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ザ ベスト フロム オービット-上-NW-SF
ベスト フロム オービット


町かどの穴 The hole on the corner RAラファティ 訳:浅倉久志 の あらすじ

ホーマーは家に帰って来た。我が家の馬鹿犬は初め、御主人様と気付かず、吠えて来たが、
私と判ると急に、ごろごろと擦り寄って来た。

馬鹿だけど、可愛い奴だ。犬はバカに限る。

あれ?家の中では、妻が緑色のバケモノと抱き合いながら、キャーキャー言っていた。

「キャー!助けってえ、あなたああ、今日は激しすぎるわ!」

バケモノは妻の頭を呑み込んでいた。こりゃ大変だ。
それに、どうも妻はこのバケモノと私を勘違いしているようだ。

その時、子供達がやって来た。
「ねえ、ママ。うるさいわよ。あれこのバケモノ、ママを食べてるの?」

「おい、一体どうしたんだ。このバケモノは何だ?」

「あれ?この人パパそっくり?あれれ、どっちがパパかわかんなくなっちゃった」
「おいおい、私は人間で、こいつは緑のバケモノだ、どこが似てるんだ?」

「わかんないよお。わかんないよお。どっちがパパか、わかんないよお」
「こりゃ、どう言う事だ?」と思う私も、いつの間にか、このバケモノが自分に見えて来た。

バケモノが喋った。
「おい、もし、お前がホーマーだって言うんだったら、医者にでも見てもらったらどうだ。
   かかりつけの精神科医のコート医師にね」

どうも、このバケモノも、自分がホーマーだと思っているらしい。
だとすると、俺が行くのはコート医師で、こいつが行くのは獣医だ。

ホーマーはコート医師を訪ねた。

「先生、家に帰ったら緑のバケモノが女房を食っていた...いや、そんな風に見えた。
   そして、バケモノは俺に話しかけて...」
「ああ、その話はもう知っています。今晩12人目ですから」

「え??じゃあ、こんな事が起きているのは、私だけじゃないんですか?」
「いえ。ホーマーさんが12人いらしたんですよ。あなた、一晩に同じ男が12回も、
   同じ症状を訴えてきたら、医者としては、どうしたら良いんでしょう?
   ええ、確かに、微妙には、格好は違いましたよ。緑だったり、手が触手だったりね」

ホーマーは、この町の大学者、ディオゲネス老人の所へ行った。
「そりゃ街角の穴のせいだよ。
   あの穴が、ゲシュタル(形態)を視覚的に変えているのさ。
   だから初めのホーマーは第1ゲシュタルト、次のホーマーは第2ゲシュタルトってことさ。
   ところで、宇宙が計算的に重すぎるって事を知ってるかい?...アイスクリーム店の古ぼけた椅子!」

「その最後の変な奴は何ですか。おかげで、前の説明を忘れちゃいましたよ」

「いや、ただの呪文さ。さて、私がどう見える。
   さっきまでが、ディオゲネスの第2ゲシュタルト。今が、第3ゲシュタルトさ。
   この宇宙は、計算的に重すぎる。だから、この世界は複数の世界が
   空間的に重なっているのだ。それが、あの町角の穴を伝ってやってくるのさ。
   しかし、空間を伝わるのは、穴だけじゃない。さっきの呪文なんかも、その方法さ」

ホーマーは家へ帰った。家では妻が出迎えてくれたが。何かおかしい。

お帰りのキスの変わりに、ホーマーを抱え込んで、手足をむさぼり食い始めた。
「やや!お前は妻じゃないな!」

「ああら、私よ。学名は女郎クモ。貴方って素敵よ。とっても美味しいわ」
「助けてくれ!ええーと、アイスクリーム店の..何だっけ..わあ、助けてくれええ、食われるう..」

..............


ラファティ、ふざけた奴ですね。いや、良い意味で。
これは、つまり「ゲシュタルト崩壊」の話だと思うと、半分リアリティが出ませんか?


あ、ゲシュタルト崩壊って、もし、ご存知なければ

[み]とか[す]をすっと見てると、字じゃなくて、訳の判らない、くねくね線に、見えてくる現象です。

記:2011.06.02

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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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