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アトランティス創造 現代ソビエトSF短編集3 - 早川SFシリーズ
アトランティス創造

深夜の銀行強盗 Ограбдение лроизойдет в нодночь/イリヤ ワルシャフスキー 訳:彦坂諦 の あらすじ

警察署長リーチは椅子に腰掛けた。
ランプがチカチカして、女の子のオペレータがいる計算機センターは、バーの様だった。

(こう言う場所は、性に合わん!)

ポケットからパイプを取り出し、それから、慌てて『禁煙』の札を探し、無いのにホットした。


「で、君は、今日、中央銀行で強盗が起きると言う訳だ」
「はい、過去5年間の全ての犯罪をコンピュータで分析した結果、本日、中央銀行が狙われる
   と言う数学的な確率が高くなっているのです。これはガウスの函数を元に...」
「まあ、良い。私は数学者じゃない。で、相手は?」
「はい、86%の確率でスコレッティ団となっています」
「ほお、こりゃ便利だ。これからは警察の仕事も楽になる。
   どこで、どんな犯罪が起きて、おまけに、犯人が誰かまで判るなんて!」
「しかし、一つだけ問題があります。奴ら金を持っています。スコレッティ団も同じ計算機を
   持っているんですよ。奴らも、どこを襲うべきか。計算機に聞いているはずですよ」


ジャン元教授は、ギャング団に入った事に後悔してはいなかった。プログラムはプログラムであり、
それ自体に善も悪もないからだ。要は報酬の額で決まるのだ。今の仕事はチェスゲームより、だいぶ儲かるだけだ。

「どうだい、てめえの占い師は、何と言ってる?」
ジャン元教授は、『占い師』と言う言葉にむっとしたが、銀行強盗に向いた周期と場所を伝えた。

「...中央銀行だと?...そりゃ感心しねえな。あそこにゃ、以前、酷い目に合わされてる。
   それに、奴らも、同じコンピュータを買ったって言うじゃねえか。この作戦は奴らに筒抜けだ!」
「はい、彼らも、この作戦を知っているでしょう」
「じゃあ、何で、わざわざ捕まりに行くんだ?」

「あなたは警察の心理をご存知ありませんね。担当のリーチは高齢だ。今回、彼は張り込みすらしませんよ。
   何故なら、もしも、張り込みをして、強盗を捕まえたら、功績は全てコンピュータ。
   もし不手際で、逃げられたら、警察は、判っている犯罪すら捕まえられない、で非難は全てリーチへ。
   そんな馬鹿な事をする奴がいると思いますか?」


「なるほど、君の話は良く判った。街の封鎖?装甲車?爆薬?全て、奇天烈だ!」
「ここで、考えなくてはいけないのが、我々の内務省が、警察に新型のコンピュータが入ったと宣伝した事です。
   当然、奴らも、我々が計算機を持っている事を考慮に入れて来る。つまり計画No.1に従って行動しては
   いけない訳です。そこで、我々は、計画No.2の解析にかかっております...」


「なんで、てめえは、計画通りにやらんのだ!」
「それは、警察には、この計画No.1は筒抜けだからです。No.2なら、警察を出し抜けます」
「しかし、ヘリコプターを使って、爆弾を投下させるだと?どこに、そんな爆弾があるんだ」
「ええ、私も、あなたが、爆弾を何処から調達するのか、興味があります」
「ともかく手配して見るが、ダメだったら、どうする?」
「その時のために、No.3があります」


警察自慢の美人オペレータも、この計算機の発する高温の部屋の中では、化粧も流れ落ちて、散々な有様だった。

「これが計画No.3です。奴らは地下道でやって来ます」
「しかし君、そんなに直ぐに、地下道なんて掘れるものか?」
「その場合に備え、計画No.4の解析に、入っております!」


「...そんな事が出来るか?てめえの始めの計画の方が、よっぽどマシだ!」
「しかし、それは警察に筒抜けで、最も危険な計画です。では、次の計画は...」


「何だって君?計画No.7はNo.1と同じ?」
「ええ、それから計画No.8は、実行は、明日に延期です」

「署長!大変です!10分前に、強盗が中央銀行に入りました!」
「スコレッティ団の仕業か?」
「いや、これはヴォニューチュカ団の仕業です。奴らは、よけいなお荷物は抱えていませんから...」

..............

はああ、ソ連時代ですの作品ですね。アメリカっぽい。つまりペレストロイカ(死語)ですか?

記:2012.12.08

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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