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空想科学小説ベスト10 - 荒地出版社(1961)
空想科学小説ベスト10


太陽系最後の日 Rescue Party / アーサーCクラーク Arthur C Clark 訳:宇野利泰 の あらすじ

アルヴェロンは、悩んでいた。
彼とその種族は、はるか悠久の過去から、全宇宙の貴族であった。

無限の知能を与えられた彼らは、同時に無限の責任も持ったのである。
今、彼の宇宙船S9000が向かっているのは、滅亡しつつある太陽系である。

彼は、まだ、この緊急事態の内容を知らぬ搭乗員達に、説明を始めた。

「諸君。我々は銀河系巡視活動中であるが、緊急事態が発生し、太陽系の
   第3惑星へと向かっている。数日前にこの惑星から、200光年離れた、
   Z27恒星の惑星クラートで、彼らからの電波が受信された。
   つまり彼らは、今から200年ほど前に電波を扱えるようになった若い種族
   である。しかし同時に判った事は、現時点で、彼らの恒星である『太陽』が
   前新星段階にあり、爆発は今日にも始まると言うことが判ったのだ。
   我々は、この惑星に向かい、彼らを少しでも救出するのだ!」

地球の軌道上に到着した。
1号機にはトーカレイ司令、2号機にはオロストロン司令が乗り、地上探査に
出かける。時間は4時間。4時間を過ぎると、母船は、彼らの帰還を待たず、
軌道を離脱する。

既に、本来の直径の倍にまで肥大した太陽は、第1惑星、水星をガスに変え、
凍った巨大な第5惑星、木星すら、溶かしつつあった。

ここは太陽面からは裏側、いわば夜にあたるのだが、地上を焼けただれ、
生命活動は見られなかった。

地上には、生命活動の跡はない。彼らは、どこに逃げたのか?
電波を扱ってから、わずか200年の生物は、どこまで宇宙に進出していたのか。
それを探すために、オロストロン司令は、現在、電波を出している通信施設を目指す。

しかし、そのアンテナが向けられた箇所を調べても、軌道上には
何もなかった。彼らの電波は虚空に向けて放たれていたのだ。

軌道上や、隣の惑星でないとすると、彼らが生きているとすれば、地下だ。

15分後、市街地を見つけ、調査するが、ここにも、生命の痕跡はない。

たとえ彼らが、どんなに地下に潜ったとしても、最後の大爆発を乗り越える術はない。
また、仮に隣の惑星に移っても、滅亡までの時間を数日伸ばすだけだ。

市街地では、図書館、集会室、無数の事務所が調べられたが、彼らの行き先を示す
具体的な情報は得られなかった。

地球人はどこに隠れているのだ?

ただし、彼らは僅かな収穫をする。ここで、彼らは地球人というものの姿形を知るのだ。
肖像画や写真で。

たったの2本の腕と、2本の脚しかない。目だって、前に2つしかついていない。
後ろの景色を、どうやって知るのだ。まさか、振り返る??

時間がなくなる中、海への自動通路を見つけ、海辺を探すが、煮えたぎる海から
立ち上る水蒸気以外、発見はなかった。

海の中へ逃げたのでもなさそうだ。


しかし、彼らは不思議な事を発見する。
町中に多く配置されたカメラ。それらは殆ど動いており、通信基地へ中継され、
パラボラアンテナから極短波となり宇宙の虚空へ向けられている。

それに、パラボラアンテナの示す虚空の方向は、自動姿勢制御で、位置補正されていたのだ。
この数時間の地球の自転に合わせて!


探検隊は調査の途中、地下に閉じ込められてしまう。調査時間は過ぎ、彼らの
タイムリミットを切ってしまった。母船の軌道離脱の時間だ。

母船のアルヴェロンは危険を犯し、地上に降り、彼らのいる地下通路を破壊し、
救出を進める。そして、探検隊を救出してから、軌道上へと移動した。


「収穫はあったか?」
「自動制御されているパラボラアンテナの先を調べて下さい。その先に何かがあるはずです」
「その先は虚空だ。近くには恒星も惑星もない」

「我々は過少評価していたのかも知れません。電波からわずか200年の若い種族。それが、
   恒星間宇宙旅行などできる訳がないと」

アンテナの先を探していると、宇宙地図にはない、雲の塊があった。
この雲星は何だ?

拡大すると、それは、一つ一つが巨大なロケットだった。
おまけに、その推進力はガス噴射ロケット。

地球人は、こんな、お粗末な物で、宇宙の空間を渡ろうとしてるのである。

「これでは、もっとも近い星でも何世紀もかかる。しかし、彼らは、
   これで渡るつもりなのだ。
   おまけに、これだけの大軍団。宇宙で最大の、ロケット軍だ!」

「彼らの功績の偉大さを計るには、我々がここまで来るのに、どれだけの時間を
   費やしたかを考えればわかります。かれらは、40万年前には、影も形もなかった
   種族なのです。それが、無謀とは言え、恒星間旅行を...この量で...」

1時間後、ロケット軍の地球人との接触の準備を終えたアルヴェロンは、
僚友のルーゴンと話していた。

「まあ、彼らは、若く、元気だけが取り得の種族だろう。きっと技術だけで、芸術
   なんぞは理解できんさ。それも、自意識過剰で、『我こそ宇宙の支配者なり!』
   なんて思っているに違いない。助けてやれば、さぞかし感謝するだろう」

「しかし、僕は思うんだが、彼らは、随分と意思が強そうだ。もしかすると、我々の
   宇宙連邦を気にいらず、文句をつけるかも知れないぞ」

「まあ、未開人だから、丁寧に扱った方が良いさ。そして、注意が必要だ。
   差は僅かだからね。彼らが1とすれば、我々はたったの10億くらいだから!」
「わっはっは!」
ルーゴンは、その時笑ったが、20年後では、笑えなかったのである。


..............

誰が言ったか忘れましたが、『地球人最強!』テーマのSFベスト3と言うのがありまして、

一つが、この作品。
もう一つが、ヴァンヴォウトの『怪物』←大傑作!
最後が吾妻ひでおの漫画、『偉大なる種』(?だっけ)

って言うのを思い出しました。

それから、ヴァンボートもそのうちやります。おたのしみに。

記:2011.08.26

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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