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シティ5からの脱出 - 早川文庫
シティ5からの脱出


知識の蜜蜂 The Bees of Knowledge バリントンJベイリー 1975訳:岡部宏之の あらすじ

私がハンドレア星に放り出されたのは、定期旅客船が難破したからだ。
近頃では星間宇宙船が、おまけの観光コースを回るのは普通の事となっていた。

ハンドレア星に近づいた所で、エンジンルームで爆発が起き、たまたま私は、
手近の救命ボートに乗り、爆発の勢いで跳ね飛ばされ、ハンドレア星に不時着したのだ。
他に生き延びた者は、いないだろう。

ハンドレア星は生物の棲む星で、地球人が呼吸する事も、できた。

救命艇は故障しており、私には救助信号装置を直す必要があった。
私が道具箱を出し、修理をしていると、大きな翅音が聞こえた。

それは、ミツバチだった。ただし、私以上に、大きかったが。

ミツバチは私を抱えると、一直線に巣へと向かって行った。

私は、嫌な事を思い出した。
ある種の蜂に捕まった青虫が、体に卵を産み付けられ、その青虫は
生きながら、蜂の幼虫の新鮮な餌となる事を。

ともかく、私の体は巣箱の中に落とされた。

巣箱とは言っても、その大きさは街ほどもある。
蜂は、昆虫とは思えぬ器用さで、私の服を脱がせ、口と肛門に触手を挿入し、中を調べるとm出て行った。
どうも、卵を産み付けられた様子はない。

その場所を調べると、虫の姿の彫刻物、食器らしいもの、など異星人の工作物とおぼしきものが
散乱していた。これらはミツバチのコレクションなのだろうか。そして、私も。

ともかく、食料を!と辺りを探すと、さすがに、ミツバチらしく、水分も取ることができる
蜂蜜状の栄養物が簡単に手に入った。これで、飢え死にする事はない。

それを食べていると、後ろからガサガサと音がした。巨大なハエだった。
こいつも、この食料を食うらしい。私は、とりあえず、退き、ねぐらを探した。

私は、この巣箱街の中を調査した。
この中では、沢山のミツバチがいるが、彼らは私がうろついている事には無関心だった。
私は、中に寄生している様々な生物に合った。多くは危険な生物だ。

大きなはさみを持った地虫。通行人の頭に網をかぶせるダニのような虫。どれも特大だ。
やがて、入り口を見つけたが、ここから、どちらへ行けば救命艇かが判らない。救助ビーコンは
修理できるだろうか?そもそも。食料は?

生きるだけであれば、この場所の方が良いのでは? 私は、このまま寄生虫として、暮らすのか?

思案している私が、入り口下のゴミ置き場を歩いていると、

なんと、そこに救命艇があった!

しかし、すぐに私は失望した。救命艇は外壁だけで、中身はカラッポだったのだ。
たぶん、ミツバチが興味を持ち、中を調べたのだろう。粉々の備品は、周囲に散乱していたのだ。

私は、考えた。このミツバチの収集物を見ていると、この星に、知的生命がいるのは確かだ。
ミツバチの体に乗って、その生物の所まで行き、彼らと接触できないものか。

私はミツバチに乗るための、ハーネス作りを始めた。

素材を探していて気がついた。これらの大半は、本やレコードのたぐいだ。
知識の集積物。ミツバチには、知的好奇心があるのだ。


ある日、ミツバチは超巨大なものを拾って来た。船だった。水の上を進む奴。
巣壁に大きな穴が開けられ、それは中に入れられた。

ある日、ミツバチが熱心に、プレートのようなものをイジっているのを見た。覗いてみると、
それは何かの説明書だった。

その後、ミツバチは手元の機械をバラバラにすると、又、組み立てたのである。
このミツバチ達に知性があるのは、明白だった。

それなら、それで方法がある。彼らは、私が知的生命である事に気づいていないのだ!

