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シティ5からの脱出 - 早川文庫
シティ5からの脱出


王様の家来がみんな寄っても All the King's Men バリントンJベイリー 1965訳:浅倉久志の あらすじ

ソーンが死んだ。
困ったのは国王だ。この異種種族の共生する国で、それぞれの価値観をうまく調整できたのは
彼だけだったから。

王の持つ昆虫的な精神を、人間的な考えで理解しようとした人物。王の最側近。

私=スミスも彼の死を惜しむ。しかし、多くの地球人はそうではないだろう。

三艘の宇宙船と、2000人の兵士により、このロンドンは無血占領された。

ブラジルも王と同族が占領し、南アフリカは、王とは別の生物が占領した。
しかし、ブラジルも南アフリカも無血とはほど遠かった。シーンがいなかったから。

今では、わたしがソーンの地位を継ぐ事になった。

占領時以外見た事のなかった、輸送宇宙船が、活発に飛び回った。
王は、工場を新しく建てた。

他の地域と戦争を始めるらしい。
戦闘船や武器が作られ始めた。

超愛国主義者、反王勢力のホッチに私は呼ばれた。
王の作る船や武器を奪い、それで王国を転覆させるつもりだ。

王の性格は人間とは異なっていた。
まず、利己欲がない事だ。王国の発展が全てに優先される。
また、感情がない。喜怒哀楽は感じられないし、エンターテインメント類や
テレビ放送は禁止された。

貴重な名画や彫刻はすべて、廃棄された。

政府には様々な団体が陳情に来た。

しかし、この異星の知性人との会話は、簡単には行かない。
何段階かの思考の変換・調整が必要なのだ。

王は言う。
「グウッ環境マトリックス多弁。イントアパラ。光を当てるような。アパラは盲目。
   完全外部からはポテンシャルすらない...スミス、君が国王ならどうする?」

私は答える。
「そうですね。私なら、週60時間の労働強制を緩和します。週50時間に致します」
   私も、多少は王の言葉を理解できるようになって来た。

「それでは、軍備計画に支障が出る」
「しかし、人民の不満を少なくするのも、重要な政策です」

「お前達、人間の言う『重要』の概念がまだわからん。こう言う事なのか?
   私の政策は、必要なものを順次行う、言わば平面のような方法だ。
   しかし、お前達の場合は、そうではない。
   まるで、山や谷のように、やるべきものと、そうではないものがあると言う事か?」

「素晴らしい説明です。その通りです」

「では、『重要』とは?」
「山です。そして、大きな山です」

「なるほど、それで、私にもイメージはわかった」
「王、そもそも、この戦争は誰のためのものですか?英国のためか、それともあなたのためか?」

「私は、英国の統治者であり、当然、英国人だ。私と英国を切り離す事はえきない」
「しかし、あなたがいなければ、英国はブラジルとは戦争をしないのでは?」

「お前が、理解できるか、わからんが、白鳥座における島宇宙が、現在、衝突しつつある。
その回避のために、ブラジルとの戦争は避けられんのだ」
「それは??」

「お前に、地球の概念で説明するのは、大変難しい。高等な概念自体が、地球の言葉にはない」

「ブラジルと英国に関係があると言うのは、わかりました。では南アメリカは?」
「あれは、全く無関係だ」

考えてみれば、今回の征服は、余りにも、手際よく行われ過ぎている。
殆ど、整然とした中で、国の占領が行われた。まるで、何かの法則に乗っ取ったかのように。

もしかすると、それは、人類の精神に影響を与える事だったのかも知れない。


ホッチがやって来て、王に、軍備生産の陳情をした。
自分達の軍備を手に入れたいのだ。
王の答えは意外だった。ホッチの陳情を聞いたのだ。
まさか、あの王が、子供だましのホッチの戦略に騙されるとは?
私はわからなくなった。


英国とブラジルの艦船が大西洋上に終結した。王様の家来がみな。
戦いが始まるのだ。

そして、ホッチの叛乱も。

いかなる、飛行兵器も条約で禁止されていた。唯一、国王の乗る飛行艇以外は。

英国の艦隊が、ブラジル艦船を沈め、ブラジルからは、報復の爆撃機が、英国へと飛んだ。
ホッチは叛乱を行う。王の家来達が殺された。

私は、王に離脱を勧める。
飛行艇は、成層圏まで上昇した。
王は、外(!)に出て、考え事をして、また機体に戻ってきた。
ブラジルからも、異星人の国王は逃げたそうである。

もう、これからは、人間同士の戦いである。
王はホッチの艦艇を急襲し、わずか3分で、ホッチを拿捕した。

「ホッチ、お前の指令室へ戻してやろう」
飛行艇は、ロンドンへ飛び、叛乱軍の司令室にホッチを戻した。

この後、3時間後、戦いが始まるのだ。
ホッチは、新たな支配者となるだろう。このイギリスの。

王は私を連れて、宇宙を見せてくれた。

そして、私は知るのだ。

この宇宙には、"重要"な事などない。
イギリスの支配、ブラジルとの戦争の勝敗、王自身の命。もちろん私自身も。

全ては、ささいな事なのだ。


..............

さて、「重要」とは何でしょう?

しかし、後半は、何度読んでも、完全には、意味がわからなく、結局、こう言う形にしました。
次元が違う精神を理解するのは、難しいと言う事を、表現しようとしたのでしょうか?

しかし、王のありようは、共産党とのアナロジーのような気もします。

閑話休題。
昔から、共産党批判の文脈の中に、彼らが悪である根拠として、
彼らの、拝金主義・地位主義的な行動が、語られる事が多いですが、
それらは、資本主義や中世的な思想への批判と思われます。

共産主義は、それらからの批判から出てきたものでありますので、

「完全に為された共産主義」に対しては、その批判は無効です。

言うならば、多くの共産主義批判は、左右を問わず、
そこにおいて、「共産主義が正しく履行されていない」と言っているのであり、
「完全に履行された共産主義」については、どうなのでしょうか?

「完全とは不可能の同意語である」
と言う、もう一つの定理を持ち出しての事も、あるかとは思いますが、
この文章をまとめていて、その事を思いました。

お、ちょっと、今回は長かったな!

記:2011.07.21

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三分 小説 備忘録

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