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機械仕掛けの神 - ソノラマ文庫(1984)
機械仕掛けの神


禿頭の蜃気楼 The Baldhead Mirage ロバート ブロック Robert Block 訳:仁賀克雄 1984の あらすじ

チャックは小惑星に急降下した。
下品な言葉をわめきながら。

バーウェルは(またか)と思った。せっかく"アースリー"(地球風な) 小惑星を見付けたって言うのに!
しかし、それも仕方ない。チャックは典型的な冒険家。組織やルールに縛られない一匹狼。
俺の様な研究家とは別の人種だ。そして、それも宇宙開拓には必要な人材なのだから。


バーウェルは、この仕事が終わったら引退するつもりだった。冥王星で別荘を買い、
古いフォークソングの研究をするのだ。最近の"未来ジャズ"なんてクソくらえだ!


しかし、空から周回して見ると、そこは砂漠の星だった。地面は岩ばかり...

「おい!あれを見ろ。岩だ!」
「それが珍しいか?」
「ああ、珍しいぞ。彫像だ。頭だよ。あれは!」

その遠くを見て、バーウェルは驚いた。確かに岩の彫像だ!おまけに眼窩には青い岩が!きっとエメラルドに違いない!

...しかし、この地層にそんな鉱脈があるはずもない。

「どうも、おかしい。蜃気楼じゃないのか?」
「禿頭の蜃気楼なんて、聞いた事もないぞ」

「近寄ってみよう」
「やめとけ。危険だ」
「何が危険なんだ?」
「あの近くには、何か生き物がいる。インディアンと戦いになるぞ!」
「大丈夫だよ。話しあえば」
「とにかく、出会ったらすぐ殺すんだ。こんな格言がある『世の中に良いインディアンはいるか?』
   『いる!死んだインディアンである』」
「ともかく、着陸だ!」


着陸して、宇宙服を着て、外に出た。
そこに彫像は無かった。

「どう言う事だ。先ほどまで、目印になっていたのに...消えてしまった」
「やっぱり蜃気楼だったのさ」

「まさか、こんな事になるとは、とんだ燃料の無駄使いだ。もう一度、空から偵察だ」


彼らは再び、空を飛んだ。辺りは、やはり砂ばかり。水のない惑星だった。

しかし、眼下に見えたのは。
「あそこだ!禿頭だ!着陸点を間違えたんだ!あの山の隣だ」

彼らはもう一度着陸した。そして、山を目指した。今度こそ蜃気楼ではない!
しかし、彼らが歩く山でさえが、ある意味で蜃気楼だった。
そこに山はある。しかし、そこを歩くと、体はめり込み、山はやがて消えてしまう。

ここは、塵の積もった世界。山は虚像であったのだ。ここでは砂や塵が海の様に漂っている。
たぶん、あの彫像のような物も...

結局、彫像を見つけられず、二人は宇宙船へ戻った。しかし、そこにあったのは。

宇宙船の残骸だった。理由は判らなかった。ただ、そこに、破壊された宇宙船があった。空気は...
ただ手持ちの一日分だけとなった。

語る言葉も浮かばず、二人は座り込んだ。
なぜ、こうなったのか?何が、宇宙船を破壊したのか?地球とは全く異質の、この世界に何が起こったのか?

その時バーウェルは気がついた。向こうに、あの禿頭の彫像がある事を。
「目を離すなよ!」

チャックは彫像めがけて走ろうとした。
「危ない!戻れ!あいつは生きているぞ!」
「うるさい!俺は、奴の目のエメラルドを取るんだ!放せ!」
「やめろ!やめるんだ!ここの砂は、体重の重い奴らにとっては、まるで海なんだ。俺達は海の上を歩いているんだ」
「ごまかそうとしてもダメだ!」

チャックの脅しが火を噴いた。バーウェルは転げた。脅しのつもりが当ったのだ。気が付くと、彫像は、彼らの傍にいた。
バーウェルの体は、みるみる砂の中に消えた。
チャックは気が付いた。バーウェルの話は本当だ。そして、その時、彼の体も砂の中へと引きずり込まれて行くのだった。


次は、何時だろう。百万年の先か。彼らは静寂の中で待ち続けるのだった。

..............


こまりましたね、特にコメントはありません。(なら、紹介するな!)

記:2012.04.26

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三分 小説 備忘録

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