私は、3つの点と3つの点、そして、6つの点を書いた。
どうだ、俺は足し算ができるのだ!

次にピタゴラスの定理を示す図を書いた。

それを、見ていたミツバチは困った顔をして、私を脇に退けると行ってしまった。
私は、がっかりした。


この惑星ハンドレアの唯一の哺乳類オトワンが、私に話しかけてきた。
「”知識のミツバチ”の巣の中で”経験の蜜”が作られるのだ」
「彼らは蜜の様に、知識を集めているなか?」

「世界中を飛び回っている。知識が彼らの食べ物なのさ」

(☆管理者☆:どうして、突然、土着の哺乳類が出てくるの?どうして、話ができるの?
すいません、わかりません。そんな文章なんです ^o^ ?? )

私は時計の様な算数表示盤を作って、ミツバチとコンタクトを取ろうとした。
完成した算数表示盤で予行演習をしていた私が、ふと気がつくと、蠅が傍まで来ていた。
私は慌てて、逃げ出し武器を取って、戻ると、蠅は算数表示盤を熱心に、いじっていた。

その動きを見ると

5+3は8.
4×6は24.

それから
2と3で8 ???

これは乗数じゃあないか!

この星では、ミツバチだけでなく、蠅までも知性を持っている。おそらくは多くの昆虫が。

私は、10進数を教え、素数や数列を教える。蠅は、瞬く間に、それらを理解して行った。
算数表示盤相手に、何やら熱心に取り組んでいる蠅。

今は、もはや、蠅のやっている事は、高等すぎて、私には理解できない。

私は蠅とコンタクトを持とうと思った。しかし結果は、ミツバチと同じだった。
彼らは、知識を吸収するが、それ以上の、知的活動はしないのだ。

私が知性を保有している事は理解しながらも、交流しようとは思わないのだ。


この巣箱の中の、知識の熟成である蜂蜜。これを食している内に、私の精神にも
変化が現れてきた。聡明になってきたのかも知れない。

そして、彼らの、行動の理由がわかった。

彼らのような社会的昆虫の場合、役割ははっきりと、区切られている。

働き蜂はセックスの事を知らない。反対に、雄蜂はセックスの事だけしか知らない。

では、女王蜂は?女王とは言っても、それは人間の命名した便宜的なものであり、
むしろ産卵のために、体質を特化されたデカイ蜂に過ぎない。

それでは、その意思はどこにある?

それらは、女王蜂を含めた、個々の個体にはない。
あるのは、巣全体としての意思だ。

その収集物が、花粉であっても、知識であっても同じ事だ。

ここにある、芳醇な知識を生み出す巣そのものが、意思を作り出しているのだ。
私は、その果実をすすり、夢想に耽る。私の思考も、この熟成に一役買っているのか。

かつて聞いた理論、"超1"の事を考える。

自然数における最小の数0.では、最大の数は。
最大の数に+1と考える事により、最大の数はないと言うのが、通常の考えであろう。

しかし、ここに最大値として収束する、最大の数字がある。それが "超1"。

"超1"は、また高次の数字体系の基底数となり、"超自然数"を構成する。

まるで、この無限の宇宙が、無限にあるように...

私が持っている、"地球からの知識"をやがて、この巣箱の中で、一つの部屋を形造るであろう。
そして、私は、もはや、この知識の蜂蜜の中毒者となり、狂った知識体系の虜となっているのである。



..............

本当は、話は破綻しているんですよ。こんなに、判りやすくない..って言うか。
バリントンさん、自分が書いた文章、読み返しているのかなあ??

思いつくまま、書いて、そのままにしている、としか思えない...

とは言え、すごい作品であるのは、間違いありません。 脱帽!

(そう言えば、途中にイーガンのワンの絨毯を思わせるくだりがありましたが、
うまく説明できないので、ばっさり、カットしました)
記:2011.07.15

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三分 小説 備忘録

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