
「当たり前だ。何度も聞いているだろ!」
「じゃあ...実は、私は普通の人間じゃないのよ...」
男は、女の猫の様な眼を見つめた。アイリーンは語り始めた。


丸太小屋に女がいた。女は子供を胸に抱いていた。
こんな森の中に、女と子供がいるとは!誰も思わなかったろう。

マーロウは探検家だった。未開の地は彼の好む所だった。今日もこの、孤独の森に分け入っていた。

彼の様なフロンティアは路を拓き、その跡を開拓者が、踏み入れる。
ふいに森が消えた。今回の仕事は終わったのだ。後は、次の者が引き継ぐ。マーロウは家へ帰った。


マーロウにも妻子がいた。若い女だった。外に出る夫を待ち、家と子供を守っていた。

ある日、マーロウは森に狩りに出かけ様とした。妻が言う。
「まだ、肉はあるわ。今日は行かないで、夕べ嫌な夢を見たの」
「気にするな。夢は夢だ。この子のために、肉は必要だ」
マーロウは子供を抱え、キスをすると、森へ出て行った。


夕暮れが来た。マーロウは帰って来なかった。女は料理を準備し、待っていた。
ロウソクは良い目印になるだろうと、窓際に置いた。窓際のロウソクは風になびき、部屋の様子を大きく揺らしておいた。

ロウソクも燃え尽きた。女もゆっくりと眠りについた。

女は夢を見た。揺り籠の中を見た。二人目の子供。一人目は死んでいる。
その父親も死んだのだ。あの森の家も今はない。今、自分が住んでいるのは、本当の家ではない。
この家は...女は、そっと揺り籠の蒲団をめくる。その下にあったのは、野獣の顔だった!

女は飛び起きた。小屋の闇で震えた。
現実の子供に触れた。女は、胸に子供を抱いた。


そのまま、立ち上がり、窓の方を見た。暗闇の中に、赤い光を見た。
あれは、眼だ。豹の眼だ。豹がこちらを覗いている!
動けば喰われる!女は、子供を抱きしめたまま、じっとしていた。

豹は去らない。女には、何ヶ月、何年にも思えた。ただ、子供を胸に抱きじっとしていた。


マーロウは仕留めた鹿を抱え、家に戻った。ドアには鍵がかかっていた。ノックをするが返事が無い。
窓に回ると、開け放しだった。そこからマーロウは入った。中は暗闇だった。
マーロウはロウソクに灯をつけた。

妻が壁際で子供を抱きしめていた。妻は奇妙な笑い声を上げた。
そして、腕を伸ばし、子供を差し上げた。子供は圧死していた。


「なんだか、残酷な話だね。マーロウと言うのは、君のお父さんなんだろ?いや、子供は死んだのか」
「私は、その後に産まれたの。母は私を産んで亡くなったわ。だから、私は異常なのよ」

ジェナーは考える。彼女は異常なのか?この話は、どこまで本当なのか?
実は今の話に似た話を、新聞で読んだ事がある。民間伝承と言うものか?

「なあ、アイリーン。さっきの返事なんだが」
「私は結婚できないわ」
アイリーンは立ち上がり去った。暗闇の中に消え、そこには、赤い眼が見えた。
豹の眼だ!
「アイリーン!気をつけろ!豹が出たぞ!」


ジェナーは弁護士である。家には、彼一人しかいない。若い頃、マーロウ老人の娘。
あの美人でも奇人でもある娘に言い寄って、断られたそうだ。

彼の寝室は森へ向いている。窓はいつも開け放たれている。
ある日、暗闇の中に、眼が光った。豹だ!

ジェナーは銃を持った。眼は近づいて来る。彼は銃を撃った。
そして、着替えると、豹を追った。

草の間に、銃を撃った相手はいた。豹ではなかった。

そこには、簡素な墓石があり、老人が倒れていたのだった。

老人と幸薄い娘に、安らぎを。

..............


このは話、元は、全4章、18Pです。え?180Pの間違い、かって?
いえ、18Pです、一章、4.5P。それで、名作の誉れ高い...本当か???


記:2012.11.21


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三分 小説 備忘録

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