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空想科学小説ベスト10 - 荒地出版社(1961)
空想科学小説ベスト10


考える葦 The Plants モーリイ ラインスターMurrey Leinster 訳:高橋泰邦 の あらすじ

惑星アイオロに群生する植物。

丈は4フィート。形は葦。
先端に白い花。そして、首飾り。

どれも一様で、それが、惑星全体に繁茂している。

これが、惑星の唯一の生物だった。他に獣も、鳥も、昆虫も、また別の植物もいない。


ある日、植物達は、空を見上げた。
空から、巨大な物が落ちてきた。ほぼ平行に滑走すると、
大きな溝を作り、数万の植物をひき殺して、不時着した。

煙を上げた。その機体から、男達が出てきた。
4人。動き回る、4人を、植物は、見つめていた。


幸い、ここは人間が呼吸しても問題ない大気だった。しかし。
「ここの植物は、燃えそうにない。それに食えない」
「ちくしょう!スレイドの野郎!」

彼らの宇宙船コペルニクス号は、イリジウム1200万ステラを積んで、
帰還中だった。そこで爆発事故が起きた。

直前に逃げ出したのが、スレイド。
奴は、爆弾を仕掛けて行ったのだ。

「俺達以外は、全員死んだ。スレイドの奴は殺人狂だ!」
「別の可能性もある。イリジウム目当てで事故を起こし、
   後で、不時着した所を狙っている、のかも知れない」

緊急無電は打たれたのだあろうか?この惑星で生きていけるのだろうか?

語り合う彼らの姿に、植物達は、花を向けて見守っていた。

翌朝、キャクストンが言った。
「スレイドの奴、この星にいるぞ。夢で花が教えてくれた。確かに、
   奴の逃げた小型艇では、恒星間移動は無理だ。奴がこの惑星にいると言うのは、理屈が合う」

「そうか。奴は、探知スクリーンを使って、コペルニクスの号の救助電波を調べて...しまった!」
キャクストンは宇宙船に飛び乗り、救助電波を止めた。
しかし、花の言う通りなら、もう手遅れだろう。

「武器さえあれば!スレイドは、きっと準備しているに違いない!」
「しかし、何ともする事が出来ない。せめてスレイドの奴が、手間取る様に、
   イリジウムを隠してしまおう。この宇宙船の下が良い」

その時、植物達は、いっせいに、ある方向を向いた。
その先には、着陸する宇宙船が見えた。

スレイドだ!
早く、イリジウムを隠せ!


キャクストンは、乱雑な宇宙船の中から、有用な物を漁っていた。
それらの中に、誰のものか、ピクチャスコープがあった。

ピクチャスコープを点けると、おそらく、死んでしまった乗組員の
家族の写真が何枚も含まれていた。

外で、それらを順に見ていると、植物達は、首を伸ばし、
ピクチャスコープのモニタを覗き込んで来た。押し合い、へし合い。

「おい、この草には、意識も、好奇心もあるぞ!」
「それが、何かの足しになるかい?」

「スレイドは既に43人を殺し、俺達4人も風前の灯火だ。奴らは時期に、
   ここを見つける。今は緊急信号が止まっているが、時間の問題だ」
「意識があるなら、この草達に、いい知恵を聞けないか?
   こいつらは、この星の支配者なんだろ?」

「この草達は、どうやって、他の生物を駆逐したんだろう?」
「じゃあ、頼んでみろ。うまい肥料を沢山やるから、スレイドをやっつけろ!って」

夜。宇宙船の横で、3人は焚き火をしている。
残る1人、キャクストンは、葦の中に横たわり、思念をめぐらせている。

音が近づいて来た。
それは、小型の宇宙曳航船だった。

ついに、彼らの墜落船を見つけた様だ。


曳航船は、草達の上に着陸した。キャクストンには、彼らの悲鳴が聞こえた。

曳航船から降りてきたのは、宇宙服姿のスレイド達、皆、手に武器を持っている。

「やあ、スレイド、俺達を救出しに来てくれたのかい」
「運が良い奴らだ。俺はイリジウムにしか興味がねえ。
   さ、イリジウムの場所を教えろ?それとも死にたいか?」

「わかった、この宇宙船の下だ」
「じゃあ、4人で掘り出せ!」

「しかし、君は何で、宇宙服を着てるんだい?」
「草の奴らが、俺達を眠らせるガスを出しやがったんで、防御してるのさ。
   でも、この辺りは大丈夫のようだ。邪魔な宇宙服は脱ごう」

イリジウムは取り出された。
「じゃあ、ご苦労だったな。じゃあ、お前達は、もう用済みって訳だ。ありがとうよ」
スレイドと、その仲間は、キャクストン達に向けて、放射銃を向けた。

そして、一斉に引き金が引かれた。

「!」
何も起きなかった。スレイド達は、硬直したまま動かなかった。

「よし、銃を取り上げろ。そして、イリジウムを積み込んで、奴らの宇宙船で出発だ!」


キャクストン達は、離陸した。
「スレイド達は、着陸した後、殺菌のつもりで、多くの草を焼き払った。それが、
   草達に危険だと判断されたんだ。我々も不時着した。しかし草達は、僕らの心を読み、
   不可抗力だと理解してくれたんだ。これらは全て、夢で草が教えてくれた」

「草達は、あの星の支配者だったんだ。彼らは、他の者の精神に訴えることが出来たんだ。
   僕が彼らの事を夢に見たのも、彼らの力だ」

「そうか、その力で彼らは君に夢で語りかけていたのか。自由に夢を見させる...」

「スレイド達は、次に来る調査隊に発見されるだろう。硬直した死体として」
「植物達は、たぶんいたであろう、あの星の動物達も、その夢の力で支配したんだ」
「そして...動物は絶滅した...のか」


「なあ、キャクストン。こんな事は考えられないかい。食料もない惑星で、死にそうになっている
   遭難者が夢を見ている。幸せな夢だ。救出されて、故郷へ向かっている、宇宙船に乗っているんだ。
   仲間達と一緒に...そんな夢を見ているのさ。いや、植物によって、見させられている...なんて」

キャクストンは答えなかった。


..............

あの、すいません。実はこれが、オチではありません。
この後に、ひとくさり半頁ほど、(簡単に言うと『蛇足』が)あるのですが、カットしました。

ここで止めた方が、良いと思うんですが...

しかし、不可抗力??? そんなセリフは、植物に通用するんですかあ??

記:2011.09.07

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三分 小説 備忘録

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