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救命艇の叛乱-文化出版局
救命艇の叛乱


歴史のひとこま History Lesson アーサー C クラーク 訳:浅倉久志 の あらすじ


ジャンとその一族は、長い長い旅をしていた。
南へ、南へ。
背後から迫る、白い脅威を避けるために、南へ進んだ。

隊列の歩みは鈍い。膨大な聖なる宝を抱えた一行は、長い逃亡の生活を続けていた。
既に代は変わり、聖なる宝の中身はジャンも知らぬものだ。

遠い昔の、人々の叡智、かつて到達した文明の証。

彼は一度見た事がある、その中身を、
「シベリウスの第七交響曲の楽譜、世界地図、七桁対数表...」

それらは、今では生活に役立つ事のない、不思議な古文書であった。

隊列はやがて、終点についた。
はるか南の彼方に、白い脅威が見えたのだ。

南の水平線の彼方からも、氷のきらめきが見えたのだ。

北から南下する氷河と、南から北上する氷山。
彼らの住まいは、この間にしかなかった。


ジョンは穴を掘らせた。あの宝物を納めるための地下聖堂を。

そこには、先程の品々に加え、金貨、腕時計、小型ラジオ...

そして、先祖伝来の最大の宝物、
『宇宙船スター号の右舷エンジン』を納めた。彼はこれが何かは知らぬが。

そして、聖なる光を置いた。

古代科学の奇跡のひとつ、小さなカプセルに入った、半永久ビーコン。
中の放射能を電波に変換し、あらゆる方向に、送り続ける物。

元々は人類がアステロイドベルトに到達した際に、
その軌道を示す運行基準標識として、設計されたものである。
しかし、それは、使われる事はなかった。

ジャンの子供たちは、全ての作業を終えた。
やがて、その子供たちも両方とも亡くなり、更に時間が過ぎた。

5000年が経った。

生命が産まれる可能性のある惑星としては、あたり前の事が地球に起きた。
他の惑星からの知的生命体の来訪である。

わずか、5000年程のズレで、人類は彼らの姿を見る事はなかった。

軌道上から地球の様子を確認していた、異星人の宇宙船は、
知的生命の活動がない事を認めて、立ち去ろうとした。

しかし、弱々しい電波をキャッチしたのである。あのビーコンからの。

宇宙船は電波を追い、かつてこの地に居た知的生命の文化の痕跡を見つけた。
彼らは、それらを集め、解析した。


「さて皆さん。これから、この地球にかつていた、知的生命の暮らしを現す映像をお目にかけます」

歴史学者は、再生のスイッチを押した。

スクリーンには、地球に住んでいた知的生命の姿が浮かび上がった。

「おおおお」

彼らは、地球人の姿に驚いた。

「皆さん、地球人は、我々のように爬虫類から進化したものではないようです。
   このすばしっこさ、可愛らしさ、なんとも愛嬌のある生物ではありませんか」

スクリーンの中で、地球人は、とっぴょうしもない争いに巻き込まれていた。
しかし、地球人は、のろのろした彼らと比べると、遥かに俊敏な動きをする生物であった。危険な事を、
どんどんこなして行く。またその争いに至っては、あまりのすばやさに、滑稽なほどだった。

「す、素晴らしい。偉大な民族だ!これは、我らを凌ぐ生物となって不思議ではない」

彼らから見れば、小型ではあるが、下半身に、彼らの文化にはない不思議な物(=洋服)、
ズボンや靴を身に付けた生物。

このような生物が、かつて、ここに居たとは!
歴史学者達は、彼らに夢中になった。彼らの事を、もっと知りたい!と思った。

やがて、映像は終り、スクリーンには、彼らには読めぬ、不思議な文字を映していた。

その最後には、こうあった。
「製作ウォルト ディズニー」

..............


なるほど、と膝を打つ感じ。
でも、こう言う事って、古代遺跡にはあるんじゃないんですかね?
頼朝の絵が頼朝じゃないかもしれないとか、細かい行き違いも含めて

記:2011.05.13


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三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




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