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海外版 怪奇ファンタジー傑作選 - 集英社文庫 (1979)
怪奇ファンタジー傑作選


ランプ The lampアガサ クリスティ Agatha Christie 訳:阿部主計 の あらすじ

その建物は古い家の見本だった。
長らく住まい手のなく、「幽霊屋敷」と呼ばれても不思議はなかった。不動産屋は、上機嫌だった。
ようやく、問題物件が処理できる!

ランカスター夫人は、その家を褒めまくる不動産屋の言葉を遮った。

「何年くらい、空き家になっていたんですの?」
「ええと...まあ、しばらくの間ですね」
「ふ〜ん。なるほどね」

部屋の中は埃がうず高く積もり、冷え冷えとした冷気が流れた。
「で、どんな、『事情』があったの?」
「じ、事情と、おっしゃいますと?」

「人が死んだとか、幽霊が出るとか、あるんでしょ?だって、お家賃が安すぎますわ」
「私は何も知りませんが...ただ、子供の話がありまして...30年程前ですか、ウィリアムズと言う男がおりまして、
   他人との接触を避けておりました、彼には一人の息子がいて、この子が、全く外に出ない子でした。ある日、
   彼がロンドンに出た時に、彼は捕まってしまいました。犯罪を犯していたんですな。
   重罪と見えて、彼はその場でピストル自殺してしまった。
   しかし、それを知らない息子は、ずっと家で待っていたんですな。親の言いつけを守って、外へは出なかった。
   時々、泣き声が聞こえたそうです。
   だが誰も事情を知らない。そして、泣き声の聞こえなくなった頃...」
「その子の幽霊が出るのね」
「いえ、噂話ですよ、何の根拠もありません!」
「結構です。気に入りました。お借りします」

ウィバーン老人は、娘のランカスター夫人に声をかけた。
「すっかり綺麗になったね。これなら、誰も幽霊屋敷とは思わんだろう」
「お父様、馬鹿な事は言わないで、特にジェフの前では」

その時、ウィバーンは2階から降りてくる足音を聞いた。
「おや、ジェフが降りてくる様だ」
ジェフが元気良く降りてくる。その時、ウィバーン老人の耳には、ジェフを追いかける。
もう一つの足音も聞こえた様な気がしたのだった
「ねえ!凄いよ!屋根裏部屋だ!絶対、探検しなくちゃ!」」


ウィバーン老人はその晩、天井の方から聞こえてくる子供の泣き声の夢を見たが、娘には話さなかった。
(あれは、夢じゃないし、風の音でもない。しかし...)

料理女が、「昨晩は、ぼっちゃんが泣いている声が聞こえましたね」と言った。
どうも聞こえていないのは、娘、ランカスター夫人だけの様だ。


しかし、ランカスター夫人もようやく異変に気づいた。

「ねえ、あの子と遊んじゃいけないの?」
「あの子って誰?」
「僕が部屋で積み木をしていたら、寂しそうに男の子が立っていたよ。僕が、おいで、って手を振ったら逃げて行った。
   まるで、他人と遊んじゃいけない!って言われているみたいに」
「そんな子はいませんよ。だって見えないじゃないの」

一ヵ月後、ジェフは重い病にかかった。生まれつき健康ではなかったジェフが肺炎にかかったのだ。

死が人をさらって行く。人はそれを、どうする事もできない。

看病をするランカスター夫人。ジェフがうわ言をつぶやく。
「..あの子が、ここから出たがっている。助けなきゃ...」

ランカスター夫人の耳に、かすかな笑い声が聞こえた、子供だ。二人いる。楽しそうに。足音も聞こえる。一人じゃない!

「どこに行くの?どこに?戻っておいで!」
足音は、階段を降り、外へと消えて行った。


..............

これ、現代的な感覚だと、ジェフは最後に、生き返るんですが、そうはならいんですね。確かに、この方が自然です。当然と言うものですね。
そうか、俺も随分と、甘っちょろいストーリーに慣らされちまったもんだ!

記:2012.11.01

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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