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フォークナー短編集
   - 新潮文庫(1970)
フォークナー短編集


エミリーにバラを A Rose For emily/フォークナー William Faulkner 訳:龍口直太郎のあらすじ

ミス エミリーが亡くなった時、町の者はみな葬式に参加した。
彼女は町の有名人であったし、みな彼女の生活を覗いてみたかったのだ。

ミス エミリーには奇妙な話があった。

彼の父が亡くなった時、1894年だが、当時の市長サートリス大佐は、裕福だった彼女の家から、
税金は取らないと約束したのだった。

その奇妙な話を裏付けるために、サートリスはこんな話を吹聴した。
彼女の父親は、市に莫大な金額を貸与してくれた。その利子の替りに、税金は免除する。

しかし、父親の貸与の証拠などどこにも無かったのである。こんな馬鹿な話を信じるのは、
サートリスの取り巻きと、女という種族、だけだった。

サートリスが引退すると、税務署は数年の後、取立てに行った。しかしミス エミリーは気丈に、
彼らを追い返したのである。全ては、サートリスに聞いてくれ!と、確かにその通りだった。

しかし、そのサートリスが墓の下で眠っているのであるので、この件は、そのままとなった。


ミス エミリーには恋人がいた。みな、彼女と結婚するとばかり思っていたが、ある日、男は彼女を置いて
消えてしまった。ミス エミリーはいっそう、家に閉じこもる様になった。

ミス エミリーの家は、古くからの黒人の元奴隷達によって、まかなわれていた。みな年寄りだった。
そのため、家の手入れは完全ではなかった。彼女の家から酷い臭いがする、と周りから苦情が来ても、
そのままであった。苦情は市に寄せられたが、ミス エミリーを説得する事はできなかった。

しかし、苦情が次々と寄せられたため、市は強行手段に出た。地下室に忍び込んで、石灰を撒き散らし、
消毒をしたのである。臭いは消えた。


エミリー家は裕福であった。しかし、それは過去の事であった。彼女の父親は、実際には、その家以外に
財産などなかった。家をまかなう黒人達も、他に行き先がないだけだった。

彼女はうとまれていた。実際、トラブルは以前にもあったのだ。それは、彼女が、亡くなった父親の死体を
そのまま、ベッドに寝かせたままで、墓に埋めようとはしなかった時の事だった。

一部の人間は、思った。彼女は、精神の病気だと...

かわいそうなエミリー。裕福な家に生まれながら、父親はその財産を潰し、恋人には逃げられ、精神を病んでいる。
しかし、お高くとまっていた過去を思い、バチが当ったのだと、思う者もいた。


ある日エミリーが、薬局にやって来た。彼女は毒薬を探していた。
砒素を欲しがった。しかし、薬剤師は、砒素を購入するには手続きがいると説得したが、彼女は納得せず、
ねばった挙句、砒素の瓶を手に入れた。


その話を聞いた人は、彼女は自殺するのだろう、と言った。その者は、かつてミス エミリーが恋人といるのを
見て、彼らは結婚するだろうと言った人たちだった。


その後、あのエミリーの恋人が彼女の家を訪れるのが目撃された。しかし、それだけだった。
また恋人は去ってしまったのだ。


それからは、ミス エミリーを見る事もなくなった。彼女は、それから74歳まで、孤独に暮らしたのである。

町の人々は変わる。しかしミス エミリーは変わらない。
ただ毎年、税金の督促状が配達され、送り返されるだけだった。


そして、ミス エミリーは亡くなったのである。
それは、町の人にとってエミリーの家に入れる、良いチャンスだった。
まかないの黒人は、みな老人で要領を得なかった。

彼女の葬式は二日に渡って行なわれた。彼女の父親の写真が上から、棺を見守っていた。

人々は、この家の二階に開かずの間があるのを知った。
斧が乱暴に使われた。

人々が中に入ると、そこには、干からびネクタイをした者が、ベッドに横たわっていた。
死体は、抱擁の姿勢をとっていた。死体の隣は、誰かが寝ていた形で跡があった。

そこに落ちていた長い髪は、ミス エミリーと同じ、つやつやした髪だった。

..............


とりあえず、この短編集の中で、一番面白かったのが、これ。
ノーベル賞の方ですが、私とノーベル賞は、相性が悪い様で...

記:2012.11.08


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三分 小説 備忘録

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