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海外版 怪奇ファンタジー傑作選 - 集英社文庫 (1979)
怪奇ファンタジー傑作選


幽霊 A Ghost Story マーク トゥエイン Mark Twain 訳 武田武彦 の あらすじ


ニューヨークのブロードウェイは華やかなミュージカルの町であるが、少し奥に入ると、寂しいビルもある。

その部屋も、何年も借り手がいなかった。そこに私が引っ越すまでは。

最初の晩、階段を登ると、ひやっとした空気に、震えを覚え、部屋に入いると、楽しい思い出にひたろうとした。
やがて、楽しい思い出も尽き、悲しい気分になって行くと、暖炉の火も消えかけ、私は寝る事にした。

しばらくすると、寒さに目が覚めた。毛布を蹴飛ばしていたのだ。
また戻すと、今度は、下にずるずると引っ張られているのが判った。

私がじっと、観察していると、ずしん、と巨大なものの足音がした。
廊下へ出たが、何もない。明かりを点けて見ると、床の埃の上に、自分の物ではない、巨大な足跡があった。

ベッドに戻り、振るえていると、ドスンと、今度は死体を投げ下ろした音がした。
廊下から足音が聞こえる。何かがやって来る!

顔の上で、ポッと三重の燐光が灯った。
なま暖かい風が吹き、白い手と胴体が空中に見えた。ささやき声も聞こえた。
そして、ぬらぬらしたものが、顔に触れ、私は気を失った。


気がつくと、また、何かが歩く気配がする。
私は灯をつけたまま、じっとしていた。そして、また、あの足音が近づいて来て、部屋の前で止まると。

ドアは開いていないのに、雲の様なものが現われ、やがて、下から足が出た。
それは、カージフ ジャイアント(発掘された3メートルのインディアン巨人像)の幽霊だった。

私は言った。
「カージフさん!死神かと思ったら、あんたで安心しました」
カージフは椅子に座ったが、椅子はそのまま壊れてしまった。
「すまんな、百年も、座っていないんだ」
「あなたは、ニューヨークの博物館に飾られている、カージフですね?」
「ああ、暖かい大地に体を埋葬して貰わねば、成仏できん。それで、こうして出て来るんだが、なかなかうまくいかん」
「しかし、そうおっしゃられても...前の博物館にある化石人間は、作り物で、本物は、故郷のお墓に埋まっていますよ」
「ああ、そうか...墓の上で、『ニューヨークの博物館に、死体がある』と言うのを聞いていたので、
   すっかり、体は、博物館にあると勘違いしていた」

そして、カージフは消えた。私の毛布を持ったまま。

..............

幽霊滑稽譚ですか...本当は前半の恐怖描写はもっと長いので、どんでん返しになっているのですが、短くすると...

記:2012.10.28

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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