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宇宙の妖怪たち - 早川SFシリーズ
宇宙の妖怪たち


クリスマス プレゼント Child's Play ウィリアム テン Wiliam Tenn (1947)訳:福島正美 の あらすじ

運送会社の男が、サムの部屋に、デカイ荷物を運んだ。

何だこりゃ。俺はこんなもん、頼んでないぞ。

配達員は、チップが貰えるとでも、思ったのだろう。
こっちが何も出さないと、ドアをバタン!と閉めて出て行った。

サムがその荷物を移動すると、とんでもなく重い!
こりゃあ、チップを要求するはずだ。

開けてみると、中には不思議なカードが

「2161年 メリークリスマス!」

こりゃ一体、誰の悪戯だ!年号は200年先の、クリスマスプレゼント。法律事務所の
同僚が、俺が弁護士で独立できるのは、200年後だって言う冗談で出したのか?

しかし、手が込んでいる。
良く見ると、このカードは金箔でかかれているし、この緑の筋なんて、見た事もない素材だ。

とりあえず、開けてみようとするが、ドアがない。フックもない。
ただの六角形の銀の柱だ。

どこかに、継ぎ目があるはずだと、探ってみるが、全く判らない。ツルツル。

困って、蹴飛ばして叫んだ。
「おい!開け!」

すると、銀の壁がするすると、まくり上げられ、中の戸棚が見えた。

「えええ??? し、閉まれ!」
すると、銀注は元に戻った。

何だか判らんが、こりゃ凄い物だ。
もう一度開けて、中を確かめた。

説明書には、
『模型人間 第三セット。これは11歳から13歳のお子様向け、科学的情操教育玩具です』

さらに、次のステップの宣伝まで挟まっていた。
第四セットでは、火星人を作れるらしい。

確かに、中には試験管や、化学薬品が一杯。

とりあえず、説明書を読んで見ると、
第一章の基本知識から始まって、第四章で小人。第八章で、人間が作れるらしい。

何の冗談だ?これは?


翌朝、法律事務所で、悪戯の犯人を物色していると、ティナがやって来た。
彼女はこの事務所のマドンナだ。早速、同僚のリュウが声をかけていた。

リュウ。こいつは悪戯をしそうだ。

その日は、リュウと俺と、ティナで夕食に出た。しかし、俺は途中で帰った。
あの荷物が気になったから。確かに今までは、俺とリュウはティナを取り合っていたのだが。
今は、あの荷物が方が気になる。

俺は、模型人間セットを、試してみる事にした。
さて、説明通りに第一章をこなしていると、試験管の中を泳ぐ、小さな生物が出来た。

なるほど、大分コツは掴んだ。その生物はやがて死んでしまった。
明日は事務所を休んで、小人に挑戦して見るか。


翌日。
なるほど、小人を作るのは、大変だ。手の長さが左右違ったり、頭がうまく
出来なかったり、なかなか満足なものが出来ない。

次の日、事務所に行くと、ティナとリュウが親密になっていた。
俺は、がっかりした。そして、ティナの双生児を作るのはどうだろう?と思いついた。

家に帰り、セットの前で悩んだ。
作ったみたら、小人のように、左右の手の長さが違ったらどうしよう?
それに、
「慎重なる成熟を経ない双生児は、精神が不安定になり易い」と説明書にも書いてあった。

俺が悩んでいると、ドアをノックする音がした。
俺の住んでいる、下宿のおかみさんだった。

何でも、妹夫婦と一緒にパーティー行く予定で、
彼女の赤ん坊を、ベビーシッターに預ける予定だったのに、
突然、ベビーシッターの都合が悪くなってしまったので、

申し訳ないが、夜まで、赤ん坊を預かってくれないか?と言う相談だった。

家賃も溜まっているし、良いアイデアも思いついたので、
赤ん坊を、預かる事にした。

良いアイデアとは、ティナの双生児を作る前に、この赤ん坊の双生児を
作ってみようと言う事だ。

俺が承諾すると、おかみさんは喜んだ。
「よかったわ。そうそう、言い忘れてたけど、昼間、黒いオーヴァーを来た老人が
   サム ウィーバーって言う人がいないかって聞きにきたわ。私は、うちにいる人は
   サム ウェーバーよって言ったの」

もしかすると、その老人は誤って配達された、模型人間セットを探しているのか?


俺は赤ん坊の体を測定器で検査した。生理学情報の記録シートが吐き出された。

記録シートを元に赤ん坊を作る。みるまに赤ん坊らしくなり、活力付与機を通すと
泣き始めた。それは、本物の赤ん坊だった。髪の色だけ少し違ってはいたが。

そして、俺は、作りたての赤ん坊を抱いて、孤児院に急ぐと、
「この子をお願いします」と置手紙を付けて、赤ん坊を置いて来た。

しかし、後で考えると、あの赤ん坊にヘソを付けるのを忘れていた。
孤児院の職員は一体、どう思うだろう?

こんな失敗をするようではダメだ。ティナの複製の前にもう一度練習をしないと、
そうだ!明日は、俺自身を複製してみよう。

俺を複製したなら、それを殺すことに躊躇などない。それが一番良い。


そして、俺は、俺自身の複製を始めた。
もう一度、説明書を入念に読んで、材料を調合した。

出来上がった俺に、活力付与する。すると、

「こりゃあ、上出来だ」
複製された俺が、声を上げた。

「おい本物!俺はお前なんかと違い、情熱の塊だ!ティナは俺の物だ」
「おい複製!お前は、精神が不安定なんだ。完全な人間じゃないんだぞ!気をつけろ!」

「不完全?馬鹿野郎、できそこないは、お前の方さ。鳶が鷹を産んだって事だ」

そこに、黒いオーヴァーの老人がやって来た。

「やはり、模型人間セットは、ここに配達されたようじゃな。では、回収し、
   不要物は消去せにゃならん」
「貴方は、誰ですか?」

「私は、楕円宇宙の、人口調節官じゃ。次元の歪みを修正に来た。
   で、どっちが複製じゃ?複製は消去するのじゃ」

複製は言った。
「複製は、精神が不安定なんですよね。よく見て判断して下さい。きっと判ります」
「なるほど、う〜ん、なるほど、判った!こっちが複製じゃなあ」

俺は、老人の手に捕まった。
「ち、ちがう。俺は本物だ。あっちが複製だ!うわ〜!」

たちまち、俺は分解された。
残った、『俺』は、ネクタイをして、口笛を吹いていた。


..............

特に、破綻もないのですが、自分はともかく、赤ん坊作んないだろ、普通!

しかし...俺も、こんな事態になったら、分解されそうだなあ
ま、そんな出来の良い複製が、できる自信もありませんが...

記:2011.08.08

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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