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ディオ-青心社
ディオ


四身一体 For in One 訳 栗栖麻紀 の あらすじ

ジョージはようやく、目を動かす事ができるようになった。

あの緑と茶色のゼラチンの固まりに落ちてから、ようやく、ここまでになった。

体を動かそうとするが、なかなか、うまくいかない。
まるで、誰が、別の方向に行くのを、邪魔をしているよう。

他に一緒に落ちた者は?
ヴィヴィアン? ガムズ少佐は? 懲罰委員会のミス マッカーティも?

彼らは、この惑星開拓のためフィールド ワークに出ていた。
その探索中、四人がいる辺りの地面が、揺らいだのだ。それはゼラチン状のものだった。
そして、意識が戻った。

考えて見ると、この有機体はよく出来ている。
まず、別の生物が自身に落ちるまで、じっと待つ。

落ちたら、その生物を吸収し、その脳や神経系以外を消化して、利用する。
それ自体には、高度の神経組織はないが、吸収した生物の、進化の恩恵をそのまま、受け継ぐのだ。

寄生ではない、本当の意味での共生である。

ジョージは、のろのろと体を動かした。

もしも、このゼラチン姿を、他の捜索員に見つかったらどうなるだろ。
うまく行って、捕獲。下手すりゃ射殺。
それも捕獲の際も、痛くない麻酔銃なんて使ってくれそうもない。

必死にもぞもぞ動いている内に、やっと慣れてきた。目を上に伸ばそうとしてみる。
その時、目の前に、大型の肉食獣が!

気がつくと、走っていた。火事場の馬鹿力か。

(たすけて..)
落ち着くと、頭の中に、声が聞こえた。
(俺以外にも、吸収された者がいたのか?)

「ヴィヴィアンじゃないか?いたのか?」

「やあ。聞こえるかい?」
「お!ガムズ少佐もいたのか!」

「ジョージ!あなたの失敗は、全て本部に報告します」
「えええ!ミス マッカーティ!あなたもいたんですか...」

このゼラチン生物は、四人の脳を吸収したのだ。
目を持っているのは、ジョージとカムズ少佐。ミス マッカーティは耳。
ヴィヴィアンは触感覚を持っていた。

どの脚を、だれが動かせば良いかが、決まった。狩りを行い、豚のような生物を取ることに成功した。
これで当面はしのげる。
体を変形させて、何とか腕のような物を作る事もできた。
これを強力にして行けば、生き延びるのに、役に立つ。

ミス マッカーティが、カムズ少佐とジョージに、筆記用具の代わりになるものを、
発見するようにと命令した。

いち早く、腕を作ったミス マッカーティが、そこに、文字を書く。
我々が人間であって、異星の生物でない事を。

次に、その出来栄えを、目がある者が確認し、それをかざしながら基地へと戻るのだ。

しかし、この異星の生物を丁重に扱う保障が、どこにある。
うろうろしていると、パトロール隊に出くわした。

ライフルを間一髪でかわし、俺達は逃げ出した。

俺は、ミス マッカーティと口論した。
基地に戻るのは、危険だ!

第一、我々は既に、脳と神経だけの存在で、体は消化され、無くなっているのだ。もう元には戻れない。
ヴィヴィアンは同調した。カムズは、軍のお目付け役であるミス マッカーティ側に立った。

ミス マッカーティは、強硬手段に出た。いち早く作った腕で、辺りを探り、先が鋭利な石を見つけた。
そして、それを俺の目に向けて、振り下ろしたのだ。

あてずっぽうな攻撃は、完全には当たらなかったが、俺は大きなダメージを受けた。
「カムズ少佐。どう?当たった?」
「もう少し左です」

二度目の攻撃は、大きく外れた。狙いは良かったのだが、我々の体が、大きく伸びたのだ。
(分裂だ!この生物は分裂して増殖するのだ)

俺とカムズ少佐、ミス マッカーティとヴィヴィアンに分離するのだ。

俺達は二つに分裂した。
「なあカムズ少佐、この生物は、栄養を吸収し、増殖する生物だ。ある意味、不死身である
   とも言える。人間としての細胞の寿命は来るだろうが」
「でもジョージ、俺はやっぱり、軍に戻った時の懲罰委員会が怖いんだ。だから、悪いが...」

カムズ少佐は、すっかり屈強になった腕で、俺になぐりかかって来た。
俺は、防戦一方になった。そして、俺の目には見えた。大きな岩が、俺達に向かって落ちてくるのを。

俺は必死になって、体を岩の落下点から離した。
岩は俺達の半身を潰した。そこはカムズ少佐だった所。

やがてゼラチン質は、その死んだ部分を吸収した。

歩いて行くと、ミス マッカーティに合った。きっと、分裂後、カムズのように、ミス マッカーティは
ヴィヴィアンを殺してしまっただろう。

しかし、様子がおかしい。

「ヴィヴィアン?ヴィヴィアンか?」
「ええ、ジョージ」

「ミス マッカーティはどうした」
「私はミス マッカーティが基地へ戻り、ゼラチン細胞からの分離を狙っていると、考えたの。
   そうしたら、ゼラチン質は、ミス マッカーティを、危険な細胞と思って、分離したらしいわ」

有毒と判断された、ミス マッカーティは排泄されたのだった。

「もう戻れないわね」
「ああ、でも、やがて彼らの方から丁重に会いに来るよ。我々は、次世代の人間なのだから」


..............


?なんで、最後、急に別の個体と話せるの?
耳はどうしたの?口はどうしたの?ええ?テレパシーなの?...
ま、いいか。ヴィヴィアン可愛いし

記:2011.05.23


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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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