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世界はぼくのもの - 青心社
世界はぼくのもの


どん底より De Profundis 1953 訳:阿部寿 のあらすじ

この文章の問題は、筆者の私が精神病と言う事だ。できるだけ客観的に書くつもりだが、
いつデタラメな事を書く衝動に、襲われるかも知れない。

しかし、彼らが、私のような精神病者をターゲットにしたのであるから、
これは、私によって書かれなくてはならない。

私はウィリアム。白人、38歳、独身、軽度の精神病。
その私に"訪問者達"がやって来た。

彼らは私の頭の中に入ってくる。彼らの言葉は、独自のものだが、私には意味がわかる。
テレパシーなのだ。

しかし、彼らは幻覚ではない。はっきりしている。現実なのだ。
実在が、私の頭を使って、この地球を調査しているのだ。

繰り返すが、彼らは幻覚ではない。確かに私は、"悪魔"の幻覚を見る事がある。
しかし、あれは幼稚だ。あからさまな幻覚。あんなものに騙されはしない。

しかし、訪問者達は実在なのだ。私の頭の中に現れ、私を使って、調査をしているのだ。

まるで、"雲"のようだ。
雲とは、訪問者達より先に、私の頭を利用していた、異次元の生物だ。

あれと同じく、実在なのだ。
ただ、雲は、私に直接語りかける事はなかった。

おそらく雲は、私が雲の存在に気づいている事を知らないだろう。

じっと、私の中で身を潜めている。しかし、鋭敏な私の知覚は、その存在を
嗅ぎ取ってしまう。それほど知覚が鋭敏だからこそ、私は彼らに狙われるのだ。


足元に虫が這い回っている感触がする!ぞっとして、足を掻きまくる。

今度は、身投げの誘いの声がする。私を騙すつもりだ。
「ねえ、ウィリアム。窓を開けて、下を覗いて見てごらん...」

精神病が酷くなって来たようだ...訪問者達のせいか。

「ウィリアム、我々は君を傷つけるつもりはない。薬を変えよう」
医者は投薬の種類を変えた。私は不調だ。

それにしても、訪問者達は狡猾だ。私のような軽度の精神病者は、知能的には許容の範囲
であるにも拘わらず、その者が、訪問者達の存在に気づいても、幻覚だと処理されてしまう。
極めて安全な実験対象なのだ。

しかし、私は拘束されている。この病棟に。それは、彼らの障害ではないのか?
彼らは言う、
「我々は君を媒介として、君の属する時間域に属する空間へ接触できる。君はそのための触媒なのだ」

一度、訪問者達の姿を見た事がある、その、おぞましさ、あれは人間の想像を超えている。
私にはあんなものを想像する力はない。

そして、私はショック療法を受けた。
私の病気は好転し出した。開放病棟へ移動した。

しかし、ある日、再び訪問者達が現れ、私は、病棟へ逆戻りした。
彼らは、私をこのままにしておくつもりらしい。

悲しむ私の心に、雲が拡がった。
雲は訪問者達よりはるか前から、私に入り込んでいた存在。
しかし、その声を聞いた事はなかった。

雲は声を発した。
「ばか者ども!この人間はわしのものだ!」

私は叫んだ!訪問者達も叫んだ!訪問者達は消えて行った。
私は看護婦に助けられた。

そして、私は退院するまでに回復した。
きっと、雲はオブザーバなのだろう。
訪問者達を凌駕するゲームの支配者。

雲の事は医者には言わなかった。
いや、言わなかったのは私ではなく、私の中の雲自身かも知れない。



..............


話の書き手が精神病であると言う可能性、いや、それは逆か。

この話の書き手が、もしも、"精神病ではない"としたら、...どうすれば、よいのでしょう??

記:2011.06.12

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三分 小説 備忘録

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