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救命艇の叛乱-文化出版局
救命艇の叛乱


しのび逢い TheCrooked Man チャールズ ボーモント 訳:浅倉久志 のあらすじ


ジェシーは、バーのカウンタに居た。
彼のハンサムな顔立ちを、暗いランプが照らしていた。

「何になさいますか?」
若いウェイターが、筋肉隆々の体を見せた、半裸の姿でやって来た。

「ウィスキー」
ウェイターは白い歯を見せにっこり笑うと、ジェシーの鳩尾に手を添え、
撫でながらジェシーの目を見つめた。見つめ続けていた。
しかし、ジェシーはそれを無視した。

「...すぐお持ちします」

やがて、ウェイターは去って行った。
(奴は、気を悪くしたのか?それとも疑われたか?しかしマイナとのチャンスを潰してなるものか)

出てきたウィスキーに金を払おうと小銭を探ると
「お代は頂いております」

「やあ、お連れは、いないのかね?」
禿げた小太りの小男が、たるんだ腹を、揺すってやって来た。

「ありがとう、ございます。あいにく、人と待ち合わせていますので」
「そりゃ、残念だ。ま。君なら無理もないがね」

(マイナ!早く来て、俺を野獣達から助けてくれ!)

その時、二人の女が腕を組んで入って来た。
ザ ファルスの支配人は嫌な顔をした。この品格ある店に、また、どうして?

ジェシーは、じっとしていた。
この女達、ウェイター、禿げの小太り。そしてナドソン!みんなクソくらえだ。
しかし、今の彼は犯罪者。大人しくしていないと。

そもそもの原因は...

『悪徳がシティに蔓延している!倒錯性欲者は男性と女性を不健全な関係のままにしている!
   小児マヒ、心臓病、ガン、精神分裂。
   今まで我々は、人間が、古来からかかえていた病気を一掃しました。
   倒錯性欲もこの病気の一つです。征服されるべきものです!』

これが上院議員ナドソンの演説だった。

大衆はすぐに行動した。
『町をきれいに!』『異性者を一掃せよ』『彼らは病気だ!』

人間狩りが行われた。多くが捕まり、もっと多くが殺され、更に多くが病院に送られた。
残った人々は、もうこの話題に興味はなかった。社会は浄化されたのだから。

ジェシーは安全だった。外見から、そうは見えなかったからだ。
歩き方が"普通"だったからだ。


ようやくマイナがやって来た。男物のシャツに襟を高くして、横顔を隠していた。
マイナがジェシーの隣に座ると、ウェイターがやって来た。

ジェシーのようなハンサムが、
何故こんな、なよなよした奴と付き合っているのか、判らない様だ。
ジェシーは、ていよくウェイターを追っ払った。

「ジェシー、わたし、この店は嫌だわ。皆が私の事を見ている。何時ばれるか、冷や冷やするの」
「でも、他に合える所もないし」
この時代、人々は男と女に分かれて寄宿舎に住むのが普通だった。

「ジェシー、私たちどうして異常なのかしら」
「マイナ、昔は僕達の方が正常で、皆のほうが異常だったんだよ」

「でも、それは大昔の話だわ」
「いや、500年ほど前な、だけさ」

その時、先程の小太りの男がやって来た。

「ちょっと、こっちへ来てもらおうか。風紀罪違反だ。わかるな。お前達のことは、前から調査済みだ」

二人は警官たちに連れられて、護送車に入れられた。

「せめて、マイナだけは助けてくれ。悪いのは俺だ」
「いや、君達は病気なのさ。治療が必要なだけだ。
   なに、簡単な事だよ。頭に電極を付けてスイッチを入れるだけ。すぐに生まれ変わったようになれるさ」

..............


う〜ん、なんか、普通ですね!

特に、昨今の日本では、全く違和感がありません。
もう既に、こう言う世の中になっているのかも

記:2011.05.05


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三分 小説 備忘録

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